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ブラック企業

わが社がブラック企業に認定されている!?事前・法的対策を弁護士が解説

2023.05.17

いつの間にか、自社がブラック企業と認定されていたなんてことがあります。少し前までは、“やりがいのある会社”のようにいわれていたのに、いつの間に“やりがい搾取”のブラック企業といわれたりするのです。このようなときに、弁護士である筆者がどのような法的対応をとれるのかや、事前にできる対策を解説します。

ブラック企業とは何か

そもそも、ブラック企業とはどのような会社でしょうか。法律的に明確な定義などありません。もちろん、残業代を支払わなかったり、パワハラ・セクハラが横行したりしている会社がブラック企業であることは間違いありません。ただ、たとえ残業代は支払われ、それなりに給与はよくても、極端な長時間労働やノルマを課すような企業もブラック企業といわれています。また、最初は経営者の語る“夢”に共感した従業員が頑張って働いても、段々と疲労がたまってしまい、自分がブラック企業で働いているのだと認識するようなこともあるようです。

ブラック企業の特徴3つ

多くの場合、ブラック企業かどうかは、外部から見分けられるようです。

まずは、①従業員の士気が低くなっている会社は、ブラック企業と認定される可能性が高くなります。一部の社員の士気だけが高くて、他の社員がついていけないよう場合もこれに当てはまります。次に、②常に従業員を大量に募集しているような会社も、ブラック企業と認定される可能性が高いです。もともと、社員の定着率が悪く、大量採用が必要となるからです。そして、当然のことながら、③従業員の大量退職が行われるのもブラック企業の特色です。逆にいえば、上記のような社員や応募者が、掲示板などに「この会社はブラック企業だ」と情報発信するので、ブラック企業と認定されるということもいえます。

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なぜブラック企業に認定されるのか

一時、大々的にブラック企業を認定して、ネットで発表するような試みがなされていました。このような場合、ブラック企業と認定されるのは、誰もが知っている大企業です。たとえば、三菱電機・セブンイレブン・電通といった超有名企業や、長崎市といった公共団体などです。こういう名指しでの“ブラック企業認定”は、話題にすることが目的ですから、有名企業以外は扱われません。

それでは、中小企業が、“ブラック企業”とされるのがどういう場合かというと、退職者が匿名掲示板に名指しで批判したり、就職先を探している人たちが、就職情報の交換をする掲示板で非難したりするような場合です。だからこそ、先ほども説明したように、大量採用している会社や、大量退職している会社は、“ブラック企業”認定されやすくなるのです。

ブラック企業といわれた場合の対応策とは

自社のことをブラック企業だといわれて、平気でいられる経営者は少ないでしょう。ただ、反発したくなる気持ちを押さえ、思い当たることがあれば、直すべき点は直すのが一番大切です。飲食業など、昔はブラック企業の代名詞のようにいわれていたはずです。多くのアルバイトにも長時間労働をさせて、アルバイトの有給取得は認めないといったことが当然に行われていました。

しかし現在は、飲食業においても待遇が改善されてきています。筆者の知り合いの飲食店経営者も、「長時間労働を止めるだけで、随分と従業員の顔色がよくなってきた」なんて話をしてくれました。そんな当たり前のことから、一歩ずつでも改善していけば、ブラック企業といわれることはなくなるはずです。世間や従業員の声に耳を傾け、問題点を洗い出し、改善していきましょう。

不当に非難された場合の対応とは

その一方、掲示板などに記載された「ブラック企業である」との非難が、個人の恨みに基づく不当なものである場合もあります。セクハラで退職になった従業員が、逆恨みして掲示板などに悪意のある書き込みをするような場合です。このようなときには、どこまで法的手段を利用するのかは、かなり難しい問題です。同じ人が何度も誹謗中傷を書き込んでいるような場合、誰が読んでもおかしいと思える内容ならば、放っておくというのも一つの選択です。なまじ、弁護士から警告文など送った場合、「自分がいじめられている被害者だ」といった形で、その警告文をネットにさらすようなこともあるからです。一方で、弁護士から厳しい警告を出したことにより、誹謗中傷が止むこともあります。まさに、小さい火は吹けば消えるが、大きな火はかえって燃え盛るということです。この辺はケースバイケースで考えるしかないようです。弁護士に相談の上、対応を考えましょう。

さらに、誹謗中傷している人が誰なのか特定できないような場合には、投稿者の情報開示を求めていくようなこともあり得ます。ただ、複数人が同じようにブラック企業認定をしているような場合は、自らを反省して、対応した方がよいことは間違いなさそうです。

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ブラック企業だといわれないために

退職後に会社を避難するような人は、何らかの条件が会社とマッチしていなかったと思われます。そのような人材を雇うことは。会社側としては採用コストがもったいなく、求職者としてもキャリアアップを試みる中、実は会社と合わなかったということは避けたいものです。採用段階の面接や面談の際に十分にすり合わせるようにしましょう。すり合わせておくべき項目としては大きく以下が挙げられます。

1)労働条件・・・給与や福利厚生、ワークライフバランスなどの認識のすり合わせを行いましょう
2)就業環境・・・オフィスを見学してもらうことや、リモートワークの有無や頻度なども話し合っておきましょう
3)評価水準・・・社内でどのようなキャリアアップが望めるのかを明確にし、評価基準も示しておきましょう
4)企業文化の理解・・・企業理念に共感してもらえているのか、また、入社後も経営者自らが浸透させる機会をつくりましょう

また、ブラック企業と認定されてしまうと、取引先からもよくは思われないでしょう。最悪の場合、取引終了ということもありえるかもしれません。そのようなことになる前に、ブランディングに力を入れ、外部からの見え方を見直すことも脱ブラック企業を目指す手段の一つです。

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最後に

最近は、ブラック企業とは反対に”ホワイト企業”という概念も広がっています。求職者の間では会社を選ぶ基準の一つとして考えられつつあるようです。厚生労働省が労働安全衛生に関して積極的な取組を行っている企業を認定・公表する「安全衛生優良企業公表制度」も平成27年から続いています。これを機に、自社のリブランディングに力を入れてみてはいかがでしょうか。

【参考】安全衛生優良企業公表制度 / 厚生労働省

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*jessie, foly, asu0307, takeuchi masato, タカス, ふじよ, kouta / PIXTA(ピクスタ)

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