• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

死亡退職金は、別居中の正妻、同居中の事実婚の妻、…(その2)

vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv
 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第40回 死亡退職金は、別居中の正妻、同居の
         事実婚の妻、どちらに払う?(その2)

<第55号>      平成23年3月28日(月)
vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv
発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv

こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。

今回は、前回の続きです。

ところで、ある日の労働相談で、退職した労働者
3年間勤めて退職したが、退職金を支払ってくれないとのこと。

当人は、退職金も月例賃金と同じく
必ず支払ってくれるものと考えていたようです。

退職金は必ず支払うべきとの法的義務はありません。
あくまでも会社の使用者の任意で設置の有無が決まります。

退職金制度を設けた場合は必ず就業規則等に規定を置く
必要があります。これは就業規則の必要記載事項となります。

★☆[PR]★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
●労働社会保険諸法に基づく
 職業訓練校・セミナーの講師、新入社員等研修、法改正研修、
 社外各種相談窓口などを受け給わっております。
まずは、info@ho-wiki06.com にご一報ください。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

◆◆ 労基法に定める受給権者の範囲 ◆◆

○ 前号後半に掲示した行政解釈の中で示されていた
労基法施行規則第42条に定める受給権者の範囲とは
どのように定められているのでしょうか。

同施行規則は遺族補償を受ける者について定めたもので
その第1項には

遺族補償を受けるべき者は、労働者の配偶者(婚姻の届け出を
しなくとも事実上の婚姻と同様の関係にある者を含む。)とする」
とあります。

そして、同規則第43条と合わせて受給権者の範囲とその順位を
定めております。

つまり、両規則通じて配偶者を第1順位に置いていることになり
その形態が形式婚か事実婚かまでは言及していません。

従って、この規則のままでは本件の場合、退職金受領者を
特定できないことになります。

◆◆ 裁判例をみる~福岡工業大学事件~ ◆◆

○ この事案は、ある社員が不慮の事故で急死し、その退職金
遺族に支払うことになるが、その受取りをめぐって

複数の遺族間で争いが起きたケースで、最高裁は
次のように判示しました。

「改正後の規定6条は、死亡退職金の受給権者の範囲及び
順位につき民法の規定する相続人の範囲及び順位決定の原則とは

著しく異なった定め方をしているのであり、これによってみれば
右規程の定めは、専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を
目的とし、

民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、
受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、右規程の定めにより

直接これを自己固有の権利として取得するものと
解するのが相当である。」と。(昭60.1.31最高裁判決)

つまり、当大学の退職金規程では従業員の収入に依拠していた
遺族の生活保障を目的としているとして、当該遺族の
固有の権利であることを認めています。

その他の判例でも、死亡退職金の受給権者の範囲・順序等が
労働協約就業規則等で明確に規定されている場合には、

規程に定める遺族固有の権利であり、相続財産には
当らないと判示しています。(「日本貿易振興会事件」
昭55.11.27最高裁判決)

◆◆ 就業規則退職金規程)等に
受給権者の範囲と順位を定めることが必要? ◆◆

○ 本件の場合を考えてみますと、退職金規程等に受給権者
範囲と順位までは定めておらず、

労基法施行規則第42条等を踏まえてみても、内縁関係の
事実上の妻にも受給権者として並記されていることから

これだけでは退職金をどちらに支給すべきか迷うところです。

しかし、こうした正妻と内縁の妻との確執はかなり発生しており
その内容・形態はさまざまです。

従って、裁判等もそれぞれの内状を総合的に勘案して
判断せざるを得ないものと思います。

○ そこで、こうした重婚内縁関係についての
労働保険審査会における裁決例をご紹介します。

■戸籍上の夫があるにもかかわらず、その妻が別の被災者の
男性と事実上婚姻関係と同様の状態となり、

その後、相当期間その関係が継続した内縁的関係にある妻が
労災保険遺族補償年金を請求した事件。(昭39.2.29裁決)

この事案は、被災者の男性にはこの事実婚の妻のほかに父母がおり
この内縁の女性が配偶者として父母に優先して請求権者と
なり得るかが問題となったものです。

この事案の裁決で、次のように示しました。

「現に戸籍上の誰かの配偶者であった者が、さらに他の者の
内縁の配偶者となることは、いわゆる重婚内縁となり、
一般的に公序良俗に反するものとして許されない。

ただ、例えば当事者は離婚届にすでに署名捺印し、
離婚の意思の確実性が認められ、しかして何年間か
離婚と同様の状態が既に経過し、

かつ、その間婚姻関係復活の期待は全然いだかれておらず
離婚と同様の状態継続の確定性が認められる等、

婚姻関係は事実上解消されたと同様の状態にあったものと
明白に認められる場合においては、

なおこれを公序良俗に反するとして法的保護を
拒否する事が適当かどうか問題として残り得る」として、

内縁の妻の請求権を否定しております。

○ 前号冒頭の本件のケースである内縁の妻と戸籍上の妻、
上記は内縁の妻と父母との違いはありますが、

裁決の内容が指摘している点が参考になるものと思います。

つまり、本件の場合は戸籍上の妻と別居しており、
内縁の妻の世話になっているとはいえ、

いまだ離婚届に署名捺印をしていないことから、
同じ「配偶者」としては社会通念上、また公序良俗の観点から
戸籍上の妻の方が歩があるようにも思料します。

しかし、退職金の性格から、その支給基準、対象者等も含め
使用者に裁量権を認めていることから、

このようなトラブルを避けるためにも、就業規則退職金規程で
死亡退職金の受給権者の第1順位について、

「配偶者(ただし、内縁関係の者を除く。)」との規定を
定めておいた方が良いと考えるものです。

★☆★☆★☆★【ひとくち教養講座】★☆★☆★☆★
よく日本語は難しいといいます。

そこで、間違いやすい日本語について考えてみましょう。

次の文章のうち、どちらが正しいでしょうか

■A 盆と暮れは商店街の「書き入れ時」だ。
■B. 盆と暮れは商店街の「?き入れ時」だ。

答えは、編集後記で。

●● お断り ●●
本メルマガ第1号より連載しておりました「ひとくち教養講座」は
本号で終了させていただきます。
4月からは、本論を中心として更に充実した内容で
お届けさせていただきます。
今後とも、宜しくお願い申し上げます。(筆者)

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

さて、どちらが正しいか分かりましたか?

答えは「A」です。

「カキイレドキ」とは、商売が忙しく、儲けの多い時、という
意味の語です。

本来は、売り上げを帳簿に書き入れるのに忙しい時、という
意味から出た言葉です。

従って、「?き入れ時」と書いたら間違いです。
「掻く」とは、「頭・汗・いびき・恥・寝首などを掻く」と
いうように用いる言葉です。

一面、客が落とす金を熊手で掻き集めるようにして懐に入れる、
等のイメージから「掻きいれ時」と間違うのかもしれませんが。

*********
東日本大震災による被災者は増え続けています。
特に、行方不明の方がまだ1万7千人余もおり、全国の身内の方、
親戚、友人の皆さまは連日、気が休まる時はないと思います。
ただただ、1日も早い復興をと祈り、願うのみです。

なお、先日、臨時号で労基法関係の取扱いについて紹介しましたが
他に、雇用保険労災保険関係の特例措置等に関して、
筆者のホームページで紹介しておりますので、必要な方は
以下のURLからご覧ください。
http://www.ho-wiki06.com
               ***************

では、また次号でお会いしましょう。
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
★メールマガジン「経営・労務管理ビジネス用語の
         あれっ!これ、どうだった?!」
★発行責任者   小野寺 弘
★E-mail    info@ho-wiki06.com
★発行者サイト  http://www.ho-wiki06.com
★発行システム:『まぐまぐ』http://www.mag2.com/
★配信中止:http://www.mag2.com/m/0001103042.html
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

絞り込み検索!

現在22,563コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP