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自社型カンバン方式の導入

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2006年10月2日発行 第1・第3週月曜日発行
メールマガジン:経営のパートナー VOL2
<経営学で企業を再生する>
【発行責任者】経営テクノ研究所 代表 舘 義之
【E-mail】tate@agate.plala.or.jp
【H P】http://www9.plala.or.jp/keiei-techno
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◆CONTENTS◆
VOL2.管理手法
●自社型カンバン方式の導入
●閑話休題「リーダーは心的不安を克服せよ」
■舘義之小冊子紹介
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●自社型カンバン方式の導入

 宇都宮の繊維メーカーで「自社型カンバン方式」の導入お手伝いをしてき
ました。今回は、その内容をご紹介することにします。
 さて、管理手法につきましては、まだいろいろとご紹介したい内容があり
ますが、今回のカンバン方式で終了とし、次回からは、「マーケティング」
に関して解説していくことにします。

1.トヨタ自動車のずば抜けた高収益の要因
 不況下にもかかわらず、トヨタ自動車がなぜ、ずば抜けた高収益をあげた
のでしようか。その構造の秘密を、ごく簡単な方程式で示せば、次のように
なります。
 (A+B)×C=D

 つまり、トヨタの徹底した合理化をA、無借金経営をB、さらにグループ
を含めた企業スケールをCとします。そして、最後に巨大なトヨタの利益を
Dとします。

 簡単明瞭な方程式ですが、企業スケールの値を動かせば、あらゆる企業、
それは、零細な企業から大企業まで応用できる方程式です。

 ここでは、Aについてふれていくことにします。このAという合理化を因
数分解すると、そこには、2つの「素数」があります。

 第1に「カンバン方式」を中心とする独特のトヨタ風の生産方式があげら
ます。第2は「アイデアとケチケチ作戦」です。これらの総和が合理化とい
うAを構成する素数です。

2.カンバン式生産方式(カンバン方式)の概要
 トヨタの独自な「生産方式」は、中小企業にこそ、あいふさわしい方式だ
という点です。それを大企業のトヨタが臆面もなく実行していることが、巨
大利益を生む大きな要因になっているのです。

 トヨタ式生産方式を研究すると、そこにマスプロ、マスセールス時代に幻
惑された中小企業の大きな問題点が、浮かびあがってきます。もちろん、こ
の問題は多くの大企業も同様です。仮に、6~15人の企業でも、トヨタ式
の生産方式を導入すれば、間違いなく、驚くほどの合理化は可能になります。

 しかし、なまじっかな理解でこの方式を採用すれば、大怪我も必定です。
周囲から総スカンを食って、赤字を背負って撤退せざるをえない羽目に陥る
ことになります。

 安易な猿真似は、世間から袋叩きされるのは確実という危険きわまりない
生産方式であるのを承知したうえで、トヨタ方式を採用するなら、その合理
化効果はたいへんなものになります。

 トヨタ生産方式の目標は、ムダの徹底的な排除にあります。カンバン方式
を理解するためには、トヨタの開発した「7つのムダの発見ノウハウ」を学
びとることが必要です。

3.ジャスト・イン・タイムの思想はカンバン方式の中心を占める
 トヨタ生産方式は、「ジャスト・イン・タイム」「工数の低減」「ムダの
追放」「標準作業方式の設定」など、生産合理化のうえに築かれたものです。

 なかでも、「ジャスト・イン・タイム」の思想は、カンバン方式の中心を
占めるものです。つまり、必要なときに必要な数だけ用意する、という考え
です。

 たとえば、ヘッドランプを組み付ける生産ラインに車が流れてきます。そ
の横には、1箱に20個つめられた木箱が5つ重ねられています。最後のひ
とつを組み付けた作業員が、新しい箱に手をつけます。

 そのとき、新しい箱の前に1枚のカード、つまり「カンバン」がついてい
ます。新しい箱から作業員が最初のヘッドランプを取り出す前に、まず「カ
ンバン」をとって、生産ラインの横に備え付けてあるポストに入れます。

 20台の車が通り過ぎて、また新しい箱に手をつけるときも、最初に「カ
ンバン」をとってポストに入れる作業から始めることになります。ちょうど、
ポストに5枚の「カンバン」がたまったころ、部品メーカー担当者が、1箱
20個入りのヘッドランプを5箱持ってきます。

 部品メーカーとの距離、ラインの速度などが計算されていて、ラインの在
庫がなくなるころに、部品メーカーから新たな部品が届くように仕組まれて
います。

 そこで、新しい5箱のヘッドランプを運んできた部品メーカーの担当者は、
帰り際、ポストにたまっている5枚の「カンバン」を持ち帰って、部品メー
カーの製造部門に渡します。これを受け取った製造担当者、5枚の「カンバ
ン」に見合うヘッドランプの製造に着手します。

 むろん、5枚の「カンバン」を受け取ってから製造に着手するのでは、と
てもトヨタへの納入に間に合いません。そこで、当然のことながら部品メー
カーに対しては、3ヶ月とか1ヶ月といった単位で、つねに平準化された生
産ができるような発注指示が、コンピューターによってトヨタ側から出され、
ネットで瞬時にやり取りできるようになっています。

 このように、原理はきわめて簡単ですが、この間、どの部門をみても余分
な在庫があってはなりません。在庫ゼロの理想的な回転が行なわれなければ
ならないのです。

4.自社型カンバン方式導入のステップ
 自社型カンバン方式の導入は、次のようなステップで進めていくとよいで
しよう。

(1)職場のムダの排除
(2)工数の低減
(3)工程の人減らし
(4)標準作業の設定
(5)自社型カンバン方式

 以下、自社型カンバン方式の具体的な内容を示すと、次の通りです。

(1)生産計画
●平準化生産(規則正しいタクトタイム)
●異種混合生産
●カンバン発行

(2)標準作業書
●部品別能力表(生産能力)
●標準作業組合せ表(サイクルタイム、作業順序、標準手待ち)
●作業指導書

(3)工程編成
●レイアウト(U型、1個送り同期化生産方式)

(4)カンバンの運用化
●カンバンの種類と部品カンバン(仕掛カンバン、取引カンバン)
●部品カンバンの作成・発行(仕入先別の色別化→作業標準書による)
●カンバン枚数の決め方(生産能力、時間、数量)
●部品カンバン月度回転枚数と改廃(生産台数→部品カンバン台帳、部品カ
ンバン増リスト、部品カンバン減リスト、部品カンバン調整表、カンバン返
却チェックシート)
●月度カンバン操作(生産台数の変動→カンバン増減)
●部品カンバンの運用(後工程が使ったものだけが、前工程にまわる)
●運搬台車(カンバンの約束事に準拠させる)

(5)環境条件の標準化・同期化の促進
●機械・装置に異常があったときの自動停止装置
●異常検出器の開発設置
●異常検出器のチェック間隔・点検
●同期化(協力工場も含む)
●カンバンのメンテナンス
●生産ロットの縮小化
●輸送単位の小ロット化
●トラブル発生時の緊急対策の事前打合せ徹底
●機械・装置のメンテナンス

(6)ライン・レイアウトの変更
●生産ラインの変更
●工場レイアウトの変更
●協力工場の生産体制・立地条件の再検討

(7)カンバン方式の基本原則
●生産計画は平準化する
●ロットをできるだけ小さくする
●必要なものを、必要なときに、必要なだけつくる

 ところで、カンバン方式の導入を成功させるための要因としては、
 第1に、カンバン方式に対する従業員意識の浸透とトップがしっかりとし
た決断を持っていること。
 第2は、カンバン方式による生産管理を真に理解し、その採用を強引に推
進する人材を確保すること。
 第3は、聞きかじりや猿真似といった中途半端な形での導入ではなく、そ
の仕組みを自社型にアレンジし、一部門で試験的に採用し、そこから得られ
たノウハウを積み重ねる形で、全社的に広げていくこと。
 第4に、協力工場に対しても、誤りのないように、カンバン方式運営の留
意点を徹底させること。
などが挙げられます。
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●閑話休題「リーダーは心的不安を克服せよ」

 人間の心の奥底というものは、暗く深い海の底に似ています。そこには、
人間が原始以来持っている本能的衝動、不安、恐怖、喜びなどの感情、理性、
良心はじめ権力欲、所有欲など、あらゆるものがうずまいています。そして、
人間の心は放っておけばマイナスの方向へ行こうとします。

 起こってもいもしないことを材料に不安をつのらせたりします。部下に悪
く思われていないか、自分の地位をおびやかす存在は誰か、こんな気持ちが
もたらす情緒不安定もリーダーシップ発揮にとっては大きな障害です。

 ところが、人間の生活というものは、どんなに恵まれたものであれ若干の
不安・心配のタネがあるから、自分でつくり出した不安・心配で心の中を乱
したままの人が案外多いものです。

 そこで、不安・心配に対処する方法として、2つ挙げることができます。

 第1は、絶対に逃げてはいけないことです。直視することからはじめるの
です。それが具体的なものであれば具体的に対処するのです。進退の調子が
おかしければ速やかに検査・診断をしてもらうのです。これ以外に解消の道
はありません。

 第2は、バク然とした不安・心配に関しては、なぜそうした想念が生じて
くるのかを考えてみることです。たとえば、リーダーとしての地位を失うか
も知れないという不安にさいなまれていたとします。 

 これには、それなりの根拠があるかも知れません。「1ヶ月前にミスをし
た」「自分より有能と思われる部下がいる」……など。しかし、そこまでわ
かっているなら具体的な手を打てばよいのです。

 だが、これは非常にむずかしい問題です。人間は、誰1人として劣等感を
持たない人はいないからです。ただ、リーダーは、自分の劣等感がどんなも
のであるか自己分析して、よく理解してやくことは必要です。

 一般に劣等感は、生い立ちからはじまって、それまで過ごしてきた人生の
あらゆる側面からさまざまな形でつくられています。劣等感には、補償とい
って、その感覚が一時的であれ補ってくれる要素があると、そこで停止しま
す。また、無意識の場合、それが自覚できたところで解消することがありま
す。

 その意味でリーダーは、自己をよく分析すると同時に個人的事柄でも気軽
に話せる存在を持つべきです。とにかく孤独になりがちのリーダーにとって、
これは大切な通気孔です。
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【発行責任者】経営テクノ研究所 代表 舘 義之
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