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退職金制度導入時の検討ポイント

街を歩いていると、十数年来会っていなかった知人や友人にひょっこり会うことがあります。
“やあやあ、お元気?”などと言って握手したりしますが、旧友との偶然の出会いは、頭の中が一瞬にして、
現在から昔へと戻り、懐かしい気持ちにさせられます。時には、顔つきから間違いなくその人が昔の知人である
ことは分かるのですが、長い間のご無沙汰で、名前だけがどうしても出て来ないことがあります。
そんなときは、“失礼ですが、お名前は?”と尋ねたくなるのですが、先様が当方の名前を知っているかも
しれないのに“お名前は?”と尋ねるのは余程の事でもない限り、失礼極まりないことになるので出来ません。

 さりとて、過去に面識があるのに初対面のような白々しい応答もできないので、結局、偶然の出会いのときの
会話は、大抵「ただ、当たらず触らずの奇妙な受け答えだけで終始してしまうこと」になるようです。
 でも、久しく会わなかった人の第一印象が、一瞬、「老けたなあ」と思うときがあります
(これは勿論お互い様なのですが)。
「老けたなあ」と直感するのは、顔のシワだったり、頭の光り、白髪やゴマジオだったりとかが目に飛び込んで
きたときです。とはいいながら、会った途端にしげしげと見るわけにもいかないので、その数秒間は視線の
やり場に困ることもあります。

 こんな場合は、視線を泳がしながら、取り敢えずは今日的な話題でごまかし、
うまい具合に取り繕うのがよろしいようです。間違えてもしげしげとスッカリ変わってしまった相手の姿に
見入らないことです。無礼な視線は、それほどに相手の気に触ることもあるからです。
俗に「目は口ほどにものをいい」と言いますが、相手を「老けたなあ」と思ったときは、視線がまさに
「目は口ほどに・・・・・」にと、
その思いを相手に伝えてしまうかもしれないのです。

でも、昔の旧友に偶然に出会うということは、退職後にも大勢の人ごみの中から、
たまさかに一人を見分けられるほどに、現役時代には数多くの友人が居たという
ことでもあります。
源氏鶏太氏は、
「親友のない人ほどさみしいものはない」と氏のエッセイ集に書いています。
また、別のところには、「サラリーマンは孤独である」とも書いています。
 65歳に達し、やっと長いサラリーマン生活を終え、定年退職を迎えた団塊世代のサラリーマンの中には、
定年の祝杯をともに挙げてくれる友もなく、ひっそりと会社を去って行く人もいるようですが、
大勢の中でポツンと一人、友もなく、趣味もなく、家族運も悪く、加えて職場では出世のチャンスもなかった
としても、キチンと最後まで勤め上げられた人は、きっと「負けてたまるか」という内に秘めた強い心を
持っていたからでしょう。

テレビドラマの半沢直樹みたいに上司だろうと取引先だろうと正義に反する行為にはとことん立ち向かい、
「倍返しだ」の言葉とともに自分の信じるように会社で立ち振り舞える人は、スカッとしたサラリーマン人生
を送れるかもしれません。
でも、多くの普通の中間管理職サラリーマンは、
「上にはいびられ、下からは突き上げられ、取引先からは けんもほろろな取扱いをされて、“辞めてやる”
と喉まで出て来た言葉を必死に飲み込んで、“辞めたらどんなに楽か”と思いながらも、家族の顔を目蓋に浮かべて、
「やっぱり辞められないなぁ!」とため息をつくのです。
そして、せめて半沢直樹のテレビドラマを見て溜飲を下げて、何とかサラリーマン人生を続けている
のではないでしょうか。

さて、
前回の「退職金の減額」についての話、如何でしたでしょうか。
今回は、「退職金制度導入時の検討ポイント」についての話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○ 「退職金制度導入時の検討ポイント」
───────────────────────────────
これまで退職金制度がなかった会社で、新たに退職金制度を導入する際、制度設計時に,
注意すべきポイントにはどんな点があるでしょうか?
基本的には以下のような点を押えて置く必要があります。
1.「退職金カーブ」
 まずは,退職金カーブの形状です。企業により様々な退職金制度がありますが,大きく分けて
大企業と中小企業とではその形状が大きく異なる傾向があります。
 大企業型は,ある程度の年齢(例えば50歳)でピークを迎え,その後はあまり退職金が増えない形状
をしています。
これに対し,中小企業型では,自己都合退職の減額率を高く設定(退職金は少額)し,定年にならない
限り100%はもらえない形状をしています。これは,各企業の目的に応じて退職金制度が設計されて
いるからです。
つまり,大企業型ではある程度の年齢になると退職または他の企業への転職を誘導しているのに対し,
中小企業型では定年まで長く働いてほしい(定年まで勤め上げない限り,退職金は減額する)という
企業側の考えを具現化しているとも言えるでしょう。

2.退職金の水準
 次に退職金水準の考え方ですが,
これは基本的には費用負担が可能かどうかという問題です。
ただし,この費用の定義が中小のオーナー企業では曖昧になりがちです。
大企業やその関連会社では「退職給付会計」という厳然とした会計が存在しているため,退職金
費用勤務費用利息費用・償却費用と決まっていますが,退職給付会計採用していない企業では,
年間の掛金だったり定年退職者への退職金だったり見方がバラバラです。
このような中小企業の場合は,退職金費用を「1年間に増加する退職金額」で捉えるとよいでしょう。
つまり,従業員が1年間勤務することにより増えた退職金額を費用として認識するということです。
これは,退職給付会計の簡便法の考え方でもあります。

3.「年功序列型」と「会社貢献型」
 最近の傾向としては年功序列型から会社貢献型の制度への移行が進んでいることは間違いありません。
人事制度が年功序列型から会社貢献型になっているのに,退職金制度だけが年功序列型というのはおかしい
という考え方です。ただし,すべての企業がこのような考え方というわけではありません。
 例えば,「企業への貢献は毎年の賞与で精算しているから退職金は最終給与比例方式のような年功序列型でよい」
という考えの企業があります。
同様に,「退職金は老後の生活保障だから大きく差をつけるのはおかしい」という考えの企業もあります。
このように,会社貢献的要素を退職金制度に持ち込むか否かは,退職金は何かという本質に関わるテーマ
でもあります。退職金は後払いの賃金だと考える企業では人事制度との整合性が求められるでしょうし,
老後の生活保障だと考える企業は,あまり差をつけることはしないでしょう。
よって,まずは退職金の位置付けから社内で議論してみることをお勧めします

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