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■■■■ ■■■■ ■■■■ 中小企業経営塾 第36号 2002年02月15日
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■ ■ ■ ■ 発行:
株式会社イーシーセンター
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http://www.ecg.co.jp/
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原稿執筆の励みになりますので、
ご意見・ご感想を、是非お聞かせ下さい > > >
info@ecg.co.jp
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■ 目次
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▼タックスペイヤーの視点その1
税理士 榎本 恵一
▼日本の将来 中小企業診断士 駒井 伸俊
▼小泉政権が背負う経済状況からの政策転換 MBA 長友 孝幸
▼やっぱり健康が一番 AFP 小林 義和
▼編集後記 副編集長 小林 義和
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■ タックスペイヤーの視点その1
税理士 榎本恵一
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皆さんは、タックスペイヤー(taxpayer:納税者、納税義務者)という言葉を
聞いてどう感じますか?租税法辞典(金子 宏監修)によれば、租税法律関係
において『租税
債務』を負担する者のことをいい、『租税
債務者』ともいう、
とされています。
現在、国会においては「税金」の私物化などの論議がされています。報道関係
の話を聞けば聞くほど、今までが不透明であったのではないかと思われる方が
多いと思います。この問題は、今まで「税」を徴収する国と「税」を納める納
税者の関係が曖昧になっていたのではないでしょうか。
そもそも、わが国において、タックスペイヤー教育そのものがあったのでしょ
うか。私が感じるところでは、昔、社会科の授業で、憲法第30条にある「国
民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」という条文で、国民の
3大義務の一つの『納税の義務』を習った位であると思います。先程提起しま
した、徴収する側とされる側の関係についてよく知らされていなかったわけで
あり、タックスペイヤー教育の重要性を感じていました。
本題になりますが、企業を経営しますと、この『租税
債務』の取り扱いや、何
故そうなるのと思われる点が多々発生します。そこで【中小企業経営塾】では、
最近起業された方、これからご自身のライフプランを作成する中で、いずれや
自分も独立したいとお考えになっていらしゃる方々に対して、今年一年間計1
2回で簡単ですが、ポイントを交えてこの問題をお伝えしていこうと思います。
(メルマガ発行遇数回の時)
初めの今回は、簡単な例を挙げてみたいと思います。
ベンチャーや起業経営者
は、先ず、営業重視ゆえ、
会計・経理事務が後回しになる事はよく耳にする話
です。一方、代表者本人や社員に対して労働の対価である給与を払う事は忘れ
ていません。(恐らく、自分自身が過去の体験から無造作に行なっていると思
います。)本来給与などは、
所得税法の規定により、源泉徴収をすることが義
務になっています。そして、この源泉徴収税額は預り金であるため支払日の翌
月10日までにその合計額を税務署に納付しなければなりません。ここで、疑
問が生じた方(徴収される本人や徴収する側)はいないでしょうか?
一般的なサラリーマンは給与の
額面と源泉税(
社会保険料も含まれる)などが
差し引かれ、かなり手取りが少ない金額になってしまいます。このようなこと
を義務教育を通じて事前に学んだでしょうか。税金だから本人にとって仕方が
ないことで済まされることでしょうか。タックスペイヤー教育として、
所得税
法における源泉徴収制度についての正しい教育を受けていたとしても、実際に
本人の手取りが少なくなる事に対して好意的に理解するかどうか分かりません。
現状はわが国においてタックスペイヤー教育は行なわれていませんし、細かい
ことですがこのような事の知識の積み重ねにより、税金に対してタックスペイ
ヤーが関心を持つことが大事なのです。
会社を経営する場合、色々な面において、細心の注意を払うことは当然ですが、
これからの時代で特に重要なのは法律を知ることです。自らを守る為にも、タッ
クスペイヤーとして知っておいた方が得なのです。その理解を踏まえてどのよ
うな行動(判断)を取るかは納税者の選択があるのです。特に税法は、税務を
企業に強要していません。但し、法律である税法の規定を無視をした処理に関
しては、
罰則規定があるのです。
税に関する知識を持たないタックスペイヤーにとって、税はとても難解なもの
になります。ただ、もともと、税は難解なものです。細かいことは、税の専門
家である
税理士など援助者がいることにより、税に対して無知であると責めら
れるものではありません。しかし、これからの自己責任がつきまとう時代は、
経営者としての立場から最低限、税の構造や租税法などの税の根底に流れてい
るものを知っていた方が、良いことは間違いと思います。
*1 榎本のコラムは下記からどうぞ
声による情報 03-5909-9102(録音されてメッセージが聞けます)
ホームページによる文字情報
http://www.ecg.co.jp/koe?mm36
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■ 日本の将来 中小企業診断士 駒井伸俊
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-会社がなくなる?-
前号のメールマガジンで、我が国では、少子高齢化社会が確実に訪れていて、
日本の総人口は2006年を境に減少していくという話を書きました。今号では、
日本の企業について考えてみましょう。
ある期間中に、
法人企業と個人企業を合わせた全体の企業のなかで、どれくら
いの割合で企業が開業したかを見る比率に開業率があります。一方、全体の企
業のなかで、どれくらいの割合で企業が廃業したか見る比率に廃業率がありま
す。皆さん、日本では、どれくらいの企業が開業したり、廃業したりしている
と思いますか?最新の調査によれば、日本における開業率は3.5%、一方、廃
業率は5.6%(*1)です 。この数字は、多いのでしょうか?少ないのでしょうか?
ちなみに、諸外国を見てみると、次のようになっています。アメリカの開業率
は、概ね13から15%で、廃業率は10~13%で推移しています(*2) 。また、ヨー
ロッパ諸国19カ国の平均開業率は約9%となっています (*3)。世界の先進国の
ほとんどが10%を超える開業率なのに対して、日本の開業率は極端に低いわけ
です。開業率が低いということは、新しい企業や新しい産業があまり生まれて
いないということです。日本の経済が活性化されていないわけですから、問題
ありです。
さらに問題なのは、日本では、開業する企業より廃業する企業の方が多いとい
うことです。アメリカは開業率と廃業率がともに高い水準で推移していますが、
常に開業率が廃業率を上回っています。日本でも、昭和60年までは、開業率
(5.9%)が廃業率(3.8%)を上回っていました。ところが、昭和61年以降、
ずっと、日本の開業率と廃業率は逆転現象を起こしています。これは由々しき
事態です。
開業率より廃業率の方が高いということは、人間で言えば出生率より
死亡率の
方が高いということです。生まれる人より死ぬ人の割合が高ければ、いずれ人
がいなくなってしまう可能性があるように、開業する企業より廃業する企業の
方が多ければ、いずれ企業がなくなってしまうなんて可能性もあるのです(ちょっ
と極端ですが・・・)。
人々が開業しづらい風土や気質が日本にはあるのでしょうか?確かに、日本に
おいては、大企業の勤務者に対する国民の意識や社会的評価に比べ、起業家に
対しては国民意識や社会的評価は必ずしも高いとはいません。しかし、現在の
日本の閉塞感を打ち破るためにも、起業家による創業・開業は、今まさに強く
期待されています。次号以降、日本経済の活性化の原動力(*4)となる創業・開
業に関する現状や支援等について考えて見ましょう。
(*1)
総務省統計局「事業所・企業統計調査」
(*2) アメリカ中小企業白書
(*3) ヨーロッパ中小企業白書:英国、アイスランド、アイルランド、ドイツ、
スペイン、フランス、ポルトガル、オランダ、デンマーク、ギリシャ、
オーストラリア、ルクセンブルク、ノルウェー、ベルギー、スイス、イ
タリア、フィンランド、スウェーデン、リヒテンシュタイン
(*4)1990年代のアメリカにおいては、新たに誕生した
ベンチャー企業が経済
活性化の原動力になったと言われています。
*駒井先生の紹介ページはこちら
http://www.ecg.co.jp/supporter/komai/?mm36
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■ 小泉政権が背負う経済状況からの政策転換 MBA 長友孝幸
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日本経済は98年以降から、物価水準の持続的な下落がつづくデフレーション
の状態を漂っています(デフレーションとは、二年以上続けて物価が下落するこ
とをいいます「IMFのデフレの定義」)。雑誌やテレビ、ニュースでもご存知の
とおり、小泉政権はこのデフレ下で構造改革を進めようとしています。しかし、
前回お話したアメリカのレーガン政権(レーガノミックス)で成功した構造改革
と小泉政権が直面する構造改革には大きな違いがあることを理解しなければな
りません。
レーガン政権が直面していた経済状況は、低成長下で物価が上昇するというス
タグレーション(高インフレと高
失業率が共存)にありました。スタグレーショ
ンは需要の増加に対して供給能力が追いつかないため生じる現象ですから、構
造改革の定義にあるように、労働、
資本、技術などの
資本の移動や規制緩和に
よって供給能力の増加させる作用があり、構造改革はスタグレーションを解決
する政策としては有効な政策と考えられます。
しかし、小泉政権が直面している経済状況はデフレ状況なのです。その中で小
泉政権の政策内容には、デフレからの脱却よりも構造改革のほうが目につきま
す。サプライサイドを重視している小泉政権(特に竹中平蔵経済財政政策担当)
にとって、最初に着手しようとする構造改革を優先することは当然のことのよ
うに感じますが、インフレ下で成功した構造改革はあるものの、デフレ下で成
功した構造改革は世界的な例はありませんでした。
デフレ下では名目
賃金や名目金利が下方に硬直的なため、実質
賃金(
賃金÷物
価)や実質金利(金利÷物価)といった相対価格の上昇に経済が左右されます。
つまり、実質
賃金が上昇すれば
雇用は減少し、
雇用の減少が消費の減少をもた
し、実質金利の上昇は消費と投資を抑制させます。このようなサイクルが需要
の減少を引き起こし、さらなる物価下落が進むと、日本経済にいっそうのデフ
レと不況になります。
竹中国務大臣は、構造改革による不況は一時的なものであり、長期的には名目
賃金と名目金利ともに調整されて、実質
賃金と実質金利は低下すると主張して
います。しかし、その長期的に意味について、具体的な説明はなく誰も予想で
きないような不安材料を国民に提示しています。
このような状況では小泉政権が進める構造改革に対して、国民はその積極的な
意味を見出すことはできません。ならば、デフレからの脱却を優先し、経済が
安定してから構造改革を実施したほうが、経済再生の時間的な予測を可能にし、
国民のデフレに対する不安感を取り除く効果を期待できます。
では、今までのことを簡単にまとめてみましょう。34号では織田信長を例に
とって政権の継続性について考えました。また、35号ではケインズと新古典
派、マネタリストの考え方の違いによる政権の骨格なる具体的政策方針の行方
を考えました。インフレ下の構造改革とデフレ下の構造改革では、その経済再
生までにかかる時間に差異があることは理解できたと思います。いずれにせよ
不況という経済状況を無視して構造改革を考えると、政権の継続性と政策方針
は重要な意味をもちます。しかし、不況からの脱却か構造改革のいずれかを優
先は、その後の経済再生の過程に大きく左右します。
現在の経済状況を考えると不況からの脱却を優先しなければ、小泉政権が掲げ
る聖域なき構造改革の成功の可能性は低く見積もられます。国民の期待を裏切
らない政策の舵取りの行方によって、将来の日本経済再生に大きく影響するこ
とに間違いありません。ただ依然として、需要サイドの問題に対して、供給サ
イドの解決策を模索していることは残念なことです。
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■ やっぱり健康が一番 AFP 小林義和
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まだ微調整はあるかと思いますが、医療制度改革は小泉首相の考えどおりにな
りそうです。来年の四月よりサラリーマン本人の
医療費自己負担額が現行の二
割負担から三割になります。(法案はまだ国会を通過していませんが)また、す
でに決まっていますが
健康保険料も
政府管掌健康保険、
組合管掌健康保険とも
に
国民健康保険同様年収ベースの計算になり、年収に占めるボーナスの割合が
高い方は今後保険料負担増になります。
他、特にお年寄りには厳しく、外来の自己負担が大幅に上昇します。これまで
は一回あたり八百円を月に五回まで支払い、以降は無料で診療を受けられまし
た。しかし、これを廃止しされ上限を所得層別に八千円から四万二百円まで引
き上げられました。
医療費の大部分は高齢者に使われていると言われており、
無用の入院や診療を減らす目的もあるようですが、これでは抜本的な改革とは
言えそうもありません。
日本に住んでいる人は国民皆保険制度により何かしらの
健康保険に加入しなけ
ればなりません。その制度が枯渇し破綻間近と言われ続けています。今回の改
革も政府管掌保険を守り、国債発行枠を守る為に公的資金投入を抑さえる一時
しのぎのように感じられます。時代に合わない制度になってしまったのですか
ら抜本的に見直して欲しいものです。しかし、最終的には健康でいることが一
番なのではないでしょうか。
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■ 編集後記 副編集長 小林義和
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ソルトレイク冬季オリンピックがはじまりました。テレビを見ていても熱気が
伝わって来ます。ただ残念なのが、報道がメダルを獲ったか獲れなかっただけ
に着目しているような気がすることです。出場できるだけでもすごいことなの
ですから、結果が全てではなく、賞賛するべきではないでしょうか。
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