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■
行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第86号/2006/8/15>■
1.はじめに
2.「
会社法務編/中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(30)」
3.「市
民法務編/ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(13)」
4.編集後記
**********************************************************************
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1.はじめに
**********************************************************************
残暑お見舞い申し上げます。
暦の上では秋ですが、まだまだ暑さ厳しい折、いかがお過ごしでしょうか?
ちなみに、先週の私は、宮崎県の委託作業(県
行政書士会で受託)のため、
クールビズに身を包み、県庁へ
通勤する毎日でした。
28℃に設定された室内温度は、暑がりの私にとっては、少々辛いものでしたが、
仕事そのものは、今後の業務に生かすことができる興味深いものであり、
とても有意義な1週間を過ごすことができました。
また、仕事に慣れた週の後半は、久々の会社員気分を楽しむ余裕も生まれ、
今から、次回の担当週が待ち遠しい今日この頃です。
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
★11/12(日)実施予定の「平成18年度
行政書士試験(※1)」の直前総まとめには、
「2006年度版これでいける!
行政書士Vol.4(※2)」をご活用ください!!
※1)財団
法人行政書士試験研究センター
http://gyosei-shiken.or.jp/
※2)TAC出版(CyberBookStore)
http://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/1933/
私は、「行政法科目のすべて」の執筆を担当しています。
☆当事務所では、「
行政書士の受験・業務」に関連する内容について、
原稿執筆のご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)にて、お気軽にご相談ください。
なお、「当事務所の原稿執筆実績(2002/12~2006/7)」については、
こちら(※)をご覧ください!!
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/post_ccb6.html
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2.「
会社法務編―中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(30)」
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★本号では、「
会社法(全8編/全979条)」の中から、
「第4編
社債」の概要について、ご紹介します。
■第4編
社債(第676条~第742条)
□
社債とは、「
会社法の規定により、
会社が行う割当てにより発生する、当該会社を
債務者とする金銭
債権であって、
第676条各号についての定めに従い償還されるもの」であり(第2条第23号)、
会社が、不特定多数の者から資金調達を行うために、募集・発行されます。
「
社債」に関する規定は、
旧
商法では、「第2編会社―第4章
株式会社」に置かれていましたが、
会社法では、独立した「第4編」として規定されており、
株式会社に限らず、すべての会社類型(
特例有限会社、持分会社)で、
社債の発行が可能となりました。
□一般に、中小企業・
ベンチャー経営者の資金調達手段は、
「間接金融(金融機関からの融資等による資金調達)」が主体と思われますが、
会社法の施行に伴い、
株式会社以外の会社にも、
「
直接金融(新株や
社債の発行による資金調達)」活用の道が開かれ、
資金調達手段の多様化が促進されたといえます。
□少人数私募債
「少人数私募債(少人数の縁故者や取引先を対象として発行する
社債)」は、
通常の
社債と比べて、「手続きが簡素、無
担保で発行が可能」といったメリット
がありますので、特に、中小企業・
ベンチャー経営者様にとっては、
ご検討される価値は十分にあると思われます。
ただし、その発行には、一定の条件を満たす必要があるなど、
テクニカルな面での制約もありますので、注意が必要でしょう。
また、自治体(※)によっては、「少人数私募債の発行」に関して、
情報提供や支援策を講じている場合もあるようですので、
一度、お調べになってみてはいかがでしょうか?
※)東京都足立区の例
http://www.city.adachi.tokyo.jp/005/d03700005.html
★次号(2006/9/1発行予定の第87号)では、
「第5編 組織変更、
合併、
会社分割、
株式交換および
株式移転」の概要について、
ご紹介する予定です。
★当事務所では、「
会社法の施行に伴う諸手続き(※)」に関して、
ご相談・ご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用の上、
どうぞお気軽にご連絡ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_ac8d.html
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3.「市
民法務編―ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(13)」
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★本号では、「
民法(全5編/全1044条)」のうち、
「第2編
物権―第6章 地役権&入会権」の概要について、ご紹介します。
■第6章 地役権(第280条~第294条)
□地役権とは、「自己の土地(要役地)の便益のために、
他人の土地(承役地)を利用する権利」のことであり(第280条)、
「A地(要役地)」の所有者Xが、道路に出るために、
「Y所有の隣地B地(承役地)」を通行する権利(通行地役権)などが、
その代表例です。
□地役権の性質
1.付従性
地役権は、原則として、要役地の
所有権に従たるものとして、
その
所有権とともに移転し、または、
要役地について存する他の権利の目的となります(第281条第1項本文)。
また、地役権は、要役地から分離して譲り渡し、
または、他の権利の目的とすることはできません(同条第2項)。
2.不可分性
土地の共有者の1人は、その持分について、
その土地のために、または、その土地について存する地役権を
消滅させることはできません(第282条第1項)。
また、土地の分割またはその一部の譲渡の場合には、
地役権は、原則として、その各部のために、または、
その各部について存します(同条第2項本文)。
さらに、
民法では、要役地が共有の場合における、
「
時効取得(第284条)や
消滅時効(第292条)」についても、
規定しています。
3.
時効取得(第283条)と
時効による消滅(第289条~第293条)
□「公道に至るための他の土地の通行権(第210条/囲繞地通行権)」は、
囲まれた土地の
所有権に基づく効力であり、
土地の利用に最小限必要な範囲で、法律上当然生じますが、
通行地役権の具体的な内容は、その設定
契約によって定められます。
■入会権
□入会権とは、「入会(一定地域の住民が、一定の山林・原野等を、
共同で使用すること)に関して認められる慣習上の権利」のことです。
1.共有の性質を有する入会権は、各地方の慣習に従うほか、
民法の共有の規定(第249条~第264条)が適用されます(第263条)。
2.共有の性質を有しない入会権は、各地方の慣習に従うほか、
前述の地役権の規定(第280条~第294条)が適用されます(第294条)。
□入会林野の整備
現在、「入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律」に基づき、
「入会林野の整備(入会権の存する林野について、
農林業上の利用増進を図るため、現存の入会権を
所有権等に改めること)」
が進んでいるようです。
なお、当該業務について、わが宮崎県では、
「環境森林部 山村・木材振興課(※)」が担当しています。
※)
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/index/org/kankyo/index_mokuzai.html
★次号(2006/9/1発行予定の第87号)では、
「
民法第2編
物権―第7章
留置権」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
**********************************************************************
■最近、気になることが一つ・・・。
それは、台風シーズン真っ只中の今月、
相次いで来襲する台風が、日本列島に大きな影響を及ぼしていますが、
毎回、「進路の予測が非常に難しい」ということです。
かつて、わが宮崎県を含む九州南部が「台風銀座」と呼ばれていた頃、
台風は、決まって、日本の遥か南方の海上で発生、
徐々に北上し、九州南部に上陸することが多かったような・・・。
ところが、最近の台風は、比較的、日本に近い海域で発生した挙句、
予測の難しい不規則な動きをした上で、
四国・近畿・東海地方に上陸することが多いような気がします。
何はともあれ、日頃から、物心両面での備えを心がけておきたいものです。
■第86号は、いかがでしたか?
次号(第87号)は、2006/9/1発行予定です。
■編集責任者:
行政書士 津留信康
□津留
行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□
行政書士・津留信康の法務サポートblog
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(
http://www.mag2.com/)」を利用しており、
購読の解除は、「
http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。
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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第86号/2006/8/15>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(30)」
3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(13)」
4.編集後記
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1.はじめに
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残暑お見舞い申し上げます。
暦の上では秋ですが、まだまだ暑さ厳しい折、いかがお過ごしでしょうか?
ちなみに、先週の私は、宮崎県の委託作業(県行政書士会で受託)のため、
クールビズに身を包み、県庁へ通勤する毎日でした。
28℃に設定された室内温度は、暑がりの私にとっては、少々辛いものでしたが、
仕事そのものは、今後の業務に生かすことができる興味深いものであり、
とても有意義な1週間を過ごすことができました。
また、仕事に慣れた週の後半は、久々の会社員気分を楽しむ余裕も生まれ、
今から、次回の担当週が待ち遠しい今日この頃です。
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
★11/12(日)実施予定の「平成18年度行政書士試験(※1)」の直前総まとめには、
「2006年度版これでいける!行政書士Vol.4(※2)」をご活用ください!!
※1)財団法人行政書士試験研究センター
http://gyosei-shiken.or.jp/
※2)TAC出版(CyberBookStore)
http://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/1933/
私は、「行政法科目のすべて」の執筆を担当しています。
☆当事務所では、「行政書士の受験・業務」に関連する内容について、
原稿執筆のご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)にて、お気軽にご相談ください。
なお、「当事務所の原稿執筆実績(2002/12~2006/7)」については、
こちら(※)をご覧ください!!
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/post_ccb6.html
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2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(30)」
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★本号では、「会社法(全8編/全979条)」の中から、
「第4編 社債」の概要について、ご紹介します。
■第4編 社債(第676条~第742条)
□社債とは、「会社法の規定により、
会社が行う割当てにより発生する、当該会社を債務者とする金銭債権であって、
第676条各号についての定めに従い償還されるもの」であり(第2条第23号)、
会社が、不特定多数の者から資金調達を行うために、募集・発行されます。
「社債」に関する規定は、
旧商法では、「第2編会社―第4章株式会社」に置かれていましたが、
会社法では、独立した「第4編」として規定されており、
株式会社に限らず、すべての会社類型(特例有限会社、持分会社)で、
社債の発行が可能となりました。
□一般に、中小企業・ベンチャー経営者の資金調達手段は、
「間接金融(金融機関からの融資等による資金調達)」が主体と思われますが、
会社法の施行に伴い、株式会社以外の会社にも、
「直接金融(新株や社債の発行による資金調達)」活用の道が開かれ、
資金調達手段の多様化が促進されたといえます。
□少人数私募債
「少人数私募債(少人数の縁故者や取引先を対象として発行する社債)」は、
通常の社債と比べて、「手続きが簡素、無担保で発行が可能」といったメリット
がありますので、特に、中小企業・ベンチャー経営者様にとっては、
ご検討される価値は十分にあると思われます。
ただし、その発行には、一定の条件を満たす必要があるなど、
テクニカルな面での制約もありますので、注意が必要でしょう。
また、自治体(※)によっては、「少人数私募債の発行」に関して、
情報提供や支援策を講じている場合もあるようですので、
一度、お調べになってみてはいかがでしょうか?
※)東京都足立区の例
http://www.city.adachi.tokyo.jp/005/d03700005.html
★次号(2006/9/1発行予定の第87号)では、
「第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換および株式移転」の概要について、
ご紹介する予定です。
★当事務所では、「会社法の施行に伴う諸手続き(※)」に関して、
ご相談・ご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用の上、
どうぞお気軽にご連絡ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_ac8d.html
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3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(13)」
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★本号では、「民法(全5編/全1044条)」のうち、
「第2編 物権―第6章 地役権&入会権」の概要について、ご紹介します。
■第6章 地役権(第280条~第294条)
□地役権とは、「自己の土地(要役地)の便益のために、
他人の土地(承役地)を利用する権利」のことであり(第280条)、
「A地(要役地)」の所有者Xが、道路に出るために、
「Y所有の隣地B地(承役地)」を通行する権利(通行地役権)などが、
その代表例です。
□地役権の性質
1.付従性
地役権は、原則として、要役地の所有権に従たるものとして、
その所有権とともに移転し、または、
要役地について存する他の権利の目的となります(第281条第1項本文)。
また、地役権は、要役地から分離して譲り渡し、
または、他の権利の目的とすることはできません(同条第2項)。
2.不可分性
土地の共有者の1人は、その持分について、
その土地のために、または、その土地について存する地役権を
消滅させることはできません(第282条第1項)。
また、土地の分割またはその一部の譲渡の場合には、
地役権は、原則として、その各部のために、または、
その各部について存します(同条第2項本文)。
さらに、民法では、要役地が共有の場合における、
「時効取得(第284条)や消滅時効(第292条)」についても、
規定しています。
3.時効取得(第283条)と時効による消滅(第289条~第293条)
□「公道に至るための他の土地の通行権(第210条/囲繞地通行権)」は、
囲まれた土地の所有権に基づく効力であり、
土地の利用に最小限必要な範囲で、法律上当然生じますが、
通行地役権の具体的な内容は、その設定契約によって定められます。
■入会権
□入会権とは、「入会(一定地域の住民が、一定の山林・原野等を、
共同で使用すること)に関して認められる慣習上の権利」のことです。
1.共有の性質を有する入会権は、各地方の慣習に従うほか、
民法の共有の規定(第249条~第264条)が適用されます(第263条)。
2.共有の性質を有しない入会権は、各地方の慣習に従うほか、
前述の地役権の規定(第280条~第294条)が適用されます(第294条)。
□入会林野の整備
現在、「入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律」に基づき、
「入会林野の整備(入会権の存する林野について、
農林業上の利用増進を図るため、現存の入会権を所有権等に改めること)」
が進んでいるようです。
なお、当該業務について、わが宮崎県では、
「環境森林部 山村・木材振興課(※)」が担当しています。
※)
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/index/org/kankyo/index_mokuzai.html
★次号(2006/9/1発行予定の第87号)では、
「民法第2編 物権―第7章 留置権」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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■最近、気になることが一つ・・・。
それは、台風シーズン真っ只中の今月、
相次いで来襲する台風が、日本列島に大きな影響を及ぼしていますが、
毎回、「進路の予測が非常に難しい」ということです。
かつて、わが宮崎県を含む九州南部が「台風銀座」と呼ばれていた頃、
台風は、決まって、日本の遥か南方の海上で発生、
徐々に北上し、九州南部に上陸することが多かったような・・・。
ところが、最近の台風は、比較的、日本に近い海域で発生した挙句、
予測の難しい不規則な動きをした上で、
四国・近畿・東海地方に上陸することが多いような気がします。
何はともあれ、日頃から、物心両面での備えを心がけておきたいものです。
■第86号は、いかがでしたか?
次号(第87号)は、2006/9/1発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
□津留行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□行政書士・津留信康の法務サポートblog
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