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【機密情報】⑧産業医の専門医が知る「労使間の水面下」

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 従業員の健康問題(従業員主治医の診断書が起因)が企業の経営に直結し、時には社長・役員の辞任、売上減少、株主代表訴訟にまで発展するケースが顕在化しています。また、従業員の健康を第一に守るという目的により、企業ガバナンスの逆転現象が起き、結果的に健康を守りきれなかったという矛盾も生じています。
 健康管理は、ケガからハラスメントまで、対策の範囲が広いです。そこで、企業ガバナンスを経営者主体という本来の形にすることで、会社と経営者を第一に守り、その結果、従業員の健康を守るという目的で、下記の日本規格協会規格(JSA 規格)「JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針」を開発しました。
 また、認証機関も立ち上げております。
なお、日本規格協会は、経済産業省による認定産業標準作成機関であり、唯一のマネジメントシステム作成機関です。
 企業主体の健康管理体制の構築について、ぜひJSA-S1025をご活用ください。

※ホームページを、改訂しました。
https://www.kenpomerit.com/

 今回は、「【機密情報】⑧産業医の専門医が知る「労使間の水面下」」について作成しました。
 企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。

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【機密情報】⑧産業医の専門医が知る「労使間の水面下」
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○大企業が寡占する「専門医」の希少性
 日本産業衛生学会が認定する「産業衛生専門医」の数をご存知でしょうか。2026年2月現在、日本全国でわずか692名(指導医525名、専門医167名)しか存在しません。
 専門医となるためには、医師免許取得後、指導医の下で3年間の厳格なトレーニングを経て「社会医学系専門医」の受験資格を得ます。さらにそこから2年間の研鑽を積んで、ようやく産業衛生専門医の試験に臨めるという、非常にハードルの高い道のりがあります。
 現在、この極めて希少な専門医は、いわゆる大企業によって寡占されている状態です。そのため、多くの企業にとって「本物の専門医」がどのような視点で業務を行っているのかを知る機会はほとんどありません。
 そこで本連載では、専門医の業務の一端を知っていただくため、彼らが日常的に扱い、そして厳秘としている「企業の機密情報」について解説します。

今回のテーマは、「労働組合との水面下の労使交渉」です。

○労使交渉に関連する機密情報
 企業が産業医に提供すべき情報として、健康診断やストレスチェック結果、労働時間などの「産業医所有情報」が存在します。
 しかし、大企業が寡占する専門医レベルになると、これとは異なる次元で、企業の機密情報が専門医に持ち込まれるケースが存在します。それは、春闘(賃金交渉)や大規模な制度改定、あるいはリストラを巡る「労使交渉」が激化し、交渉の最前線に立つ当事者たちが次々とメンタル不調の淵に立たされるケースです。

○面談から浮かび上がる「労使交渉」のリアル
 労使交渉の場は、時に荒れることがあります。
 会社側(人事部門や経営陣)は「業績を守るためのコスト抑制」という至上命題を背負い、労働組合側(組合専従者や執行委員である従業員)は「組合員の生活と権利の死守」という重圧を背負って、連日深夜まで終わりの見えない激しい折衝を繰り広げます。
 この「水面下の交渉」が長引くと、どうなるか。
 ある時では、会社側の交渉担当者である人事課長が「組合からの突き上げと、役員からの絶対譲るなという圧力の板挟みで、もう眠れない」と医務室に駆け込んできます。
 そしてまた別の時には、同じ交渉のテーブルの向かい側に座る労働組合のトップが「妥結点が見出せず、組合員からの非難も浴びており、胃に穴が空きそうだ」と医務室を訪れるのです。
 さらに、専門医の面談で浮き彫りになるのは、会社と組合の対立だけではありません。労働組合「内部」に軋轢が生じていることがあります。
 労働組合には、組合活動に専念する「専業(専従者)」と、現場の通常業務をこなしながら役員を務める「兼任の組合員」がいます。専業の担当者が労働者の権利を守るための「あるべき論」で議論する場合、現場の実務を知り尽くしている兼任の組合員は、「専業の言う理想は正しいが、現場の実態や今の業務フローでは到底回らない」という現実とのギャップに苦しみます。
 「会社とは戦わなければならないが、組合内部の強すぎる『あるべき論』にも同調できず、誰にも本音を言えない」。このような、会社側と専業組合員との「二重の板挟み」によってメンタルをすり減らす現場社員の悲鳴も、専門医だけが知るもう一つの生々しい「機密情報」なのです。

○「絶対的中立」という高度な支援体制
 ここで極めて重要になるのが、産業医の「絶対的な中立性」です。
 専門医は、会社側・組合専業・組合兼任という立場に関係なく、「目の前にいる一人の働く人」の健康を守るという医学的・倫理的な使命を持っています。
 結果として、専門医の頭の中には「会社側の本当の妥協ライン」と「組合内部の温度差や心身の限界点」という、労使双方の究極のトップシークレットが同時に集約されることになります。これは、交渉を有利に進めたい両陣営にとって喉から手が出るほど欲しい機密情報です。
 しかし、専門医はこれらを相手方に一切漏らすことはありません。「相手方も限界が近いですよ」「組合内部が割れていますよ」といったアドバイスすら、中立性を歪めるため絶対に口にしません。両者の手の内を知りながらも、ただ守秘を貫き、それぞれの担当者の健康被害を防ぐためのケアに徹するのです。
 そして、連日の深夜交渉などにより「このままでは双方の担当者に不可逆的な健康障害(過労死ラインの突破など)が生じる」と判断した時に初めて、専門医は動きます。「交渉内容」には一切踏み込まず、あくまで「労働環境の安全衛生」の観点から「これ以上の深夜に及ぶ交渉は医学的に危険である。直ちに冷却期間(休養)を設けるべきだ」等と、労使双方に対してドクターストップをかけるのです。

○強固な守秘義務と経営への貢献
 こうした「労使双方の裏事情や心身の限界」は、企業にとっても組合にとっても、外部に絶対に漏れてはならない重大な機密情報です。だからこそ、産業医には高い倫理観に基づいた徹底した中立性と守秘義務が求められます。
 専門医を寡占する企業が求めるのは、強固な守秘義務の壁の中で企業の真の姿を見つめ、健康面から事業の推進を支える産業医です。
 産業医の専門医が生み出す付加価値は、守秘義務の壁で隠されたまま、企業の見えない財産として確実に蓄積し、将来的に大きな差が生まれます。
 産業医の専門医の現実を把握しつつ、適切な投資につなげることをお勧めします。

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JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針

JSA-S1025ページ
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JSA-S1025%3A2025

JSA-S1025紹介
https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/jsa/pdf_jsa_372.pdf

【JSA-S1025】開発の解説
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177724/

リサーチマップ(朝長健太)
https://researchmap.jp/yobouigyou

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