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■
行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第83号/2006/7/1>■
1.はじめに
2.「
会社法務編/中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(27)」
3.「市
民法務編/ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(10)」
4.編集後記
**********************************************************************
**********************************************************************
1.はじめに
**********************************************************************
皆様、こんにちは。
行政書士の津留信康です。
2006/6/27、「政策金融改革推進本部(※1)&行政改革推進本部(※2)」は、
「政府系金融機関の再編計画」を決定し、「具体的な法律案を、
遅くとも2007年次期通常国会には提出する予定であること」を明らかにしました。
同計画の中では、特に、国民金融公庫、中小企業金融公庫などが統合し、
2008年10月に設立される予定の新政策金融機関の動向が、
今後、中小企業・
ベンチャー経営者&起業予定者の資金調達環境に、
一体どのような影響を及ぼすのか、非常に興味深いところです。
※1)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kinyu/index.html
※2)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/gyokaku/index.html
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
★当事務所へのご連絡(メルマガに関するご質問・ご要望&業務のご相談・ご依頼)
には、専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用ください。
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2.「
会社法務編―中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(27)」
**********************************************************************
★本号では、『
会社法(全8編/全979条)―「第2編
株式会社」』の中から、
「第5章~第9章(計算等・
定款の変更・事業の譲渡等・解散・清算)」
の概要について、ご紹介します。
■第5章 計算等(第431条~第465条)
□
株式会社の
会計は、一般に公正妥当と認められる
企業会計の慣行(※)
に従うものとされています(第431条)。
※)中小企業の
会計に関する指針(中小企業庁HP)
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/kaisetsu.html
□
株式会社は、
法務省令(※)で定めるところにより、
会計帳簿(第432条)、
貸借対照表(B/S)・
損益計算書(P/L)その他の
計算書類等(第435条)
の作成・保存が義務づけられています。
また、
株式会社(大会社を除く中小会社)は、
法務省令(※)で定めるところにより、
定時株主総会の終結後遅滞なく、
貸借対照表(B/S)を、公告しなければなりません(第440条第1項)。
※)会社計算規則および電子公告規則(法務省HP)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji107.html
■第6章
定款の変更(第466条)
□
株式会社は、その成立後、
株主総会の決議によって、
定款を変更することができます。
■第7章 事業の譲渡等(第467条~第470条)
□
株式会社が、事業の全部の譲渡などをする場合には、
効力発生日の前日までに、
株主総会の決議により、
当該行為に係る
契約の承認を受けなければなりません(第467条第1項)。
■「第8章 解散(第471条~第474条)」&「第9章 清算(第475条~第574条)」
□
株式会社は、第471条第1号~第6号の解散事由によって、
解散(
株式会社が営業をやめ、
法人格の消滅をきたすべき状態に入る)します。
□
株式会社は、
合併または破産以外の事由による解散など、
第475条第1号~第3号に規定する場合には、
会社法の規定に従い、
清算(既存の法律関係を整理する)をしなければなりません。
★次号(2006/7/15発行予定の第84号)では、
「第3編 持分会社」の概要について、ご紹介する予定です。
★当事務所では、「
会社法の施行に伴う諸手続き」(※)に関して、
ご相談・ご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用の上、
どうぞお気軽にご連絡ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_ac8d.html
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3.「市
民法務編―ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(10)」
**********************************************************************
★前号(2006/6/19発行の第82号)の補足★
前号において、「不動産に関する
物権の得喪および変更は、
不動産
登記法その他の
登記に関する法律の定めるところに従い、
その
登記をしなければ、第三者に対抗することができない(第177条)」
とご紹介しましたが、
物権変動の中には、次のような場合もあることに注意を要します。
1.
登記がなくても、第三者に対抗できる場合
⇒取消しの
意思表示をする以前の第三者、
取得時効完成前の第三者など
2.
登記がなくても、
物権変動を対抗できる第三者
⇒背信的悪意者、
登記の不存在を主張する正当な利益を有しない者
なお、以上の点に関する判例は、
「
行政書士試験(H17、H11、H8など)」でも、たびたび出題されています。
★本号では、「
民法(全5編/全1044条)」のうち、
「第2編
物権―第2章
占有権」の概要について、ご紹介いたしします。
■第2章
占有権(第180条~第205条)
<第1節
占有権の取得(第180条~第187条)>
□
占有権とは、「物の占有(自己のためにする意思で、物を所持すること)
という事実状態を保護するための権利」のことです(第180条)が、
占有権を有する者は、通常、占有を法律上正当化するための実質的な権利、
いわゆる本権(
所有権、賃借権など)を有する者です。
□当事者の意思による
占有権の移転方法としては、次の4つが規定されています。
1.現実の引渡し(第182条第1項)
2.簡易の引渡し(第182条第2項)
3.占有改定(第183条)
4.指図による占有移転(第184条)
☆Aが、横浜のB倉庫に置いてある商品をCに売却し、
B倉庫の経営会社に対して、
以後は、Cのために商品を保管するように通知した場合、
B倉庫会社がこれを承諾したときには、
占有権は、AからCに移転する(H14行書)。
⇒×
代理人(B倉庫の経営会社)によって占有する場合において、
本人(A)がその
代理人に対して、
以後、第三者(C)のためにその物を占有することを命じ、
その第三者(C)がこれを承諾したときに、
その第三者が
占有権を取得するのであって、
設問肢のように、
代理人(B倉庫の経営会社)の承諾があっても、
占有権の移転は成立しません(第184条)。
<第2節
占有権の効力(第188条~第202条)>
□
占有権の効力としては、次の6つが規定されています。
1.本権などの推定(第188条)
2.善意の占有者による果実の取得等(第189条・第190条)
3.占有者による
損害賠償(第191条)
4.即時取得(第192条~第195条)
☆Aの所有する宝石をCが盗み出し、CがこれをBに売却したが、
Bが、その宝石が盗品である事実について善意・無過失であった場合には、
Bは、即時取得により、
Aの宝石の
所有権を取得できる可能性がある(H17行書)。
⇒○ 即時取得の成立要件は、「取引行為によって、平穏かつ公然に、
動産の占有を始めた者が、善意かつ無過失のとき(第192条)」および
「前主が無権利者」ですが、設問のケースはすべての要件を満たすため、
盗品または遺失物の回復に関する特則(第193条)があるにせよ、
Bの即時取得の可能性はあります。
5.占有者の
費用償還請求権(第196条)
6.占有訴権(第197条~第202条)
占有の訴えには、次の3つがあります。
(1)占有保持の訴え(第198条)
(2)占有保全の訴え(第199条)
(3)占有回収の訴え(第200条)
<第3節
占有権の消滅(第203条・第204条)>
□
占有権の消滅事由(第203条)とは別に、
代理占有権特有の消滅事由(第204条)があります。
<第4節 準占有(第205条)>
□準占有とは、「自己のためにする意思をもって財産権を行使すること」であり、
具体的には、「漁業権に基づく漁場に対する事実上の支配」などが該当します。
★次号(2006/7/15発行予定の第84号)では、
「
民法第2編
物権―第3章
所有権」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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■「ワールドカップ・決勝T」も、いよいよ佳境を迎えようとしています。
ベスト16に残った各国の戦いぶりを見ると、
体格・体力、気力、技術、戦術、いずれの面においても、
1次リーグで姿を消した「我らが日本代表」との差は歴然のようです。
彼らの戦いぶりには、「最後までがんばったので、感動した」、
「いいプレーもあったのだから、勝ち負けは関係ない」
等のご意見もありますが、私は、決してそうは思いません。
「我らが日本代表」には、「プロとして、勝つためには何が必要か?」
という点にとことんこだわって、
2010年の南アフリカ大会を目指してほしいと、切に願っています。
なぜなら、世界のサッカー強国といわれる国々の人々がそうであるように、
「サポーターには、代表チームへの愛情に裏打ちされた厳しさが必要不可欠」
と思っているからです。さて、皆様はいかがでしょうか?
■第83号は、いかがでしたか?次号(第84号)は、2006/7/15発行予定です。
■編集責任者:
行政書士 津留信康
□津留
行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□
行政書士・津留信康の法務サポートblog
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(
http://www.mag2.com/)」を利用しており、
購読の解除は、「
http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。
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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第83号/2006/7/1>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(27)」
3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(10)」
4.編集後記
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1.はじめに
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皆様、こんにちは。行政書士の津留信康です。
2006/6/27、「政策金融改革推進本部(※1)&行政改革推進本部(※2)」は、
「政府系金融機関の再編計画」を決定し、「具体的な法律案を、
遅くとも2007年次期通常国会には提出する予定であること」を明らかにしました。
同計画の中では、特に、国民金融公庫、中小企業金融公庫などが統合し、
2008年10月に設立される予定の新政策金融機関の動向が、
今後、中小企業・ベンチャー経営者&起業予定者の資金調達環境に、
一体どのような影響を及ぼすのか、非常に興味深いところです。
※1)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kinyu/index.html
※2)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/gyokaku/index.html
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
★当事務所へのご連絡(メルマガに関するご質問・ご要望&業務のご相談・ご依頼)
には、専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用ください。
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2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(27)」
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★本号では、『会社法(全8編/全979条)―「第2編 株式会社」』の中から、
「第5章~第9章(計算等・定款の変更・事業の譲渡等・解散・清算)」
の概要について、ご紹介します。
■第5章 計算等(第431条~第465条)
□株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行(※)
に従うものとされています(第431条)。
※)中小企業の会計に関する指針(中小企業庁HP)
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/kaisetsu.html
□株式会社は、法務省令(※)で定めるところにより、会計帳簿(第432条)、
貸借対照表(B/S)・損益計算書(P/L)その他の計算書類等(第435条)
の作成・保存が義務づけられています。
また、株式会社(大会社を除く中小会社)は、
法務省令(※)で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、
貸借対照表(B/S)を、公告しなければなりません(第440条第1項)。
※)会社計算規則および電子公告規則(法務省HP)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji107.html
■第6章 定款の変更(第466条)
□株式会社は、その成立後、
株主総会の決議によって、定款を変更することができます。
■第7章 事業の譲渡等(第467条~第470条)
□株式会社が、事業の全部の譲渡などをする場合には、
効力発生日の前日までに、株主総会の決議により、
当該行為に係る契約の承認を受けなければなりません(第467条第1項)。
■「第8章 解散(第471条~第474条)」&「第9章 清算(第475条~第574条)」
□株式会社は、第471条第1号~第6号の解散事由によって、
解散(株式会社が営業をやめ、法人格の消滅をきたすべき状態に入る)します。
□株式会社は、合併または破産以外の事由による解散など、
第475条第1号~第3号に規定する場合には、会社法の規定に従い、
清算(既存の法律関係を整理する)をしなければなりません。
★次号(2006/7/15発行予定の第84号)では、
「第3編 持分会社」の概要について、ご紹介する予定です。
★当事務所では、「会社法の施行に伴う諸手続き」(※)に関して、
ご相談・ご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用の上、
どうぞお気軽にご連絡ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_ac8d.html
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3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(10)」
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★前号(2006/6/19発行の第82号)の補足★
前号において、「不動産に関する物権の得喪および変更は、
不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従い、
その登記をしなければ、第三者に対抗することができない(第177条)」
とご紹介しましたが、
物権変動の中には、次のような場合もあることに注意を要します。
1.登記がなくても、第三者に対抗できる場合
⇒取消しの意思表示をする以前の第三者、取得時効完成前の第三者など
2.登記がなくても、物権変動を対抗できる第三者
⇒背信的悪意者、登記の不存在を主張する正当な利益を有しない者
なお、以上の点に関する判例は、
「行政書士試験(H17、H11、H8など)」でも、たびたび出題されています。
★本号では、「民法(全5編/全1044条)」のうち、
「第2編 物権―第2章 占有権」の概要について、ご紹介いたしします。
■第2章 占有権(第180条~第205条)
<第1節 占有権の取得(第180条~第187条)>
□占有権とは、「物の占有(自己のためにする意思で、物を所持すること)
という事実状態を保護するための権利」のことです(第180条)が、
占有権を有する者は、通常、占有を法律上正当化するための実質的な権利、
いわゆる本権(所有権、賃借権など)を有する者です。
□当事者の意思による占有権の移転方法としては、次の4つが規定されています。
1.現実の引渡し(第182条第1項)
2.簡易の引渡し(第182条第2項)
3.占有改定(第183条)
4.指図による占有移転(第184条)
☆Aが、横浜のB倉庫に置いてある商品をCに売却し、
B倉庫の経営会社に対して、
以後は、Cのために商品を保管するように通知した場合、
B倉庫会社がこれを承諾したときには、
占有権は、AからCに移転する(H14行書)。
⇒× 代理人(B倉庫の経営会社)によって占有する場合において、
本人(A)がその代理人に対して、
以後、第三者(C)のためにその物を占有することを命じ、
その第三者(C)がこれを承諾したときに、
その第三者が占有権を取得するのであって、
設問肢のように、代理人(B倉庫の経営会社)の承諾があっても、
占有権の移転は成立しません(第184条)。
<第2節 占有権の効力(第188条~第202条)>
□占有権の効力としては、次の6つが規定されています。
1.本権などの推定(第188条)
2.善意の占有者による果実の取得等(第189条・第190条)
3.占有者による損害賠償(第191条)
4.即時取得(第192条~第195条)
☆Aの所有する宝石をCが盗み出し、CがこれをBに売却したが、
Bが、その宝石が盗品である事実について善意・無過失であった場合には、
Bは、即時取得により、
Aの宝石の所有権を取得できる可能性がある(H17行書)。
⇒○ 即時取得の成立要件は、「取引行為によって、平穏かつ公然に、
動産の占有を始めた者が、善意かつ無過失のとき(第192条)」および
「前主が無権利者」ですが、設問のケースはすべての要件を満たすため、
盗品または遺失物の回復に関する特則(第193条)があるにせよ、
Bの即時取得の可能性はあります。
5.占有者の費用償還請求権(第196条)
6.占有訴権(第197条~第202条)
占有の訴えには、次の3つがあります。
(1)占有保持の訴え(第198条)
(2)占有保全の訴え(第199条)
(3)占有回収の訴え(第200条)
<第3節 占有権の消滅(第203条・第204条)>
□占有権の消滅事由(第203条)とは別に、
代理占有権特有の消滅事由(第204条)があります。
<第4節 準占有(第205条)>
□準占有とは、「自己のためにする意思をもって財産権を行使すること」であり、
具体的には、「漁業権に基づく漁場に対する事実上の支配」などが該当します。
★次号(2006/7/15発行予定の第84号)では、
「民法第2編 物権―第3章 所有権」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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■「ワールドカップ・決勝T」も、いよいよ佳境を迎えようとしています。
ベスト16に残った各国の戦いぶりを見ると、
体格・体力、気力、技術、戦術、いずれの面においても、
1次リーグで姿を消した「我らが日本代表」との差は歴然のようです。
彼らの戦いぶりには、「最後までがんばったので、感動した」、
「いいプレーもあったのだから、勝ち負けは関係ない」
等のご意見もありますが、私は、決してそうは思いません。
「我らが日本代表」には、「プロとして、勝つためには何が必要か?」
という点にとことんこだわって、
2010年の南アフリカ大会を目指してほしいと、切に願っています。
なぜなら、世界のサッカー強国といわれる国々の人々がそうであるように、
「サポーターには、代表チームへの愛情に裏打ちされた厳しさが必要不可欠」
と思っているからです。さて、皆様はいかがでしょうか?
■第83号は、いかがでしたか?次号(第84号)は、2006/7/15発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
□津留行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□行政書士・津留信康の法務サポートblog
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
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