相談の広場
役員退任後半年で、同業の会社の社員として働くことになりましたが、前の会社から私に対して法的に何か請求できるのでしょうか。
不当に損害賠償を請求される可能性があり困ってます。
【状況説明】
以前の会社の業種:サービス業
役員の状況:人数合わせのために役員に就任し、兼務役員
であった。
役員報酬はもらっておらず給与のみもらってた。
担当部門については責任を持たされていたが、
会社全般の意思決定に参加したり、経理財務に
従事することもなかった。
退任時の状況:競業についての特約は締結したと記憶しているが、
前の会社ともめるとは思わず、その書面は廃棄
してしまい、内容は覚えていない。
退任から現在の会社への就職までの期間:約半年
現在の会社:同じサービス業
私が前の会社で担当していた顧客と現在取引をしていない。
今後も担当していた顧客と取引をする気持ちはない。
私の役職:従業員
株式は保有せず。
ただし多少今の会社の意思決定には参加している。
特記事項:前の会社の経営状態が悪く、その社長は色々な会社に
いちゃもんをつけ、損害賠償請求しキャッシュを
確保しようとしている噂を聞いている。
今現在私が今の会社にいることはその社長には
漏れていないが、狭い業界なのでいつ漏れるか
わからない。
恐れ入りますが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。
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同様のご質問は頻発しています。役員ばかりか社員に対しても退職後の他企業等への雇用条件をどのように為すべきか、問題となってはいます。
基本的には、雇用契約内、役員契約期間内であれば、何らの条件を求めることも可能と認められています。(会社法;民法上も容認)ただ、その契約終了後については何ら要件を為すことも難しいと認めています。
ただし、契約期間内に知り得た条件情報等を他に開示することによる損害等の発生については賠償請求権の行使は可能とした判例はあります。
専門家のHpがありますので添付しておきます。
質問要件とは異なりますが、「専門家相談 - 退任した役員の会社(同業種)設立」としてご説明です。
<e総務.com とは Hpより>
http://www.e-somu.com/faq.asp?lv=co&CI=920
経営方針の相違などから取締役が退任し、この退任した取締役が従前の会社と同種の事業を行い、さらには、同じ取引先と取引をすることがあります。
このような場合、従前の会社としては、取引先を奪われたということで憤慨するわけですが、原則として(役員就業規則で「退任後何年間は競業する事業を行うことができない」などと定めていない限り)、退任した取締役は、従前の会社に対して競業避止義務を負いません。実際の裁判例でも、損害賠償請求が認められるのは、在職中から複数の取締役が共謀して新会社を設立して取締役を退任し、従業員も引き抜いて従前の会社と同じ様な商品を同じ取引先に販売をしたというような不当競争と目される場合に限られるようです。
逆に、退任した取締役の側も注意すべき点があります。それは、取締役の退任によって取締役の数が法定の人数(3人)を欠く場合は、欠員が補充されるまで、取締役としての権利義務を負う、すなわち、競業避止義務を負うということです。ですから、退任する場合は、あらかじめ、あるいは、退任後直ちに、欠員補充を代表取締役に請求する必要があります。このような請求があったにもかかわらず、代表取締役が欠員の補充を怠ったときは、退任取締役に対して信義則上、競業避止義務を主張できないということになるでしょう。
退職従業員や退任役員に対して、
会社から訴えを起こす可能性があるのは、
一般的には
1)競合避止義務契約違反 か
2)不正競争防止法違反
と考えられます。
1)については、退職後、退任後の競合避止
に関する規定があったり契約が結ばれていな
ければ訴えを起こすことができません。
質問者の場合「競業についての特約は締結し
たと記憶しているが、前の会社ともめるとは
思わず、その書面は廃棄してしまい、内容は
覚えていない。」とありますが、
上記のような契約を結んでいたとしても、憲
法で保障された「職業選択の自由」の関係も
あり、「会社側が競合避止を課すだけの合理
的な理由がなければ無効」とされ、判例でも
かなり具体的で限定的な場合でないと会社か
らの訴えは認められていません。
したがって、よほど、具体的で限定的で会社
の正当性が合理的に説明ができる場合でない
と競合避止義務契約違反になる可能性は少な
いと思います。
現実的には、1)よりも、2)のケースの方
が企業としては訴えやすい内容だと思います。
つまり、在籍中の会社の営業秘密情報を退職
後、退任後にも利用していることに対する訴
えです。
不正競争防止法では、以下のような内容を不
正な行為として禁止しています。
このような項目に該当しなければ訴えられる
可能性はないと思います
不正競争防止法(第2条第1項第4号~第9号)
四 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段に
より営業秘密を取得する行為(以下「不正取得
行為」という。)又は不正取得行為により取得
した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。
以下同じ。)
五 その営業秘密について不正取得行為が介在
したことを知って、若しくは重大な過失により
知らないで営業秘密を取得し、又はその取得し
た営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
六 その取得した後にその営業秘密について不
正取得行為が介在したことを知って、又は重大
な過失により知らないでその取得した営業秘密を
使用し、又は開示する行為
七 営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」
という。)からその営業秘密を示された場合にお
いて、不正の競業その他の不正の利益を得る目的
で、又はその保有者に損害を加える目的で、その
営業秘密を使用し、又は開示する行為
八 その営業秘密について不正開示行為(前号
に規定する場合において同号に規定する目的でそ
の営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上
の義務に違反してその営業秘密を開示する行為を
いう。以下同じ。)であること若しくはその営業
秘密について不正開示行為が介在したことを知っ
て、若しくは重大な過失により知らないで営業秘
密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、
若しくは開示する行為
九 その取得した後にその営業秘密について不正
開示行為があったこと若しくはその営業秘密につ
いて不正開示行為が介在したことを知って、又は
重大な過失により知らないでその取得した営業秘
密を使用し、又は開示する行為
なお、訴訟(特に民事訴訟の場合)は、とにかく
訴えることだけならば、比較的簡単にできてしま
いますので、万が一、訴えられても、びっくり
することなく、冷静に対処することが大切かと思
います。
その為に、しばらくは、いざというとき証拠とな
りそうな書類は保存しておくとか、メモ書きを残
しておくとかを念の為しておいた方が良いかも知
れません。
井藤行政書士事務所
(起業支援、契約書、経営コンサルタント)
http://www.itoh.fullstage.biz/
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