札幌市豊平区の
税理士 溝江 諭(みぞえさとし) です。
中小
会計要領の各論のうち主なものについて、
法人税法との異同を意識しながら見て行きましょう。
今回は、
棚卸資産 です。
(1)
棚卸資産は、原則として、取得原価で計上する。
(2)
棚卸資産の評価基準は、原価法又は低価法による。
(3)
棚卸資産の評価方法は、
個別法、
先入先出法、
総平均法、
移動平均法、
最終仕入原価法、
売価還元法等による。
(4)時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復の見込みがあると判断した場合を除き、
評価損を計上する。
【解説】
商品、製品、半製品、仕掛品、原材料等の
棚卸資産は、購入金額に
付随費用を加えた購入時の金額(取得価額)に基づき、また、製造業の場合は、製品製造のために使用した
材料費、
労務費及び製造
経費を積算し、取得原価を計算します。また、(3)にあるように、
個別法、
先入先出法、
総平均法、
移動平均法、
最終仕入原価法、
売価還元法等により期末の金額(取得原価)を計算します。
(1)にあるように、
棚卸資産は、原則として、取得原価で計上します。(2)では、
棚卸資産の評価基準は、原価法又は低価法によるとされていますが、原価法とは、取得原価により期末
棚卸資産を評価する方法で、低価法とは、期末における時価が取得原価よりも下落した場合に、時価によって評価する方法です。
原価法により評価した場合であっても、時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復の見込みがあるかないかを判断します。ここで、(4)にあるように、回復の見込みがあると判断した場合を除き、
評価損を計上することが必要となります。
棚卸資産の時価は、商品、製品等については、個々の商品等ごとの売価か最近の仕入金額により把握することが考えられます。
時価を把握することが難しい場合には、時価が取得原価よりも著しく下落しているかどうかの判断が困難になると考えられますが、例えば、
棚卸資産が著しく陳腐化したときや、災害により著しく損傷したとき、あるいは、賞味期限切れや雨ざらし等でほとんど価値がないと判断できるものについては、
評価損の計上が必要と考えられます。
(以上、中小
会計要領)
中小
会計要領においては、
棚卸資産の意義や範囲についての記載はないので、これらについては企業の実態等に応じて、
企業会計基準、中小指針、
法人税法で定める処理のうち
会計上適当と認められる処理、その他一般に公正妥当と認められる
企業会計の慣行の中から選択して適用することになります。例えば、
法人税法では、
棚卸資産のの意義と範囲を次のように定めており(注1)、中小
会計指針等でもほぼ同様の定めとなっています。
棚卸資産は、商品、製品、半製品、原材料その他の
資産(
有価証券および短期売買商品を除く)で
棚卸しをすべきものとされており、その範囲は次の通りです。
① 商品または製品(副産物および作業くずを含む)
② 半製品
③ 仕掛品(半成工事を含む)
④ 主要原材料
⑤
補助原材料
⑥ 消耗品で貯蔵中のもの
⑦ 上記の
資産に準ずるもの
棚卸資産の取得価額については、中小
会計要領の解説で、購入と自己製造の場合が出ていますが、贈与、交換、代物
弁済、
合併、現物出資等の「その他の場合」については記載されていません。
法人税法ではこれらの場合の取得価額は、その取得の時におけるその
資産の取得のために通常要する価額に、消費または販売の用に供するために直接要した
費用の額を加算した金額とされ(注2)、これも中小
会計指針とほぼ同様の定めとなっています。
棚卸資産の評価基準については、中小
会計要領や
法人税法では
法人が原価法又は低価法を選択できるようになっていますが、中小
会計指針や
企業会計基準では低価法が強制適用され、期末時価が帳簿価額より下落し、かつ、金額的重要性がある場合には、時価をもって期末評価額とします。
棚卸資産の評価方法については、中小
会計要領、中小
会計指針や
法人税法では
個別法、
先入先出法、
総平均法、
移動平均法、
最終仕入原価法、
売価還元法等が記載されていますが、
企業会計基準では
最終仕入原価法は認められていません。その理由は、
最終仕入原価法が厳密な意味での原価法と言えないためですが、それにもかかわらず、中小
会計要領等で
最終仕入原価法が認められているのは中小
法人の事務負担の軽減に配慮等したためです。
時価が取得原価よりも著しく下落したときについては、中小
会計要領、中小
会計指針では、回復の見込みがあると判断した場合を除き、
評価損を計上することが強制されますが、
法人税法では、任意規定とされており、次の場合に
評価損を
損金経理したときだけ
評価損の計上が認められます(注3)。
① 災害により著しく損傷したこと。
② 著しく陳腐化したこと。
③ ①または②に準ずる特別の事実(破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったこと(注4)など)
次回は、
経過勘定 についてです。
≪中小
会計要領の主な内容 その5
経過勘定 1≫
http://www.ksc-kaikei.com/news/
(注1)法2⑳、法例10
(注2)法令32Ⅰ③
(注3)法令68Ⅰ①
(注4)法基通9-1―6
※ 日本
税理士会連合会では、中小企業の
計算書類について、「中小企業の
会計に関する基本要領」の適用状況を確認するための書類として、「中小企業の
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◎
通勤手当の
非課税はいくらまで?
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通勤する場合の
通勤手当や徒歩の場合の
通勤手当。
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通勤手当、
非課税はいくらまで?≫ 基礎編
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札幌市豊平区の 税理士 溝江 諭(みぞえさとし) です。
中小会計要領の各論のうち主なものについて、法人税法との異同を意識しながら見て行きましょう。
今回は、 棚卸資産 です。
(1)棚卸資産は、原則として、取得原価で計上する。
(2)棚卸資産の評価基準は、原価法又は低価法による。
(3)棚卸資産の評価方法は、個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法等による。
(4)時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復の見込みがあると判断した場合を除き、評価損を計上する。
【解説】
商品、製品、半製品、仕掛品、原材料等の棚卸資産は、購入金額に付随費用を加えた購入時の金額(取得価額)に基づき、また、製造業の場合は、製品製造のために使用した材料費、労務費及び製造経費を積算し、取得原価を計算します。また、(3)にあるように、個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法等により期末の金額(取得原価)を計算します。
(1)にあるように、棚卸資産は、原則として、取得原価で計上します。(2)では、棚卸資産の評価基準は、原価法又は低価法によるとされていますが、原価法とは、取得原価により期末棚卸資産を評価する方法で、低価法とは、期末における時価が取得原価よりも下落した場合に、時価によって評価する方法です。
原価法により評価した場合であっても、時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復の見込みがあるかないかを判断します。ここで、(4)にあるように、回復の見込みがあると判断した場合を除き、評価損を計上することが必要となります。
棚卸資産の時価は、商品、製品等については、個々の商品等ごとの売価か最近の仕入金額により把握することが考えられます。
時価を把握することが難しい場合には、時価が取得原価よりも著しく下落しているかどうかの判断が困難になると考えられますが、例えば、棚卸資産が著しく陳腐化したときや、災害により著しく損傷したとき、あるいは、賞味期限切れや雨ざらし等でほとんど価値がないと判断できるものについては、評価損の計上が必要と考えられます。
(以上、中小会計要領)
中小会計要領においては、棚卸資産の意義や範囲についての記載はないので、これらについては企業の実態等に応じて、企業会計基準、中小指針、法人税法で定める処理のうち会計上適当と認められる処理、その他一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行の中から選択して適用することになります。例えば、法人税法では、棚卸資産のの意義と範囲を次のように定めており(注1)、中小会計指針等でもほぼ同様の定めとなっています。
棚卸資産は、商品、製品、半製品、原材料その他の資産(有価証券および短期売買商品を除く)で棚卸しをすべきものとされており、その範囲は次の通りです。
① 商品または製品(副産物および作業くずを含む)
② 半製品
③ 仕掛品(半成工事を含む)
④ 主要原材料
⑤ 補助原材料
⑥ 消耗品で貯蔵中のもの
⑦ 上記の資産に準ずるもの
棚卸資産の取得価額については、中小会計要領の解説で、購入と自己製造の場合が出ていますが、贈与、交換、代物弁済、合併、現物出資等の「その他の場合」については記載されていません。法人税法ではこれらの場合の取得価額は、その取得の時におけるその資産の取得のために通常要する価額に、消費または販売の用に供するために直接要した費用の額を加算した金額とされ(注2)、これも中小会計指針とほぼ同様の定めとなっています。
棚卸資産の評価基準については、中小会計要領や法人税法では法人が原価法又は低価法を選択できるようになっていますが、中小会計指針や企業会計基準では低価法が強制適用され、期末時価が帳簿価額より下落し、かつ、金額的重要性がある場合には、時価をもって期末評価額とします。
棚卸資産の評価方法については、中小会計要領、中小会計指針や法人税法では個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法等が記載されていますが、企業会計基準では最終仕入原価法は認められていません。その理由は、最終仕入原価法が厳密な意味での原価法と言えないためですが、それにもかかわらず、中小会計要領等で最終仕入原価法が認められているのは中小法人の事務負担の軽減に配慮等したためです。
時価が取得原価よりも著しく下落したときについては、中小会計要領、中小会計指針では、回復の見込みがあると判断した場合を除き、評価損を計上することが強制されますが、法人税法では、任意規定とされており、次の場合に評価損を損金経理したときだけ評価損の計上が認められます(注3)。
① 災害により著しく損傷したこと。
② 著しく陳腐化したこと。
③ ①または②に準ずる特別の事実(破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったこと(注4)など)
次回は、経過勘定 についてです。
≪中小会計要領の主な内容 その5 経過勘定 1≫
http://www.ksc-kaikei.com/news/
(注1)法2⑳、法例10
(注2)法令32Ⅰ③
(注3)法令68Ⅰ①
(注4)法基通9-1―6
※ 日本税理士会連合会では、中小企業の計算書類について、「中小企業の会計に関する基本要領」の適用状況を確認するための書類として、「中小企業の会計に関する基本要領の適用に関するチェックリスト」を作成しました。
http://www.nichizeiren.or.jp/taxaccount/pdf/youryouchecklist120327.pdf
その他の『ちょっとためになる情報』は、次のサイトの「お知らせ」と「ブログ・コラム」でどうぞ!!
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