◆内々定取り消しに
慰謝料を含む解決金約75万円
採用試験を経て、会社が「この人を
採用しよう」と決めると、まず「あなたを
採用することにしました」と本人に伝えます。
一般に、この段階は「内々定」と言われています。
その後、所定の手続きを経て「内定」→「入社」となります。
この「内々定」の段階で
採用を取り消したことの違法性が争われた
労働審判で、裁判所は会社に解決金として75万円の支払いを命じました。
4月13日の日経新聞の夕刊によると、福岡県の20代男性が、景気悪化で
採用の内々定を取り消した福岡市の不動産会社を相手に、約370万円の
損害賠償を求めた
労働審判で、福岡地裁は13日、不動産会社に
慰謝料などを含む解決金約75万円の支払いを命じたということです。
記事によると男性は、2008年7月、会社から文書で内々定の通知を受け取ったものの、内定式直前の9月、金融危機を理由に内々定取り消しを知らせる文書が届いたとのこと。
審理で会社側は「正社員も削減しなくてはならない状況下で内々定取り消しは仕方がなかった」と違法性を否定。男性側は「取り消しは
労働契約の一方的な解除で違法」と主張し、同社で1年働いた場合に得られる
賃金など約370万円の
損害賠償を求めていました。
◆内定と内々定
「内定」とは、「入社日等を始期とする解約権留保付
労働契約が成立した」とされています。
つまり、こういうことです。
・
採用内定は、解約権を会社が留保した特別な
労働契約が成立したということである。
・
契約の成立は、会社が
採用内定通知を出し、内定者が誓約書を提出した時点。
・従って、内定取り消し=解雇である。
一方、「内々定」というのは、いわば「
採用の予約」。
したがって、
労働契約の成立にいたったとまでは言えないと考えられています。
今回のケースでは、男性側は、「内々定取り消しは
労働契約の一方的な解除」と主張していました。
この点について裁判所がどういう判断をしたのか、報道ではよく分りません。
内々定を、
採用の予約、つまり
労働契約は成立していないと解釈すれば、次のようになります。
「
採用予定の段階にとどまる場合の
採用内定(内々定、筆者注)の取り消しは、あくまでも
労働契約成立前のことなので「
労働契約の解除」には該当せず、労働法上の「解雇」にはならない」(「
採用から
退職までの法律知識」安西愈著、中央経済社)。
しかし、たとえそうであったとしても、内々定の取り消しが不当なものであれば、「予約
契約の不当破棄という
民法上の
不法行為としての
損害賠償責任」(同書)を会社が負う可能性があるわけです。
たとえ、内定式や誓約書の提出などの手続きを経る前であっても、会社が責任を問われる可能性はありますので、会社は十分注意しましょう。
◆内々定取り消しに慰謝料を含む解決金約75万円
採用試験を経て、会社が「この人を採用しよう」と決めると、まず「あなたを採用することにしました」と本人に伝えます。
一般に、この段階は「内々定」と言われています。
その後、所定の手続きを経て「内定」→「入社」となります。
この「内々定」の段階で採用を取り消したことの違法性が争われた労働審判で、裁判所は会社に解決金として75万円の支払いを命じました。
4月13日の日経新聞の夕刊によると、福岡県の20代男性が、景気悪化で採用の内々定を取り消した福岡市の不動産会社を相手に、約370万円の損害賠償を求めた労働審判で、福岡地裁は13日、不動産会社に慰謝料などを含む解決金約75万円の支払いを命じたということです。
記事によると男性は、2008年7月、会社から文書で内々定の通知を受け取ったものの、内定式直前の9月、金融危機を理由に内々定取り消しを知らせる文書が届いたとのこと。
審理で会社側は「正社員も削減しなくてはならない状況下で内々定取り消しは仕方がなかった」と違法性を否定。男性側は「取り消しは労働契約の一方的な解除で違法」と主張し、同社で1年働いた場合に得られる賃金など約370万円の損害賠償を求めていました。
◆内定と内々定
「内定」とは、「入社日等を始期とする解約権留保付労働契約が成立した」とされています。
つまり、こういうことです。
・採用内定は、解約権を会社が留保した特別な労働契約が成立したということである。
・契約の成立は、会社が採用内定通知を出し、内定者が誓約書を提出した時点。
・従って、内定取り消し=解雇である。
一方、「内々定」というのは、いわば「採用の予約」。
したがって、労働契約の成立にいたったとまでは言えないと考えられています。
今回のケースでは、男性側は、「内々定取り消しは労働契約の一方的な解除」と主張していました。
この点について裁判所がどういう判断をしたのか、報道ではよく分りません。
内々定を、採用の予約、つまり労働契約は成立していないと解釈すれば、次のようになります。
「採用予定の段階にとどまる場合の採用内定(内々定、筆者注)の取り消しは、あくまでも労働契約成立前のことなので「労働契約の解除」には該当せず、労働法上の「解雇」にはならない」(「採用から退職までの法律知識」安西愈著、中央経済社)。
しかし、たとえそうであったとしても、内々定の取り消しが不当なものであれば、「予約契約の不当破棄という民法上の不法行為としての損害賠償責任」(同書)を会社が負う可能性があるわけです。
たとえ、内定式や誓約書の提出などの手続きを経る前であっても、会社が責任を問われる可能性はありますので、会社は十分注意しましょう。