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■
行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第137号/2008/12/1>■
1.はじめに
2.「
会社法務編/中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(81)」
3.「市
民法務編/ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(64)」
4.編集後記
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1.はじめに
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こんにちは。
行政書士の津留信康です。
2008/12/25(木)まで会期が延長された、第170臨時国会(※)。
例年より早い、来年1月上旬召集予定の次期通常国会に向けて、
各種法案審議の行方が気になるところです。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/17-e09d.html
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
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2.「
会社法務編―中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(81)」
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★本稿では、「平成20年度
司法書士試験問題」の解説を通じて、
“
会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
第7回は、「株式に関する
登記」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■株式に関する
登記についての次の記述のうち、
正しいものはどれか(午後―第35問)。
1.募集株式の出資の目的が市場価格のある有価証券である場合において、
募集事項において、
当該有価証券の価額を定めた価額決定日に、
当該有価証券が公開買付け等の対象となっておらず、かつ、
当該募集事項に定められた価額が、
当該価額決定日における当該有価証券を取引する市場における最終の価額
を超えないときは、
募集株式の発行による変更の
登記の申請書には、
検査役の調査報告を記載した書面およびその附属書類に代えて、
当該有価証券の市場価格を証する書面を添付することができる。
□正解: ○
□解説
本肢のような場合(
会社法207条9項2号、
会社法施行規則43条1項)において、
募集株式の発行による変更の
登記の申請書には、
検査役の調査報告を記載した書面およびその附属書類に代えて、
「当該有価証券の市場価格を証する書面」
を添付することができます(商業
登記法56条3号ロ)。
2.発行する全部の株式の内容として、
株主が当該
株式会社に対してその取得を請求することができる旨
の
登記がされている場合において、
新たに別の種類の株式の内容を定める旨の
定款の変更をしたときは、
新たに定めた別の種類の株式の内容の設定に係る
登記を申請すれば足りる。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合には、
発行可能
種類株式総数および発行する各種類の株式の内容の設定
に係る変更
登記の申請が必要となり、
その後、発行する株式の内容の
登記を抹消する記号
が記録されることとなります(商業
登記規則69条1項)。
3.
自己株式を消却した場合にあっては
消却した株式の数について発行可能株式総数が減少する旨
の
定款の定めがある
取締役会設置会社において、
株式消却の
取締役会決議を行ったときは、
当該
株式消却に係る発行可能株式総数の変更の
登記の申請書には、
当該
取締役会決議に係る議事録のほか、
発行可能株式総数の変更に係る
株主総会の議事録を添付しなければならない。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合において、
当該
株式消却に係る発行可能株式総数の変更の
登記の申請書への、
発行可能株式総数の変更に係る
株主総会の議事録の添付は不要です。
4.
定款に
剰余金の
配当について内容の異なる種類の株式を発行する旨の定め
のある
種類株式発行会社において、
定款に、当該種類の株式の種類
株主が
配当を受けることができる額の上限の定め
とともに、当該優先
配当額の具体額については、
当該種類の株式を初めて発行する時までに、
株主総会の決議によって定める旨の定めがある場合においては、
当該優先
配当額の具体額を決定して当該種類の株式を発行するまでは、
当該種類の株式の内容に係る
登記の申請をすることはできない。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合(
会社法108条3項、
会社法施行規則20条1項)には、
当該種類の株式を発行するまでに、当該優先
配当額の具体額を決定し、
当該種類の株式の内容に係る
登記の申請しなければなりません(※先例)。
※)
会社法の施行に伴う商業
登記事務の取り扱いについて(法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji108.html
5.
定款に、その発行する全部の株式の内容として、
譲渡による当該株式の取得について
株式会社の承認を要する旨の定め
を設けている
株式会社において、
定款に、当該
株式会社が承認しなかった場合における指定買取人の定め
を設けたときであっても、当該指定買取人の定めについて、
登記の申請をすることはできない。
□正解: ○
□解説
本肢のような場合(
会社法107条1項1号・2項1号、108条2項4号)において、
当該指定買取人の定め(140条4項・5項)は、
株式の内容とはならず(911条3項7号)、
登記の申請をすることはできません。
★次号(2008/12/15発行予定の第138号)では、
「
公開会社でない
取締役会設置会社の
株主総会」について、ご紹介する予定です。
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3.「市
民法務編―ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(64)」
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★本稿では、「平成20年度
司法書士試験問題」の解説を通じて、
民法各編についての理解を深めていただいておりますが、
第7回目は「
消費貸借と
寄託」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■
消費貸借と
寄託に関する次の記述のうち、
誤っているものはどれか(午前―第17問)。
1.
消費貸借と
寄託は、いずれも、
当事者の一方が目的物を受取ることによって効力を生ずる
契約である。
□正解: ○
□解説
消費貸借は、当事者の一方が、
種類、品質および数量の同じ物をもって返還することを約し、
相手方から金銭その他の物を受取ることによって、
その効力を生じます(
民法587条)。
また、
寄託は、当事者の一方が、相手方のために保管をすることを約し、
ある物を受取ることによって、その効力を生じます(同法657条)
2.目的物の返還の時期の定めがある場合には、
消費貸借の貸主と
寄託の
寄託者は、いずれも、
期限が到来した時から、その返還を請求することができる。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合、
消費貸借の貸主は、
借主が
期限の利益を放棄または喪失しない限り、
期限到来時までは、目的物の返還を請求することができません
(
民法136条2項・137条・412条1項)。
一方、
寄託の
寄託者は、本肢のような場合であっても、
いつでも目的物の返還を請求することができます(同法662条)。
3.目的物の返還の時期の定めがある場合には、
消費貸借の借主と
寄託の受寄者は、いずれも、
いつでもその返還をすることができる。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合、
消費貸借の借主は、
いつでも目的物の返還をすることができます(
民法591条2項)が、
寄託の受寄者は、やむを得ない事由がなければ、
返還の期限前に目的物の返還をすることはできません(同法663条2項)。
4.目的物の返還の時期の定めがない場合には、
消費貸借の貸主は、相当の期間を定めて返還の
催告をすることができるが、
寄託の
寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。
□正解: ○
□解説
本肢のような場合、
消費貸借の貸主は、
相当の期間を定めて返還の
催告をすることができます(
民法591条1項)。
また、
寄託の
寄託者は、目的物の返還の時期の定めの有無にかかわらず、
いつでも目的物の返還を請求することができます(同法662条)。
5.目的物の返還の時期の定めがない場合には、
消費貸借の借主と
寄託の受寄者は、いずれも、
いつでもその返還をすることができる。
□正解: ○
□解説
本肢のような場合、
消費貸借の借主(
民法591条2項)、
寄託の受寄者(同法663条1項)とも、
いつでも目的物の返還をすることができます。
★ご参考になれば・・・
金銭
消費貸借等について(※日本公証人連合会)
※)
http://www.koshonin.gr.jp/kin.html
★次号(2008/12/15発行予定の第138号)では、
「
時効の援用権者」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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★2008/12/1、公益
法人制度改革関連三法が施行されました!!
詳しくは、こちら(※)をどうぞ。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-b054.html
■第137号は、いかがでしたか?
次号(第138号)は、2008/12/15発行予定です。
■編集責任者:
行政書士 津留信康
□津留
行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□当事務所へのご連絡は、
上記Webサイト・トップページのメールリンクをご利用ください。
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(
http://www.mag2.com/)」を利用しており、
購読の解除は、「
http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。
☆「まぐまぐ大賞2008」本投票開始!あなたの1票待ってます
⇒
http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/
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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第137号/2008/12/1>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(81)」
3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(64)」
4.編集後記
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1.はじめに
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こんにちは。行政書士の津留信康です。
2008/12/25(木)まで会期が延長された、第170臨時国会(※)。
例年より早い、来年1月上旬召集予定の次期通常国会に向けて、
各種法案審議の行方が気になるところです。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/17-e09d.html
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
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2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(81)」
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★本稿では、「平成20年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
“会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
第7回は、「株式に関する登記」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■株式に関する登記についての次の記述のうち、
正しいものはどれか(午後―第35問)。
1.募集株式の出資の目的が市場価格のある有価証券である場合において、
募集事項において、
当該有価証券の価額を定めた価額決定日に、
当該有価証券が公開買付け等の対象となっておらず、かつ、
当該募集事項に定められた価額が、
当該価額決定日における当該有価証券を取引する市場における最終の価額
を超えないときは、
募集株式の発行による変更の登記の申請書には、
検査役の調査報告を記載した書面およびその附属書類に代えて、
当該有価証券の市場価格を証する書面を添付することができる。
□正解: ○
□解説
本肢のような場合(会社法207条9項2号、会社法施行規則43条1項)において、
募集株式の発行による変更の登記の申請書には、
検査役の調査報告を記載した書面およびその附属書類に代えて、
「当該有価証券の市場価格を証する書面」
を添付することができます(商業登記法56条3号ロ)。
2.発行する全部の株式の内容として、
株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができる旨
の登記がされている場合において、
新たに別の種類の株式の内容を定める旨の定款の変更をしたときは、
新たに定めた別の種類の株式の内容の設定に係る登記を申請すれば足りる。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合には、
発行可能種類株式総数および発行する各種類の株式の内容の設定
に係る変更登記の申請が必要となり、
その後、発行する株式の内容の登記を抹消する記号
が記録されることとなります(商業登記規則69条1項)。
3.自己株式を消却した場合にあっては
消却した株式の数について発行可能株式総数が減少する旨
の定款の定めがある取締役会設置会社において、
株式消却の取締役会決議を行ったときは、
当該株式消却に係る発行可能株式総数の変更の登記の申請書には、
当該取締役会決議に係る議事録のほか、
発行可能株式総数の変更に係る株主総会の議事録を添付しなければならない。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合において、
当該株式消却に係る発行可能株式総数の変更の登記の申請書への、
発行可能株式総数の変更に係る株主総会の議事録の添付は不要です。
4.定款に剰余金の配当について内容の異なる種類の株式を発行する旨の定め
のある種類株式発行会社において、
定款に、当該種類の株式の種類株主が配当を受けることができる額の上限の定め
とともに、当該優先配当額の具体額については、
当該種類の株式を初めて発行する時までに、
株主総会の決議によって定める旨の定めがある場合においては、
当該優先配当額の具体額を決定して当該種類の株式を発行するまでは、
当該種類の株式の内容に係る登記の申請をすることはできない。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合(会社法108条3項、会社法施行規則20条1項)には、
当該種類の株式を発行するまでに、当該優先配当額の具体額を決定し、
当該種類の株式の内容に係る登記の申請しなければなりません(※先例)。
※)会社法の施行に伴う商業登記事務の取り扱いについて(法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji108.html
5.定款に、その発行する全部の株式の内容として、
譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定め
を設けている株式会社において、
定款に、当該株式会社が承認しなかった場合における指定買取人の定め
を設けたときであっても、当該指定買取人の定めについて、
登記の申請をすることはできない。
□正解: ○
□解説
本肢のような場合(会社法107条1項1号・2項1号、108条2項4号)において、
当該指定買取人の定め(140条4項・5項)は、
株式の内容とはならず(911条3項7号)、登記の申請をすることはできません。
★次号(2008/12/15発行予定の第138号)では、
「公開会社でない取締役会設置会社の株主総会」について、ご紹介する予定です。
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3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(64)」
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★本稿では、「平成20年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
民法各編についての理解を深めていただいておりますが、
第7回目は「消費貸借と寄託」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■消費貸借と寄託に関する次の記述のうち、
誤っているものはどれか(午前―第17問)。
1.消費貸借と寄託は、いずれも、
当事者の一方が目的物を受取ることによって効力を生ずる契約である。
□正解: ○
□解説
消費貸借は、当事者の一方が、
種類、品質および数量の同じ物をもって返還することを約し、
相手方から金銭その他の物を受取ることによって、
その効力を生じます(民法587条)。
また、寄託は、当事者の一方が、相手方のために保管をすることを約し、
ある物を受取ることによって、その効力を生じます(同法657条)
2.目的物の返還の時期の定めがある場合には、
消費貸借の貸主と寄託の寄託者は、いずれも、
期限が到来した時から、その返還を請求することができる。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合、消費貸借の貸主は、
借主が期限の利益を放棄または喪失しない限り、
期限到来時までは、目的物の返還を請求することができません
(民法136条2項・137条・412条1項)。
一方、寄託の寄託者は、本肢のような場合であっても、
いつでも目的物の返還を請求することができます(同法662条)。
3.目的物の返還の時期の定めがある場合には、
消費貸借の借主と寄託の受寄者は、いずれも、
いつでもその返還をすることができる。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合、消費貸借の借主は、
いつでも目的物の返還をすることができます(民法591条2項)が、
寄託の受寄者は、やむを得ない事由がなければ、
返還の期限前に目的物の返還をすることはできません(同法663条2項)。
4.目的物の返還の時期の定めがない場合には、
消費貸借の貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができるが、
寄託の寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。
□正解: ○
□解説
本肢のような場合、消費貸借の貸主は、
相当の期間を定めて返還の催告をすることができます(民法591条1項)。
また、寄託の寄託者は、目的物の返還の時期の定めの有無にかかわらず、
いつでも目的物の返還を請求することができます(同法662条)。
5.目的物の返還の時期の定めがない場合には、
消費貸借の借主と寄託の受寄者は、いずれも、
いつでもその返還をすることができる。
□正解: ○
□解説
本肢のような場合、
消費貸借の借主(民法591条2項)、寄託の受寄者(同法663条1項)とも、
いつでも目的物の返還をすることができます。
★ご参考になれば・・・
金銭消費貸借等について(※日本公証人連合会)
※)
http://www.koshonin.gr.jp/kin.html
★次号(2008/12/15発行予定の第138号)では、
「時効の援用権者」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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★2008/12/1、公益法人制度改革関連三法が施行されました!!
詳しくは、こちら(※)をどうぞ。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-b054.html
■第137号は、いかがでしたか?
次号(第138号)は、2008/12/15発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
□津留行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□当事務所へのご連絡は、
上記Webサイト・トップページのメールリンクをご利用ください。
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http://www.mag2.com/)」を利用しており、
購読の解除は、「
http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。
☆「まぐまぐ大賞2008」本投票開始!あなたの1票待ってます
⇒
http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/