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不適切会計で揺れる東芝の経営を財務の視点から分析する

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こんにちは!『ビジプロ通信』ナビゲーターの安部です。


前回のメルマガで伊藤園が発売する1本1000円の『瓶 お~いお茶 玉露』の
アンケートを実施したのですが、たいへん多くの方にご協力いただき
誠にありがとうございました!

お陰様で1日で上限の100人から回答をいただくことができ、
面白い事実が明らかになりました。

結果は以下のサイトでご確認いただけますので、ご興味ある方はご訪問下さい。

https://questant.jp/s/4GKFJPYX

結果の分析はオールアバウト、もしくはこのメルマガで発表したいと
思いますので今しばらくお待ち下さい。

また、新たなアンケートを実施する際にはご協力いただければ幸いです。


それでは、今回のメルマガも張り切ってお届けしていきますので、
最後までお付き合い下さい!(^^)


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【Bizコンパスで記事を更新しています!】

Bizコンパスで新連載が始まりました。

新連載『経営者が知っておきたいビジネスの話』の第1回目は
「成功するビジネスの本質とは?」です。

よろしかったらお読み下さいませ!(^^)
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≪不適切会計で揺れる東芝の経営を財務の視点から分析する≫


さて、前回はワタミの財務分析をお届けしましたが、
たいへん大きな反響をいただきました。

ご感想をいただいた中に、次回は是非とも東芝の今後についても
財務分析の観点から検証していただきたいというご意見がありましたので、
今回はご要望に応えまして東芝の財務分析を行っていきたいと思います。

東芝はみなさんもご存知のように今年の4月に不適切会計が発覚し、
現在“東芝ブランド”に対する信頼が大きく揺らいでいます。

この不祥事が事業、そして財務にどのような影響を与えているのか?

最新の決算短信から検証を行っていきましょう。


■ 東芝のキャッシュの水準をチェックする


まずは企業の事業活動に欠かすことのできないキャッシュの水準から
見ていきましょう。

東芝の直近の現預金残高は2015年6月30日時点で、2,055億円です。

これだけでは現預金残高の水準が高いか低いかわかりませんので、
比較を行ってみます。

たとえば、東芝の昨年度の売上高は6兆6千億円ですから、
月商に直すと5,500億円です。

つまり、東芝は現状売上の0.37ヶ月分の現金残高しかないということに
なります。

他社との比較で見ていくと、同業種のシャープは年商2兆8千億円と東芝の
半分以下の規模ですが、2015年6月30日時点では、2,143億円と東芝を上回る
預金残高となっています。

また、日立は年商が9兆8千億円で2015年6月30日現在の現預金残高は
6,900億円なので、売上の0.85ヶ月分に相当する現預金を保有している
ということになります。

このように比較分析を行うと、東芝の現預金残高の少なさが際立つ格好と
なります。


■ 流動負債流動資産のバランスを見る


続いて流動負債流動資産のバランスをチェックしてみましょう。


(※注)
流動負債とは?・・・1年以内に支払わなければならない負債
もしくは営業に関わる負債

流動資産とは?・・・1年以内に現金化される資産
もしくは営業に関わる資産


東芝は2015年6月30日現在で、4,053億円の短期借入金を計上しています。

この短期借入金は同年3月31日より、わずか3ヶ月で1,090億円も
増加しています。

これは、恐らく不適切会計が発覚した影響で売上が急落し、
費用の支払いに窮して信用不安が起こらないように、
事前に借入をして万が一の事態に備えた結果の表れと推測されます。

ただ、4,000億円以上に膨らんだ短期借入金に対して、2000億円程度の
預金しかなければ、金融機関が一斉に手を引いた時に
東芝はひとたまりもありません。

つまり、この短期借入金と現預金のバランスについては決して理想的なもの
ではなく、逆に不適切会計から業績が悪化した場合に経営危機に陥るリスクが
高いといっても過言ではないのです。

ただ、より大きな視点で、流動負債流動資産のバランスを見ると、
流動負債が合計で2兆9,249億円に対して流動資産が3兆3,288億円ありますので、
流動比率を計算すると113.8%となり、経営危険度の目安となる100%は上回って
いますので短期的に危機的な状況に陥る可能性は低いといえるでしょう。

とはいえ、流動資産に計上されている『受取手形及び売掛金』と
棚卸資産』には注意が必要です。

受取手形及び売掛金』とは、簡単にいえば、製品やサービスを販売した際に、
販売先に支払いの猶予を与えることです。

通常であれば製品を渡す代わりに現金を受け取るはずですが、商習慣として
製品は先に渡して支払いは受取手形売掛金として数週間から数ヶ月先に
現金化されるのが一般的であり、現金化されるまでは流動資産
受取手形及び売掛金』に計上されることになるのです。

東芝はこの『受取手形及び売掛金』の残高が6月30日現在で1兆1,787億円に
達しています。

これは、売上の2.14ヶ月分に相当します。

この『受取手形及び売掛金』が100%回収できるようであれば問題は
ありませんが、もし販売先が倒産するなど債権が焦げ付くようであれば、
流動資産が目減りすることにつながっていきます。

同じように『棚卸資産』を見ていくと、1兆1,499億円の残高があります。

この『棚卸資産』とは簡単にいえば、製品在庫のことであり、
もし製品が古くなって売れなくなるような不良在庫が発生するようであれば、
棚卸資産』の残高は大きく減少する可能性も考えられるのです。

そこで、より詳細に東芝の財務状況を把握するためには、このような
受取手形及び売掛金』や『棚卸資産』が不良債権化していないか
チェックしていく必要があるといえるでしょう。


■ 自己資本をチェックする


それでは最後に、東芝の自己資本はどうでしょうか?

東芝は老舗企業らしくこれまで大きく内部留保を積み立ててきています。

利益剰余金の額は3,710億円に達しており、日立の1兆4,775億円には
遠く及びませんが、シャープの984億円に比べれば、まだ余裕のある水準
といえるでしょう。

また、自己資本比率を計算すると17.3%であり、日立の24.1%ほどでは
ありませんが、シャープの12.3%よりは高い水準にあります。

自己資本部分も1兆円を超える水準にあり、余程巨額の赤字を計上しない
限りは、債務超過に陥って経営が破綻する可能性は低いといえるでしょう。


このように、東芝の貸借対照表を分析する限りは、もちろん健全とは
言い難い面もありますが、すぐに経営危機を迎えるような“瀕死の状態”に
陥っているというわけではないようです。

不適切会計を二度と繰り返さないと反省し、大きな背伸びをしない経営に
徹すれば、現状の体力で十分に再起は可能といえるのではないでしょうか。

今回は貸借対照表から東芝の経営状況を分析してきましたが、
次回は損益計算書とキャッシュフローの観点から東芝の今後を
占っていきたいと思います。


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実際に財務諸表を見ながら読むと理解も深まります。

今回のコラムに登場した3社の財務諸表は以下のサイトからダウンロード
いただけますので、是非ともご活用下さい!


東芝:2015年度第1四半期決算(連結)
https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/er/index_j.htm

シャープ:平成28年3月期 第1四半期 決算短信
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/

日立:要約四半期連結財政状態計算書
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2015/07/0729.html


※ シャープの財務分析を行った記事を併せてお読みいただくと、
東芝との比較もできると思います。

まだお読みでない方がいらっしゃいましたら是非ともお読み下さいませ!

財務諸表から読み解くシャープの生き残る道とは?』
http://www.bizcompass.jp/original/re-management-005-41.html


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■ 編集後記:
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お笑いコンビ『ピース』の又吉さんが書いた『火花』がヒットした理由を
分析した記事を書いた関係で、どうしても又吉さんに会いたいという気持ちが
高まり、『ピース』が出演するルミネtheよしもとに初めて行ってきました。
(笑)

平日の第1回公演だったので予約もせずに開演20分くらい前に行ったのですが、
その時点で残り席は少なく、ほぼ最後列の端の席となってしまいました。

その日は立ち見が出るほどだったので、
ちょっとでも早めに到着してよかったです。

お笑いをLIVEで見るのは初めてだったのですが、前説から終わりまで
観客を巻き込んで楽しませながら進行するテクニックは、
セミナーにも活用できると思いました。(笑)

ただ、単に楽しむのではなく、ビジネスの視点でお笑いLIVEを見ると、
いろいろと勉強になることが多かったです。

もちろん、出演される芸人さんは『ピース』を始め、よくテレビで見かける
お笑いのプロフェッショナルばかりだったのでたくさん笑わせてもらいました。

手頃な価格で毎日開催しているので、またお気に入りの芸人さんが
出演する時には、観に行こうかと思います。(^^)


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最後までお読みいただきましてありがとうございました。 m(_ _)m

今回のメルマガはいかがだったでしょうか?

ご意見やご要望があれば下記のフォームからお気軽にお寄せ下さいね!
(このメルマガへ返信しても私の元には届きませんのでご注意!)

→ http://www.mbasolution.com/contact.htm


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それでは、また次回あなたにお会いできるのを楽しみにしています!(^-^)


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『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』(ビジプロ通信)

編集長: 安部 徹也

発行元:
株式会社 MBA Solution - The Best Solution for Your Business! -
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-12-1渋谷マークシティW22階

URL : http://www.mbasolution.com

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