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『失業率改善』 のための 『創業助成金』

 札幌市豊平区の 税理士 溝江諭(みぞえさとし) です。

 昨日、近くのハローワークであったお話。
 
 金融危機に伴う雇用情勢の悪化を少しでも食い止めるため、最近種々の方策が色々と打ち出されていますが、その中の一つに、昨年12月1日から施行された新たな助成金制度があります。「地域再生中小企業創業助成金」といい、昨年4月1日より既に施行されていた地方再生中小企業創業助成金を拡充発展させたものです。なお、対象地域と業種が限定されています。
 
 助成内容は、創業経費の2分の1まで最高1千万円を助成するとともに、雇入れた労働者1人につき60万円を助成するというもので、独立開業資金の不足に悩んでいる創業希望者にとっては、まさに天からの恵みとも言うべき、とても頼もしい助成金制度です。

 私がこの「地域再生中小企業創業助成金」を知ったのは、つい最近、ある役所からの封書の中にこれについて記載されたチラシが入っていたためです。このチラシを見た瞬間、この助成金なら使えそうだとひらめきました。創業希望者にとって助成額が大きく魅力的なこと、一方失業者にとっては就業機会の増加により安定的な就業のチャンスが広がること。まさしく、現在のこの厳しい経済状況下にあって、世の中から求められている助成金制度であると思われたからです。

 この助成金制度ならこれから創業しようとしている方々に強くお勧めできそうです。そこで、もう少し具体的な内容を知りたいと思い、厚生労働省のサイトで検索しましたが、残念ながら詳しい内容までは掲載されていませんでした。このような制度を他の方に勧める場合には、できるだけ詳しい中身に触れ、ある程度自分で吸収した上でなければ自信を持って勧めることができません。

 さきほどのチラシには、「詳細については、最寄のハローワーク又は北海道労働局雇用助成さっぽろセンターにご確認願います。」とあります。そこで、この助成金制度についての疑問点を担当の役所の方に質したいと思い、早速ハローワークへ行ってみることにしました。

 私が尋ねて行ったのはうちの事務所の近くにあるハローワークです。まず、助成金関係のパンフレットを置いている場所へ行き、今回の助成金の物がないか探しました。就職や創業を支援するたくさんの種類のパンフレットがありましたが、なぜかこの助成金についての物はありませんでした。そこで、次に助成金関係の部署がどこにあるのか探しました。担当者に直接聞くためです。それは、2階の奥まった部屋にあり、助成金関係の担当者として50歳前後と思われる2人が配置されていました。二人のうち右側の、パソコンに向かってなにやら打ち込んでいる眼鏡をかけた細面の一人へ、早速この「地域再生中小企業創業助成金」のことを尋ねてみました。

 「税理士社会保険労務士をやっている溝江と申します。はじめまして、こんにちは。昨年の12月1日に施行された失業状況の改善を目的とした地域再生の中小企業創業助成金のことでちょっとお伺いしたいのですが。」と話しかけますと、その担当者は見つめていたパソコンから目を上げ、私の顔を見てキョトンとしています。そこで、再度「昨年の12月1日から施行された中小企業創業助成金のことでお伺いしたいのですが。」と言いますと、そんな助成金の名前など初めて聞いたと言う表情で、「助成金の関係なら札幌市ではハローワークの管轄ではなく、労働局の方で一括して受けているのでそちらへ行ってください。」と取り付く島もないそっけない返事が返ってきました。彼らはここの助成金関係の管轄担当者の筈です。その対応ぶりに唖然とし、私は思わず椅子からころげ落ちそうになりました。

 「でも、そのチラシには最寄のハローワークにご確認くださいと書いてありましたよ。」と私が少し強く言うと、その担当者はなぜか急におどおどし始めました。おそらく自分がこの助成金について何も知らないということに恥ずかしさを感じ始めたからでしょう。それを見ていた私としては、「こんな担当者じゃ、どうしようもないな」と思い至り、横にいるもう一人のちょっと年配で小顔の担当者へ声をかけました。「ねぇ、役所から来たチラシに地域再生の中小企業創業助成金のことが書いてあったので、ここに来たのですが、ご存知ですか?」と聞くと新たな担当者は、私の顔など見ないで、「今あるのはこんな助成金です。」と近くにあったパンフレットを示しながら話し始めました。しかし、そのパンフレットには私が知りたかったこの助成金についての記載がないことを事前に確かめてあったので、彼の話を遮って、その旨を伝えると、「今はこれだけなんだよね。」挙句の果ては「地方はともかく札幌では、助成金についてはハローワークではなく労働局のほうでやっています。」と先ほどの人と同じことを言います。さらには、「言い逃れのように感じられるかもしれませんが。」とまで言い出しました。これでは全くらちが空きません。

 私は言いました。「それでは、まさしく、言い逃れでしょう。チラシにハローワークにご確認くださいと書かれてますよ。」「現在のように厳しい雇用状況を少しでも何とかしようとして政治が懸命に新しい制度を作っても、あなた方役人がその制度を積極的に生かそうとしないのならば、まさに仏作って魂入れずではないですか。」私としてはあきれ返って怒る気力も失せ、ごく穏やかに彼らの姿勢を質しました。

 私は彼らの上司ではありませんが、とにかく、彼らに「地域再生中小企業創業助成金」と言うこれからの世の中にとって有効でかつ必要とされるであろう制度が存在することをまず知って貰う必要があると思い、「厚生労働省のサイトで検索してみてください。」と検索を促しました。

 3人の間にお互い無言の時間が経過していきます。数分後、やっと最初の担当者がこの助成金のチラシを厚生労働省のサイトから印刷してくれました。しかし、それは私が昨日ネットで探したものと同じもので、とても私の疑問に答えてくれるような代物ではありません。

 彼ら2人はハローワークで働く現役の助成金関係の担当職員です。今回照会した助成金は確かに彼らが直接担当すべき助成金ではなかったのかも知れません。しかし、チラシにハローワークにご確認くださいと書いてあるのですから、少なくてもそんな助成金を知らないとは言えないはずです。 いくら新しい助成金でもその存在そのものと多少の概要の知識を持っているべきではないでしょうか? 詳細については他の専門部署に廻してもよいでしょうが、今情報を欲している者に対して、少なくても第1次的な対応だけはできるようにしておくのが彼らとハローワークの責任ではないのでしょうか? さらに、これらの法律を周知徹底すべき上級官庁の責任はどうなっているのか、今更ながらに疑問に感じました。縦割り行政のシステムが横断的政策立案の妨げになっているとの指摘はよく聞かれますが、今回のように厚生労働省管轄の縦割りシステムの中でさえ、スムーズな情報の伝達と共有ができていない、そんな情けない無責任な官僚組織の一端が垣間見えた一瞬でした。

 いずれにしろ、失業率を改善しようとする対策はハローワークの本来業務の範疇ですから、現場に携わる者は、今回の助成金のように迅速に普及を図るべき制度については、その情報の取得とそれを事業主や求職者に広く伝達する所内体勢を迅速に築くことが大切です。また、上級官庁はその制度の実効を1日でも早く上げるようにするために、その方策を下部官庁へ確実に伝える工夫が求められます。そう、上から下までの迅速な連係プレーが要求されるのです。すなわち、それは、「仏を作ったならば、即、魂を入れよ」ということです。これにより、今回の助成金などの制度が景況感の回復と失業率の悪化防止に初めて役立つ対策となるのです。

 皆さんはどう考えますか?

 See you next !

 「地域再生中小企業創業助成金」については、以下のサイトの「お知らせ」にある「創業に頼もしい助成金」をご覧下さい。
http://www.ksc-kaikei.com/

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          税理士 溝江 諭 KSC会計事務所
     札幌市豊平区美園12条7丁目7-1    011-812-1672
          http://www.ksc-kaikei.com/

     札幌学院大学  客員教授  税務会計論担当  溝江 諭

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