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株主総会での代表取締役の選任の有効性

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ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
弁護士法人クラフトマン 第204号 2017-09-26

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1 今回の事例 株主総会での代表取締役の選任の有効性
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最高裁平成29年2月21日判決

 A社は、非公開会社(株式の譲渡制限のある会社)であって、か
取締役会設置会社でした。そして同社の定款には、「当会社に代
取締役 1 人以上を置き、取締役会の決議によって定めるものとす
る。ただし、必要に応じ株主総会の決議によってこれを定めること
ができるものとする。」旨の定めがありました。

 そして、平成27年9月30日に開催されたA社の株主総会にお
いて、B氏を取締役に選任し、かつ代表取締役に定める旨の決議が
なされましたが、これに対し、A社の代表取締役であったC氏が、
この決議は無効であると主張しました。

 本件の争点の一つとなったのが、上の定款規定の有効性でした。




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2 裁判所の判断
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 裁判所は、以下のように判断して、前記定款規定は有効と判断し
ました。

● 取締役会を置くことを当然に義務付けられているものではない
非公開会社が、その判断に基づき取締役会を置いた場合、株主総会
は、法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議をすること
ができることとなる(会社法295条2項)。

● しかし、会社法において、この「定款で定める事項」の内容を
制限する明文の規定はない。

● 会社法は、代表取締役の職務執行を監督する機関として取締役
会を位置付けているが、取締役会の決議によるほか株主総会の決議
によっても代表取締役を定めることができることと定款で定めても、
取締役会の監督権限の実効性を失わせるとはいえない。




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3 解説
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(1)取締役会設置会社における株主総会の権限

 会社法295条2項には、「取締役会設置会社においては、株主
総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決
議をすることができる」という規定があります。

 そしてこの「定款で定めた事項」が、法律上、「取締役の権限」
と定められている事項にも及ぶのかが解釈上問題となります。そし
て、本件では、その一つである「代表取締役の選定」について、定
款で、株主総会にも選任の権限を与えることができる、という点が
明確になったわけです(ただしこれを超えて、「株主総会のみ」と
定めることができるかは明らかではありません)。

 実務上でいうと、事業上の必要から、自社が100%子会社を持
つという場合は少なくありません。この場合、株主総会において取
締役の選任のみならず代表取締役の選定まで行えるとすれば、親会
社としては代表取締役の選定に、自己の支配を端的に及ぼすことが
でき、簡便かつ便宜かもしれません。

 また、自社が、様々な理由で他社と合弁会社を設立するという場
合があり、合弁契約株主契約代表取締役を指名することがあ
ります。この場合も、株主総会取締役のみならず代表取締役をも
定めることができれば、各合弁当事者は端的に株主契約上の義務
履行することができるようになります。


(2)会社法における自由な機関設計

 さて、平成17年に制定された会社法においては、旧商法の時代
に比べ、機関設計の自由度が格段に増しました。それで、事業の目
的や会社の規模に応じて、ある程度自由に機関設計ができるように
なりました。このことは法務の専門家や法務担当には広く知られて
いますが、それでも一般には意外と知られていないようなので、改
めてそのアウトラインをご紹介したいと思います。

 新会社法において、どんな場合にも必須の機関は、「株主総会
のみです。他方、非公開会社(株式の譲渡が制限されている会社)
の中小会社の場合でいうと、主として以下のようなバリエーション
を取ることができます。

(a)取締役のみ(取締役は1名以上)
(b)取締役取締役は1名以上)+監査役
(c)取締役取締役は1名以上)+会計参与
(d)取締役会取締役は3名以上)+監査役
(e)取締役会取締役は3名以上)+会計参与

 旧商法では、取締役会の設置が必須だったことから、数合わせの
ために家族や友人を名前だけの取締役監査役に入れるということ
があり、今も実態に合わない役員構成のまま、かつ取締役会は1回
も開かれないまま会社が継続しているというケースは珍しくありま
せん。

 そして、何か問題が生じた場合に、友人が名前だけの取締役なの
に責任追及を受けてしまい迷惑をかけてしまうとか、名前だけの取
締役が「外れたい」と思っても簡単に辞められない、ということも
ありました。

 こうしたケースでは、今のうちから「株主総会+1名の取締役
け」といった、実態に合ったシンプルな構成にし、法律上の「形」
と実態を合わせることができるかもしれません。




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 冒頭で申し上げましたとおり、弊所では、弊誌のご愛読の感謝と
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