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【事例】復職後の再休業からの安定した復職

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。
 さらに、健康経営に関する公的資格者のために、安価で好立地のインキュベーションオフィスも展開しています。
http://hatarakikatakaikaku.com/
 今回は、「【事例】復職後の再休業からの安定した復職」についてコラムを作成しました。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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【事例】復職後の再休業からの安定した復職
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 今回は、事業所で経験した事例を提示させていただきます。

◎過去の経緯
 2010年台後半より、遅刻するようになり、徐々に勤怠不良が悪化し、「抑うつ神経症」の診断で長期休業となった。本人によると、仕事が忙しくなり、主要な業務が3件重なる等、マルチタスクへの対応が困難となった。帰宅後や休日も仕事が頭から離れず、心身の疲労が蓄積していたとのことだった。
 3ヶ月後より、自宅で復職準備を開始したが、再発防止対策について、具体的に示すことができなかった。支援をする中で、複数のことを同時に行うことが苦手、ひとつのことに集中することが良いと、マルチタスクから距離をとる対策案を示していた。
 2ヶ月後に、職場復帰開始するも、家庭の問題が重なり、再度長期休業となった。追加の復職準備を行い、3ヶ月後、2回目の職場復帰となった。
 しかし、風邪、眩暈、吐き気等、体調不良を理由とした短期の休業が続き、人事から労務管理上の説明と指導を行うも改善は乏しく、半年後に3回目の長期休業となった。

◎弊社担当へ引き継ぎ後の対応
 2010年台後半より、弊社担当は、主治医から復職準備可能の意見を確認した後、外部リワーク支援施設の利用を勧奨した。外部リワーク支援施設の利用体験の後、3ヶ月後より、本格利用開始した。
 外部リワーク支援施設の利用開始後、専門家より、過去の経緯でも認められたマルチタスクへの対応が困難との指摘を受けた。さらに、主治医からも、注意欠陥がある旨が意見されたが、個別具体的な対策については示されなかった。
 弊社担当としては、外部リワーク支援施設で行っていた「過去の振り返りと対策の検討」、「グループワーク」、「ストレスサインの確認方法」等の取り組みを丁寧に傾聴し、その中で、マルチタスクへの対策につながる点を肯定し強調する支援を行った。その結果、自らマルチタスクを整理する手法を思いつき、復職準備の中で実践するに至ることができた。さらに、復職前の報告会においては、復職準備で行った取り組みを文書にまとめ、順序を追って説明することができるようになっていた。
 外部リワーク支援施設利用後3ヶ月で3回目の職場復帰となった。その後、電車遅延等の理由で遅刻が数回認められたものの、パフォーマンスは休業前より高く、職場復帰後3ヶ月目には、マルチタスクでの業務対応に面白さを感じるようにもなっていた。

◎考察
 治療に当たっては、健康を維持増進のために、心身の負担を最小限にする必要があります。従って、本人が負担と感じている課題から距離をとることは、大変重要です。しかし、過去の経緯に示したように、課題から距離をとるだけでは、一時的に体調は改善しても、再発するリスクは高いままであり、継続的な勤務にはつながりません。
 そこで、課題解決につながる対策を面談の中からマイニングし、本人が主体的に実行できるように支援を行う必要があります。本事例では、外部リワーク支援機関を活用しましたが、その他、業務類似課題の書籍要約でビジネス書等を活用する方法や、過去の業務の良好事例をまとめるといった方法等もあります。
 また、以下URLの良いストレスの考え方を参考として、達成感が得られる課題を整理する方法も良いでしょう。
 https://www.soumunomori.com/column/article/atc-173802/
 従業員が、健康を維持増進しながら快適に働けるように、課題から距離をとる視点と課題解決の視点の2軸で、対策を検討することが重要です
 なお、本事例では、外部リワーク支援機関でのプログラムが充実していたことから、振り返りの中から対策に気づいてもらえば良かったので、簡単に進めることができました。質の高い外部機関と連携を行うことで、相乗効果により高いパフォーマンスが発揮されたといえます。労働衛生の場合、安かろう悪かろうは、人の命に関わるおそれがあるため、事業の安定継続のためにも、外部機関の選定は特に注意が必要です。

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