札幌市豊平区の 税理士 溝江諭(みぞえさとし)です。
日本税理士会連合会、日本商工会議所、日本公認会計士協会、企業会計基準委員会が主体となって設置された「中小企業の会計指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(注1)を改正し、4月17日に公表しました。今般の改正は、企業会計基準委員会が公表した各種の企業会計基準等のうち、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」(注2)に対応した会計処理の見直し等を行ったものです。
これまで我が国では、長期請負工事に関する収益の計上については、工事進行基準又は工事完成基準のいずれかを選択適用することができるとされてきました(企業会計原則注解 (注7))。このため、同じような請負工事契約であっても、企業の選択により異なる収益等の認識基準が適用される結果、財務諸表間の比較可能性が損なわれる場合がありました。
そこで、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」では、仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約のうち、基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行う工事契約を適用範囲として、工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を適用し、この要件を満たさない場合に、はじめて工事完成基準を適用することとされました。
これを受けて、「中小企業の会計に関する指針」の「73(収益の認識)」のうち、「(3)その他」を次のように改正されました。
73(収益の認識)(3)その他
区分に「工事契約(受注制作のソフトウェアを含む)」とされ、
「工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を適用し、この要件を満たさない場合には工事完成基準を適用する。成果の確実性が認められるためには、次の各事業について、信頼性をもって見積もることができなければならない。
(1)工事収益総額
(2)工事原価総額
(3)決算日における工事進捗度」
なお、請負契約ではあっても専らサービスの提供を目的とする契約や、外形上は工事契約に類似する契約であっても、工事に係る労働サービスの提供そのものを目的とするような契約に関しては、適用範囲から除かれています。(企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」の「結論の背景」を参照)
《参考》【法人税法上の取り扱い】(法人税法第64条1項、施行令大129条1項他)
法人税法では、長期大規模工事については工事進行基準が強制適用されます。なお、平成20年度に長期大規模工事の範囲が拡大されるとともに、工事の請負の範囲も改正されました。(注3)
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(注1)「中小企業の会計に関する指針(平成21年版)」と旧指針との新旧対照表
http://www.nichizeiren.or.jp/taxaccount/pdf/chusyotaisyou090417.pdf
(注2)企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/kouji-keiyaku/kouji-keiyaku.pdf;jsessionid=F57B1075BDFA680967DCF91FD3D4DBB2
(注3)国税庁「法人税関係法令の改正の概要 平成20年度」のうち、「その他の改正」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/kaisei2008/pdf/07.pdf
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札幌学院大学 客員教授 溝江 諭 税務会計論担当
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