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コラムの泉

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より質の高い産業医について

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。
http://hatarakikatakaikaku.com/
 今回は、「より質の高い産業医について」についてコラムを作成しました。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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より質の高い産業医について
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 産業医とは、医師の中で所定のカリキュラムを取得した者に与えられ、労働安全衛生法に基づき一定規模以上の事業所に必置が義務づけられている国家資格です。
 産業医の役割は、企業と従業員の健康を保持増進させることを目的に、事業者が行う労働衛生活動の支援を行うことです。産業医は、健康管理のみならず、健康管理体制の整備、作業環境から危険原因を除去、健康文化を浸透させることが職務です。
 治療を主とする医師との違いは、従業員の健康に注目するのと共に、従業員が働きがいを感じて仕事ができるように、健康状態と職場環境の改善を図ることにあります。良好事例を展開することで、会社という集団の健康管理も行います。
 従業員に蓄積される「経験」「技術」「人脈」等といった財産を安定して維持するために、産業医を有効に活用ください。

産業医の要否について
 労働者雇用した場合、従業員に忠実性を求める場合は、相互義務で安全配慮義務を負う必要があります。
(参照:安全配慮義務忠実義務についてhttp://www.soumunomori.com/column/article/atc-173253/
 安全配慮義務履行するためには、従業員の健康にも配慮する必要があることから、医学的知見も多く関わってきます。一般的な事業者は医学的知見と医業を行う権限を持っていないことから、事業者等に助言や勧告を行える医師として産業医が生まれました。
 事業者の方から、「産業医には2か月に1回職場に来てもらえれば、良いのではないでしょうか。」と法令義務(努力義務を除く)の履行のみに焦点を当て、実務を無視した質問を受けることが度々あります。その場合は、「もし、事業者従業員の健康情報を踏まえて適切な安全配慮が行える場合は、実務上は産業医は不要です。しかし、事業者がそこまで医学について勉強することに比べたら産業医に実務をさせた方が安いのではないでしょうか。」と答えています。 
 産業医に係わらず、会社に対してベネフィットを生み出す見込みがある方を採用し、見込めない方を採用しないことは、事業者の基本的な職務です。是非、自社にベネフィットを生み出す産業医採用してください。

産業医の質について客観的な確認方法
 産業医は、事業者に対して勧告権を持つ資格のため、労働者の健康管理について適切な意見を事業者側に提言できない者、労働者の健康管理のみを注視し健康状態と職場の適応を考慮できない者は、事業の存続に対してリスクとなってしまいます。特に、客観的な記録を蓄えない者は、訴訟等になった場合に、事業者側の義務や努力義務を証明することができないため、リスクがかえって増大することになってしまいます。
 そこで、産業医の質を客観的に確認する方法として、以下の資格を取得しているか確認することが挙げられます。もちろん、資格等を持っているからといって必ずしも会社にとって良い産業医であるとは限りませんが、一定の基準にはなると思います。ご参考ください。

・労働衛生コンサルタント試験合格者
 労働安全衛生法第83条に基づく労働衛生コンサルタント試験(国家試験)に合格した者です。労働衛生コンサルタントの資格を医師が得るためには、筆記試験もしくは一定のカリキュラムをクリアした後、専門家や行政官の口頭試験に合格しなければなりません。
 口頭試験では知識と実務経験が問われますので、試験に合格するだけのスキルがあると認められます。

・産業衛生専門医
 公益社団法人日本産業衛生学会が認定する専門医資格を取得した者です。産業衛生指導医により3年間以上の実務指導を受けた後、筆記や口頭試験等を合格しなければなりません。
 国家試験ではありませんが、熟練の専門家が合否を評価する意味で、一定のスキルと実務を最低3年間は達成している者と評価できます。
 また、産業衛生専門医の上位の資格として、産業衛生指導医が位置づけられています。

・社会医学系専門医
 一般社団法人社会医学系専門医協会が認定する専門医資格を取得した者です。公衆衛生という幅広い領域の中に、「産業衛生など職域集団の健康維持・増進を担う人材、産業医」が含まれています。産業衛生専門医と同様に社会医学系指導医により3年間以上の実務指導を受けた後、試験に合格する必要があります。
 現行制度では、原則、社会医学系専門医を取得した後に産業衛生専門医の修練資格が与えられることになっています。事業者としては、社会医学系専門医の先生には追加で産業衛生専門医も取得してもらうことが良いでしょう。

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