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希望退職、退職勧奨と退職強要

5月30日の朝日新聞に、日本IBMの社員3人が5月29日、昨年秋からの全社的なリストラで、人格否定や脅迫まがいの退職強要を受けて人権を侵害されたとして、同社を相手取り、1人300万円の精神的損害の賠償や今後の退職強要の差し止めなどを求める訴訟を東京地裁に起こしたという記事が掲載されていました。

実際にこのようなことがあったのかどうか、ここでは何とも言えません。
裁判の結果を待つしかありません。

ただ、この件は、リストラに伴って人員整理をせざるを得なくなった場合に、会社が注意すべきポイントを改めて考えさせてくれます。


◆人員整理の方法は3通り

人員を削減する方法は、次の3つに整理できます。

・希望退職
退職勧奨
整理解雇


◆希望退職

希望退職制度とは、定年年齢到達前に自発的退職をした社員に対し、退職金割増などの優遇措置を講じ、早期の退職を促す制度です。

希望退職制度の場合は、退職する・しないは労働者の自由意志にまかされています。会社が退職を不当に勧誘した場合、権利の濫用として無効となります。


退職勧奨

退職勧奨は、会社が特定の従業員に対して、退職金割増などのインセンティブを示しつつ、退職を求めるものです。

これも、希望退職同様、退職する・しないは労働者の自由意志にまかされており、会社が退職を不当に勧誘した場合、権利の濫用として無効となります。


整理解雇

この場合、「整理解雇の4要件」が判断基準になります。


退職強要は違法

今回考えたいのは、希望退職退職勧奨
前述の通り、この場合、退職するかしないか、つまり会社の希望退職募集に応募するか・しないか、あるいは退職の勧誘に応じるか・応じないかは、あくまでも労働者の意志です。

会社から直接退職を勧奨された場合、本人は会社の強い意志を感じるでしょう。
応じざるを得ないかという気持ちが、希望退職募集以上に強く働く可能性が大です。

それが退職勧奨制度の意図ですし、それ自体は違法ではありません。

しかし、それ故に、勧奨のしかた、言い方には十分な注意が必要です。
受け手は、「勧奨された」というだけで、十分精神的なショックを受けますし、神経過敏にもなるでしょうから。

ですから、退職を強要したり、脅迫まがいのことは、断じてしてはなりません。

どうしてこうなるのかと言えば、「解雇」となると、解雇予告などの労働基準法上の要件や、労働契約法の「解雇権濫用の法理」など、さまざまな制約を回避しようと考えるからです。

だから、本人が希望退職退職勧奨に応じたという形にしたくなってしまうのですが、これは大変リスキーです。

確かに解雇には様々な制約があります。
しかし、希望退職退職勧奨を実施しても、計画通りの削減ができなかったからといって、強引に勧奨に応じさせるようなことは、絶対にしてはなりません。

では、どうするか?
正攻法、つまり、誠意をもって従業員に説明し、解雇基準をきちんと定めたうえで解雇にふみきるという手段を取ることです。それしかりありません。
もちろん、解雇やむなしという状況であることが前提です。

HRM就業規則サポートセンター
http://www.hrm-solution.jp/index.htm

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http://www.hrm-consul.com/index.htm

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