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業務命令の限界

業務命令の限界★

 業務命令とは使用者が業務遂行のために従業員に対して行う指示や命令で
あり、業務指示権、業務命令権という概念に基づくものとされています。
 その根拠は、労働契約に基づくものと考えられます。労働契約の内容には、
労働者労務を提供する際に、使用者がその提供する内容について指示、命
令することがある」との約束、合意があったということです。
 これが業務命令であり、使用者労働契約に従った業務命令権を有すること
となります。

 具体的な業務命令権の内容や範囲は、労働契約の内容たる就業規則に定めら
れることになります。「従業員は会社の命ずる異動、職務の変更等に応じなけ
ればならない」というような定めが一例です。

 これらの定めがある場合、会社は業務命令として異動等を命ずることができ、
もし労働者が拒否すれば業務命令違反となります。懲戒規定があれば処分もで
きます。その他、日常業務全般についても、必要があれば指示、命令すること
もできます。
 「これやってね」と言ってダメなら、「これは業務命令である」と一言添え
れば、懲戒もあり得る強い命令になります。但し、企業文化により逆効果とな
ることもあるので、使い方には注意が必要です。

 このように、使用者には幅広い業務命令権がありますが、自ずと限界があり
ます。
 業務命令の根拠が労働契約にある以上、労働契約の範囲外の言動を命じるこ
とは、違法、無効となり、労働者は従う義務がないものと考えられます。例え
ば、業務に関係のない事を命ずることです。お茶くみとかがこれに当たるかも
知れません。もっとひどいのになると、社長宅の草むしりとか家族の送迎、法
事の手伝いなんてのもあります。本人が社長へのおべっかでやるのなら構いま
せんがね。
 
 それと、業務に関する範囲であっても、目的が不当であったり、権利の濫用
となる場合も同様です。うるさい組合幹部を遠ざけるため転勤させたり、著し
く不公平な作業や過酷な懲罰を命ずることがこれに当たります。
 特に、通常と異なる命令をするときは、その必要性や内容について、今一度
考えてから命ずることが大切です。

 ワンマン社長の中には、感情的になったり私的な事まで命じたりする方も結
構います。法的には前述のとおりでも、従業員としては断りようがないので、
渋々受けている例も多いようです。これが続くと、社長としては当たり前にな
っていき、従業員は心の奥で「今に覚えてろ」との感情を抱くようになります。
そうなると、いずれ会社は内部から崩壊していくでしょう。

 どうしても業務と関係の薄い事を命じるのであれば、あくまでもお願いとの
スタンスで行うべきです。「○○してくれると有り難いな~」と匂わせ、従業
員が「私にやらせて下さい」と自ら名乗り出る形であれば、違法はともかく多
少不当な事案なら通せることもあります。ただ、これが元でヒイキしすぎると、
他の社員の恨みを買うので程々に。


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