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退職金制度の改定-1

◆事例:退職金制度の改定-1

 近頃、従来の退職金制度を続けていると会社が潰れてしまうとの本やチラシ
を多く見かけます。さらに401K等の言葉も耳にしますが、内容が良くわからな
いので困ったときに改定すればと考えています。
 今、わざわざ改定する必要はあるのでしょうか。

◇回答----------------------------------------------------------------
 退職金の算出が基本給の何ヶ月分という方式であれば、制度廃止も含めて早
めに改定すべきです。特に生保会社等と契約している適格年金制度は2012年3
月を以て廃止されるので、退職給付そのものをやめるか他の制度に移行しなけ
ればなりません。いずれにせよ従業員の同意等が必要となる場合もあるので、
今から準備する必要があります。

■解説----------------------------------------------------------------

 最近の社労士会計事務所からのDMに「退職金は大丈夫ですか」なんての
が増えてきました。きっかけは先の確定拠出年金法等の制定ですが、長引く不
況の中、年配の従業員が簡単に辞めなくなり、退職金の支給時点になって資金
繰りに悲鳴が聞かれるようになったこともあります。

 おおかたの事業主の方は「別に急がなくても」と静観の構えですが、いざ退
職金を支払う段階になって「しまった!」ということのないよう、今からの準
備をお勧めします。

 世間では成果主義が一世を風靡していますが、従来の退職金制度のほとんど
は年功重視となっています。ごく一般的な制度は「退職金額=基本給×勤続年
数別支給月数」となっており、支給月数は勤続年数が長いほど多くなっていま
す。
 給与本体は賃下げの場合もあり得ますが、退職金はよほど基本給が下がらな
い限り減額とはなりません。一生懸命給与や賞与を抑えても、最後は退職金
パーということも充分考えられます。しかも中小企業の場合は毎年必ず退職
が発生するとは限らず、退職金の引当をしていない場合はその額を改めて認識
する機会が少ないため、その重要性に気づくのが遅れがちになってしまいます。
一度、今後10年間の定年退職者の退職金額を試算してみることをお勧めします。

 現在、退職金の主流は「ポイント制」にあるようです。この制度は基本給
ースでなく、資格等級や職種等のランクに応じた一定のポイントを毎年累計し、
最後にポイント単価を掛けて算出します。このため、退職金額は基本給とは
り離され、基本給が上がれば自動的に退職金も上がるという弊害は防ぐことが
できます。等級が上がらなければ毎年一定額のみ加算されていく方式です。
(もっと先鋭的な制度もありますが省略します)

 ところで、退職金の減額ですが、退職金も基準法でいう「賃金」であり、む
やみに下げることはできません。もちろん労使で合意がなされれば、今後の増
加幅を圧縮することは可能ですが、少なくとも制度改定前の額は保障する必要
があります。

 また、退職金そのものを廃止してしまうことも考えられます。だいぶ前に、
松下電器で選択制ながら導入しました。その代わり退職金を希望しない従業員
には、給与の額をアップする方式です。企業への帰属意識の変化を考慮すると、
検討に値するかもしれません。

 退職金改定には時期の選択も重要です。何もない時期に唐突に提案すれば間
違いなく反発の嵐です。もし今後定年延長の予定があれば絶好の機会です。定
年延長で得られる収入と退職金の圧縮額をバーターとしてとらえることができ
ます。

 なお、一番恐ろしいのは、出来合いの規定モデル集をそのまま使っているケ
ースです。古いモデルでは40年勤続の定年退職で60ヶ月支給となっているよう
なのもあります。
 一旦規程化したら知らなかったでは済まされません。早急に点検してみまし
ょう。


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