非正社員を正社員に登用する場合のポイントにはどのようなものがあるでしょうか?
概略をお話します。
(詳しくは、現在雑誌「月刊
人事マネジメント」5月号に同テーマで記事を執筆中です。こちらも是非!)
(1)正社員制度の整備
非正社員から非正社員への登用制度を導入しても、希望者全員を正社員にするわけにはいきません。何らかの方法で選抜をする必要があります。
そこでポイントになるのが、何を基準に、どのような方法で選抜するかということです。
この「基準」についてですが、これは一言で表現すると「正社員としての適性があるか」ということになります。つまり、正社員として求める要件を満たしているかどうかということ。
そこを判定するためには、正社員の人材要件を明確にしておく必要があります。
また、正社員に登用された人については、
賃金を決めなくてはなりません。
正社員の
賃金決定基準、つまり
賃金体系の整備も必要です。
つまり、非正社員の登用制度を導入する場合、受け皿となる正社員の制度を整える必要があるのです。
(2)非正社員の
人事評価等の整備
次に会社としてやっておかなくてはならないのは、非正社員の
人事評価制度、教育制度の整備です。
正社員登用の候補者を絞り込むためには、
人事評価は不可欠です。
さらに、評価結果を本人にフィードバックすれば、非正社員の育成につながります。(正社員制度を導入するかどうかはともかく、非正社員の戦力化という観点からも
人事評価制度と評価結果のフィードバック制度は導入すべきでしょう)。
また、教育訓練も非正社員の戦力化に有効です。
さらに、教育プログラムの中で正社員登用制度の説明もしておけば、登用を希望する人にとって、今後自分が何を身につけていけばいいのかが明確になり、
モチベーションアップにもなります。
(3)正社員登用基準
正社員候補となる、エントリー基準です。いわば最低基準。
基準となるのは、次の2つです。
①
人事評価
②勤続期間
①
人事評価
人事評価が一定レベル以上という要件を設定します。
標準を上回るレベルとするのが適切ですが、候補者を増やしたいという意図があれば、標準以上(標準に達していればOK。「上回る」ではない)とします。
過去何回分の
人事評価を見るかというのも大事なポイントです。
人事評価を1年に何回実施するのかにもよりますが、2回分程度が適当でしょう。
ポイントは、「一定レベル以上のパフォーマンスを安定的に発揮できているかどうか」です。
1回だけだと、そのときはたまたまうまくいったという「瞬間風速」で判断してしまう危険があります。
だからといって、あまり数を多くしすぎるのも問題です。過去をひきずることになり、何年も前に不幸にして評価が低いことがあったというだけで候補にあがらなくなります。
②勤続期間
具体的に何年が適切かは会社によって異なります。どの程度勤続していれば「定着している」と言っていいかが判断基準となりますが、非正社員の場合、1~2年程度が適当と思われます。
(4)正社員への選抜
正社員登用というのも、候補者の中から社員にする人材を選別するという点で、本質的には「
採用」と同じです。
ですから、社員
採用試験と同様のことを実施しなくてはなりません。
会社によって
採用試験の方法は様々ですが、筆記試験と面接はやるべきです。
面接は、現場の人だけではなく、
人事部や
役員など、現場から離れた人が必ずやらなくてはなりません。この点は、通常の
採用試験以上にシビアにすべきです。なぜなら、現場の人は、候補者と一緒に仕事をしてきており、今後もそうなる可能性が強いので、どうしても判定の中に「情」が入ってしまうからです。
(5)登用されなかった非正社員へのフォロー
登用されなかった理由をフィードバックするのがベターです。
その上で、「再挑戦」の可能性があることや、非正社員戦力として必要としていることなどを説明するのがいいでしょう。
モラールを落とさないようにすることが重要です。
ただし、会社として毅然とした対応もなくてはなりません。どうしても納得がいかなければ
退職もやむなしという割り切りも必要です。
また、「正社員は責任が重く大変だ」と正社員のデメリットを話すということもあるようですが、お勧めできません。
ここまで、非正社員から正社員に登用するまでのポイントを述べてきました。
重要なのは、「基準」と「手続き」の2点です。
ここは手間がかかりますが、手を抜いてはなりません。手を抜くと、納得性、公平性が損なわれるからです。
社労士事務所HRMオフィスホームページ
http://www.hrm-solution.jp/
ブログ・HRMオフィス
人事部サポートセンター by
社労士
http://www.hrm-consul.com/
非正社員を正社員に登用する場合のポイントにはどのようなものがあるでしょうか?
概略をお話します。
(詳しくは、現在雑誌「月刊人事マネジメント」5月号に同テーマで記事を執筆中です。こちらも是非!)
(1)正社員制度の整備
非正社員から非正社員への登用制度を導入しても、希望者全員を正社員にするわけにはいきません。何らかの方法で選抜をする必要があります。
そこでポイントになるのが、何を基準に、どのような方法で選抜するかということです。
この「基準」についてですが、これは一言で表現すると「正社員としての適性があるか」ということになります。つまり、正社員として求める要件を満たしているかどうかということ。
そこを判定するためには、正社員の人材要件を明確にしておく必要があります。
また、正社員に登用された人については、賃金を決めなくてはなりません。
正社員の賃金決定基準、つまり賃金体系の整備も必要です。
つまり、非正社員の登用制度を導入する場合、受け皿となる正社員の制度を整える必要があるのです。
(2)非正社員の人事評価等の整備
次に会社としてやっておかなくてはならないのは、非正社員の人事評価制度、教育制度の整備です。
正社員登用の候補者を絞り込むためには、人事評価は不可欠です。
さらに、評価結果を本人にフィードバックすれば、非正社員の育成につながります。(正社員制度を導入するかどうかはともかく、非正社員の戦力化という観点からも人事評価制度と評価結果のフィードバック制度は導入すべきでしょう)。
また、教育訓練も非正社員の戦力化に有効です。
さらに、教育プログラムの中で正社員登用制度の説明もしておけば、登用を希望する人にとって、今後自分が何を身につけていけばいいのかが明確になり、モチベーションアップにもなります。
(3)正社員登用基準
正社員候補となる、エントリー基準です。いわば最低基準。
基準となるのは、次の2つです。
①人事評価
②勤続期間
①人事評価
人事評価が一定レベル以上という要件を設定します。
標準を上回るレベルとするのが適切ですが、候補者を増やしたいという意図があれば、標準以上(標準に達していればOK。「上回る」ではない)とします。
過去何回分の人事評価を見るかというのも大事なポイントです。
人事評価を1年に何回実施するのかにもよりますが、2回分程度が適当でしょう。
ポイントは、「一定レベル以上のパフォーマンスを安定的に発揮できているかどうか」です。
1回だけだと、そのときはたまたまうまくいったという「瞬間風速」で判断してしまう危険があります。
だからといって、あまり数を多くしすぎるのも問題です。過去をひきずることになり、何年も前に不幸にして評価が低いことがあったというだけで候補にあがらなくなります。
②勤続期間
具体的に何年が適切かは会社によって異なります。どの程度勤続していれば「定着している」と言っていいかが判断基準となりますが、非正社員の場合、1~2年程度が適当と思われます。
(4)正社員への選抜
正社員登用というのも、候補者の中から社員にする人材を選別するという点で、本質的には「採用」と同じです。
ですから、社員採用試験と同様のことを実施しなくてはなりません。
会社によって採用試験の方法は様々ですが、筆記試験と面接はやるべきです。
面接は、現場の人だけではなく、人事部や役員など、現場から離れた人が必ずやらなくてはなりません。この点は、通常の採用試験以上にシビアにすべきです。なぜなら、現場の人は、候補者と一緒に仕事をしてきており、今後もそうなる可能性が強いので、どうしても判定の中に「情」が入ってしまうからです。
(5)登用されなかった非正社員へのフォロー
登用されなかった理由をフィードバックするのがベターです。
その上で、「再挑戦」の可能性があることや、非正社員戦力として必要としていることなどを説明するのがいいでしょう。
モラールを落とさないようにすることが重要です。
ただし、会社として毅然とした対応もなくてはなりません。どうしても納得がいかなければ退職もやむなしという割り切りも必要です。
また、「正社員は責任が重く大変だ」と正社員のデメリットを話すということもあるようですが、お勧めできません。
ここまで、非正社員から正社員に登用するまでのポイントを述べてきました。
重要なのは、「基準」と「手続き」の2点です。
ここは手間がかかりますが、手を抜いてはなりません。手を抜くと、納得性、公平性が損なわれるからです。
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