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電気スイッチの図形商標と記述的商標

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ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
弁護士法人クラフトマン 第268号 2024-01-30

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1 電気スイッチの図形商標と記述的商標
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知財高裁令和5年12月21日判決

 A社が、電気スイッチを模した図形商標を、電気スイッチを指定商品として商標の出願をしました。

 具体的な出願商標は以下からご覧になれます。
 https://www.ishioroshi.com/biz/mailmag/topic/topic20240130/

 ところが、特許庁が、同商標につき、商品の形状を普通に用いられる方法で表示するに過ぎないとして、商標法3条1項3号により拒絶の審決をしたため、A社が、審決取消訴訟を提起しました。

 裁判所は、以下のとおり判断し、特許庁の判断を認めました。

・「電気スイッチ」を取り扱う業界において、縦長の長方形の内側に、表示灯を施した縦長の長方形
の押しスイッチを配した構成の電気スイッチは、広く使用されている。

・当該商標の形状は、指定商品である「電気スイッチ」の用途、機能、美観から予測できないようなものとはいえず、需要者は、本願商標から「電気スイッチ」の形状そのものを認識するにすぎない。

・よって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、商標法3条1項3号に該当するとした審決の判断に誤りはない。




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2 解説
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(1)商標法3条1項3号の趣旨

 商標法3条1項3号は、簡単にいえば、商品やサービスの内容や品質などを普通の方法で記述する商標は原則として商標登録を受けることができない、とする規定です。こうした商標のことを「記述的商標」といいます。

 例えば、サービス「うどん料理の提供」について「手打ち」という商標の登録が認められると、手打ちうどんを提供する事業者にとってこの言葉が使えなくなってしまうおそれがあります。またお茶について「静岡」という商標が登録されてしまうと、他の静岡茶の事業者が「静岡」と表示できなくなってしまうリスクが生じます。

 そのため、商標法は、こうした言葉は特定人が独占することは適切ではない、と考えていること、また、商品の質、内容や産地など取引上普通に使用される言葉をある事業者商標として使用しても、商標としての機能(商品の出所を見分けたり、他の商品と区別したりする「印」としての機能)を発揮するとはいえないことから、記述的商標は登録できないとされています。


(2)ビジネス上の留意点

 とはいえ、特定の機能や性能に大きな特徴や特定の目的を際立たせたい、それを商品名に取り入れてアピールしたいと考えるのは当然です。

 この点、商標法3条1項3号の制限を受ける商標は、「普通に用いられる方法」で表示する標章「のみからなる」商標です。言い換えれば、表示の方法が「普通に用いられる」ものでなければ、または他の要素が加わって「のみ」でなくなれば、登録を受ける余地が出てくるということです。

 例えば過去の例でいうと、以下のような事例があります。

 「生コスメ」(第6117829号)  指定商品:化粧品
 「細胞セラピー」(第6333395号)指定商品:美容、マッサージ等
 「夜もパワフル」(第6286863号)指定商品:薬剤、サプリメント等

 以上のとおり、直接的ではなく商品の特徴をアピールできるような表現にしつつ、記述的商標という商標法の制限を克服できるような商標を考えてみることができるかもしれません。




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3 お知らせ:The Best Lawyers in Japan 2024に選出されました
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Best LawyersによるThe Best Lawyers in Japan 2024において、弊所代表石下雅樹弁護士が、"Intellectual Property Law(知的財産法)部門"に選出されました。

https://www.bestlawyers.com/current-edition/Japan

Best Lawyersによれば、同アワードは、"The Best Lawyers Purely Peer Review"(同地域・同じ法律分野内の弁護士による選出意見を集約して選出する調査手法)によって選出しているとされています。

なお、同部門で選出された他の事務所には、弁護士法人イノベンティア、森・濱田松本法律事務所、西村あさひ法律事務所などが含まれています。





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