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サラ金からの給与差し押さえ

◆事例:サラ金からの給与差し押さえ

 突然、裁判所から、ある従業員給与差押え命令が送られてきました。本人
に確認したところ、サラ金への返済が滞っていたとのこと。親戚から借りて急
いで返済するので、差押えには応じないで欲しいと言ってます。給与は今まで
どおり支払って構いませんか。

◇回答----------------------------------------------------------------
 差押命令書が送達され一定の期間が過ぎると、本人は直接返済できなくなり
ます。確実な返済の保証がない限り会社は差押えに応じなければなりません。
 もし会社が差押えずに給与を支払った場合、サラ金等から請求を受けること
があります。

■解説----------------------------------------------------------------
 個人の借金についてはプライベートな問題で、会社は関知しないところです
が、いざ返済が滞ると会社も大きな影響を被ることがあります。

 借金の返済が少々滞っても即、給与差押えとういことはないですが、度重な
る支払催促にも応じないような場合、業者は裁判所に差押えの訴えを起こすこ
ととなります。
 通常は、この段階でビビってしまい返済を急ぐものですが、裁判所からの呼
び出しにも応じないでいると、業者の言い分のまま判決が出されることとなり
ます。

 この判決が出ると、裁判所から給与支払者である会社に対し「特別送達」と
物々しい文字の入った封筒で給与差押命令が届き、この時点で会社にも知れる
こととなります。
 会社としては寝耳に水の話で、状況を把握しているうちに時間が経過してし
まいます。

 特に会社にとって怖いのは、差押命令書が到着してから2週間以内に「第三
債務者の陳述書」なる書面を裁判所に提出しなければなりません。
 内容は、在籍の有無や給与の支払の状況、差押えに応じる意思確認等ですが、
普段なじみのない書類であり、かなり戸惑います。しかも2週間以内に提出す
ることとなっており、これを怠ると損害賠償の義務まで生じることとなり、厄
介な代物です。
 
 また、本人への状況確認の過程で「すぐに返済するから給与の差押えはしな
いで欲しい」と懇願される場合があります。これに対しては毅然たる態度で接
しなければなりません。
 たとえ本人が即座に返済したとしても、業者が差押えの取り下げをしない限
り差押命令は依然として残っており、会社としてはこの命令を無視するわけに
いきません。

 ところで、会社が給与から差押えるべき額は、給与総額から源泉所得税、地
方税、社会保険料通勤定期代等の法定額を控除後の額の4分の1とされてい
ます。但し、給料等から法定控除した金額が28万円を超える場合は、ここか
ら21万円を控除した額を差押えることとされています。要は21万円は最低
の生活保証のために残してもらえるということです。

 この算定は給与支払の都度行わなくてはならず、毎月一定額の給与であれば
ともかく、残業代等があると極めて煩雑でもあります。
 もちろん賞与も同じ算式で差押えなければならず、差押え額が多いと、数年
にわたることさえあります。

 実際の会社から業者への支払に際しては、前述の陳述書を提出した後に業者
から支払の方法等についての問い合わせや書面での連絡があります。業者は相
当慣れているらしく、こちらの状況等にお構いなく極めて事務的に進めてきま
す。
 回収が確実であれば(会社が窓口になるので)、4分の1の算出は必ずしも
厳密に行わなくても構わないという業者が多いです。 あとは、毎月の給与支
払の都度、差押え額を直接業者に支払うこととなります。
その期間は、差押命令書に記載された額(未返済額の他、金利や裁判費用まで
含まれる)に到達するまで続きます。

 支払方法は振込のケースが多いですが(人相の悪い者に来られてもねぇ)、
振込料は業者が負担するよう言い渡しておきます。


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