• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

老人保健制度の廃止と新制度の問題点

社会保険労務士の三木です。老人保健制度改悪というべき、老人に厳しい「後期高齢者医療制度」がいよいよ本年4月より始ります。
今回はこの制度の概要、主な問題点、実務上の注意点について述べたいと思います。

----------------------------------------------------------------------------

後期高齢者医療制度とは

①06年6月の国会で可決された「医療制度改革関連法」により、08年4月より新たにスタートする、県単位の独立型公的医療保険制度のことです。

②対象者(加入者)は75歳以上の高齢者全員で、08年4月1日の時点で75歳以上の方は現在加入している医療保険から異動となります。

③医療機関での窓口負担は、原則1割(現役並み所得者は3割)となります。

----------------------------------------------------------------------------

★現行の医療保険(老人保健)と大きく異なる点は、保険料を被保険者・世帯単位ではなく、加入者ひとり一人から徴収する点です。

つまり、75歳以上の夫婦の場合、2人分の保険料を徴収されます。保険料徴収は市町村が行い、財政運営は都道府県単位の「広域連合」(全市町村が加入)が担当。保険料についても広域連合が決定します。(全国平均で月額6,000円程度となる見通し)74歳まで保険料納付が求められなかった健保被扶養者が75歳になると保険料負担が発生。夫が75歳以上に達したら、突然、国保保険料の負担を求められる74歳以下の健保被扶養者の妻。(これは大きな問題点です)

----------------------------------------------------------------------------

激変緩和措置はありますが…
 →①20年4月から9月までは10割減免、②20年10月から21年3月まで9割減免、③21年4月以降1年間は5割減免、④それ以降は本来保険料となります。

保険料の新たな負担が発生する
  →現在、被用者保険の扶養家族として、負担ゼロの人も、保険料を徴収されます。原則、75歳以上の方は全員、生涯保険料を払わなくてはなりません。

保険料の自動引き上げが可能
  →後期高齢者が増え、医療費が増えると保険料の値上げ(または医療内容の劣悪化)が起こるシステムになっています。保険料は2年ごとに見直されます。

年金額の少ない人等の保険料徴収
 →年金が年額18万円未満の人や、後期高齢者医療保険料と介護保険料を合わせた額が、年金額の2分の1を超える人については、保険料の年金からの天引きは行われません。納付書や口座振替により納付しますが、納付書の場合は失念しないように気をつけないといけません。

資格証明書の発行
 →これまで対象外だった高齢者にも「資格証明書」が発行されるようになりました。 特別な事情が認められず、1年間保険料を滞納すれば、保険証が取り上げられ、資格証明書が発行されます(窓口で10割負担、保険料納付後還付)。

保険料免除が困難
 →保険料は、広域連合ごとに条例で定めることになっています。特定財源を持たない広域連合では窮屈な財政のため、独自の保険料減免が困難になることが予想されます。

高齢者医療はどうなる
 →新しく設定される「後期高齢者に相応しい診療報酬体系」は診療報酬を引き下げ、受けられる医療の制限を招くことが予想されます。

医療費削減を競わせる(医療費適正化計画)
 →各都道府県は医療費適正化計画のもと、医療費抑制を目的に、具体的な数値目標を設定して、実行していかなければなりません。結果は5年ごとに検証され、目標の達成が困難な都道府県に対しては、「その県にだけに適用される診療報酬を導入する」などのペナルティーが適用されます。

--------------------------------------------------------------------------------

被保険者証の交付は今年3月中に各人に1枚ずつ、「後期高齢者医療広域連合」から送付されるようです。3月末までは2枚の被保険者証の提出が必要ですが、4月以降は1枚になります。
現在交付されている被保険者証は、各保険者に返納しなければなりません。政管健保の場合、「被扶養者届」や「資格喪失届」はどうするのかはいまだ明示されていません。

悪いところばかりになってしまいましたが、実際のところメリットは見つかりません。生活保護世帯の増加に繋がらないよう祈るばかりです。

--------------------------------------------------------------------------------

【免責条項】

記載内容については細心の注意を払っておりますが、記載内容によって
生じた損害につきましては責任を負いかねますのでご了承ください。

三木経営労務管理事務所
http://www012.upp.so-net.ne.jp/palm/

絞り込み検索!

現在22,868コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP