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特許製品の出願前の販売と公然実施

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ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
弁護士法人クラフトマン 第167号 2016-02-02

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前書き
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 本稿を執筆しております弁護士の石下(いしおろし)です。筆者
もこれまで海外の方とミーティングなどで話したことがありますが
各国の方々の英語は様々です。過去には、フランス、イタリア、ド
イツ、タイ、インド、フィリピン、スリランカ、マレーシア、クロ
アチア等々の方々と話しましたが、各国様々な発音での英語を駆使
されます。

 正直とても聞き取りにくい英語も少なくないのですが、皆さん自
信を持って話します。筆者の発音も到底上手とはいえませんが、世
界には様々な英語があることを考えると、ともかく少なくとも自信
だけはもって堂々と話していきたいと思います。

 なお、メルマガ購読者様限定初回30分法律相談無料サービスは
引き続き継続中です。社内決裁不要で弊所に相談することができま
す。是非ご活用くだされば幸いです。

 では、本論にまいります。




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1 今回の判例  特許製品の出願前の販売と公然実施
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知財高裁 平成28年1月14日判決

 A社は、発明の名称を「棒状ライト」とする特許権(特許532
4681号)を保有していました。A社は、当該発明を実施する製
品(本件製品)を、特許の出願日前に販売していました。

 そして、当該発明の構成の一部は、本件製品を分解しなければ知
ることができないものでした。

 しかし特許庁は、本件製品の内容が「公然実施」されたものであ
って当該特許発明には新規性がないと判断し、当該特許権を無効と
判断しました。これに対し、A社が当該審決の無効を求め、提訴し
ました。




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2 裁判所の判断
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 裁判所は、以下のとおり判断し、当該特許を無効であると判断し
ました。

● 本件製品は、ディスカウントショップで商品として販売されて
いたため、不特定多数の者に販売されていた。

● 外観からは観察できない本件製品の構成については、本件製品
を分解することにより知ることができる。

● 本件製品の購入者が、本件製品の構成について秘密保持すべき
義務は認められず、本件製品の所有権に基づき、本件製品を分解し
てその内部を観察することもできることは当然である。

● よって、本件製品の内容は、すべて公然実施されたものである
から、当該発明は、特許出願日前に公然実施された発明であり、特
許法29条1項2号の規定により特許を受けることができない。




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3 解説
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(1)特許発明の要件~新規性と公然実施

 特許を受けることができる「発明」には、「新規性」、言い換え
れば今までにない「新しいもの」が含まれている必要があります。
なぜなら、すでに世の中に知られているような発明に特許によって
独占権を与えることは社会にとって害となり、産業の発展に寄与す
るという特許法の目的に反するからです。

 そして、ある発明が新規性を喪失したと判断される一つの理由が
「公然実施」というものです。具体的には、特許法29条1項2号
にあるとおり、「特許出願前に日本国内又は外国で公然実施された
発明」である場合です。


(2)実務上の留意点

 ここで留意する必要があるのは、この「公然」とは、「知られ得
る状況」にあれば足り、他者に現実に知られたか否かは問わないと
いうことです。今回のケースでは、購入者の一部が実際にその製品
を分解したか否かは分かりませんが、実際に分解した人がいるか否
かは問題とはなりません。

 また本件では、A社は、本件製品のパッケージ裏面の「意図的に
分解・改造したりしないでください。破損、故障の原因となります
」との記載をもって、「公然実施」と判断されるべきではないと主
張しましたが、その主張は認められませんでした。

 他方、発明の内容がある設備の中で行われていて、工場を見学さ
せた際もその設備の中は見せず、見ることを禁止していたという場
合は、通常は公然知られる状況とはいえないと考えられています。
しかしこのことと、本件のような、製品を一般に販売することとを
混同することには慎重であるべきです。

 工場の例であれば、実施された環境が特許権者の管理下・コント
ロールにある、という点がポイントであり、本件のように製品を販
売してしまって特許権者の管理下を離れた、という場合には公然実
施となってしまう危険は非常に高くなるわけです。

 ある画期的な発明や製品開発がされた場合、資金回収・運転資金
の確保の観点からも、できる限り早くビジネスにつなげたいという
のは自然なことと思います。しかし出願前にあわてて「公然実施」
につながりかねない行為を行うと、せっかくの発明が無効となって
しまいかねませんから、十分注意が必要と思われます。




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