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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第91号/2006/11/1>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(35)」
3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(18)」
4.編集後記
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1.はじめに
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皆様、こんにちは。行政書士の津留信康です。
明日から2日間(11/2・11/3)、
わが母校・明治学院大学法学部・「白金士業倶楽部(白金法学会・分科会)」主催の
『無料総合法律相談会(※1)』が開催されます。
※1)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_107c.html
当日は、明学OBの各士業の方々がご相談を承りますので、
都内周辺ご在住の方々は、是非お立ち寄りください。
なお、残念ながら、私は参加できませんが、
当事務所のメール相談等(※2)もご活用いただければ幸いです。
※2)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_1503.html
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
★2006/11/12(日)の「平成18年度行政書士試験(※)」まで、
残り2週間足らずとなりました。受験生の皆さんは、
ご自分を信じて、最後まで、あきらめずにがんばってください!!
※)財団法人行政書士試験研究センター
http://gyosei-shiken.or.jp/
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2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(35)」
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★「2006/10/1発行の第89号」より、
「平成18年度司法書士試験問題(※1)」の解説を通じて、
“会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
本号は、「株式」に関する問題です。
※1)平成18年度司法書士試験問題(法務省Webサイト)
午前の部
http://www.moj.go.jp/SHIKEN/SHOSHI/H18-AM/am-all.pdf
午後の部
http://www.moj.go.jp/SHIKEN/SHOSHI/H18-PM/pm-all.pdf
なお、同試験では、午前の部で、「会社法等が8問(No.28~35)」、
午後の部で、「商業登記法等が8問(No.28~35)」、出題されています。
※2)実際の問題は、すべて組み合わせ問題ですが、
便宜上、単純な正誤問題に変更してありますので、ご了承ください。
<株式(午前の部・第30問/種類株式の発行)>
■甲株式会社は、その定款において、
A種類株式とB種類株式の2種類の種類株式を発行する旨定めている。
この場合における、次の1~5までの記述のうち、正しいものはどれか。
1.現に、A種類株式を4万株発行している場合において、
A種類株式の発行可能種類株式総数を、
6万株から3万株に減少させる旨の定款の変更をすることはできない。
□正解 ○
□解説
会社法第114条第1項を参照のこと。
2.甲株式会社が、会社法上の公開会社である場合には、
A種類株式についてのみ、その種類株主が、
株主総会における議決権を有しないものとすることはできない。
□正解 ×
□解説
公開会社であるか否かにかかわらず、株式会社は、
「株主総会において議決権を行使することができる事項について、
異なる定めをした内容の異なる株式」
を発行することができます(会社法第108条第1項本文第3号)。
3.A種類株式およびB種類株式について、それぞれ株式の内容として、
株主総会において議決権を行使する事項につき定款で定めを設けない限り、
株主総会における議決権の行使につき、
株主ごとに異なる取扱いをすることはできない。
□正解 ×
□解説
株式会社は、株主を、その有する株式の内容および数に応じて、
平等に取り扱わなければなりませんが(会社法第109条第1項)、
公開会社でない会社においては、
一定の事項(同法第105条第1項各号)について、
株主ごとに異なる取扱いを行う旨を、
定款で定めることができます(同法第109条第2項)。
つまり、甲株式会社が公開会社でない場合には、
定款に定めを設けなくても、そのような取扱が可能となります。
4.A種類株式を株式分割の対象とせず、
B種類株式のみを、1対2の割合で株式分割をすることも可能である。
□正解 ○
□解説
会社法第183条第2項第3号を参照のこと。
5.譲渡制限株式ではないA種類株式を、
譲渡制限株式にするための定款変更をするには、
株主総会の特殊決議(原則として、
株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上であって、
当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う決議)を要する。
□正解 ×
□解説
種類株式発行会社において、
設問肢のような株主総会の決議を行う場合には、特殊決議ではなく、
特別決議で足ります(会社法第309条第2項第11号・第3項第1号、第466条)。
<株式(午後の部・第33問/募集株式の登記)>
■募集株式の登記に関する次の1~5の記述のうち、正しいものはどれか。
1.新株予約権を発行している会社が、
新株予約権の行使期間の初日の到来前に募集株式を発行した場合には、
当該募集株式の発行後の発行済株式総数に、
新株予約権の目的である株式の数を加えた数が、
当該株式会社の発行可能株式総数を超えるときであっても、
当該募集株式の発行による変更の登記を申請することができる。
□正解 ○
□解説
会社法第113条第4項かっこ書を参照のこと。
2.会社法上の公開会社でない会社において、
株主に株式の割当てを受ける権利を与えずに、
払込金額が引受人に特に有利な金額でない募集株式の募集事項の決定を、
株主総会の特別決議において行った場合には、
当該募集株式の発行による変更の登記の申請書に、
定款を添付しなければならない。
□正解 ×
□解説
設問肢の場合(会社法第199条第1項・第2項、第309条第2項第5号)には、
「株主総会議事録」の添付を要します(商業登記法第46条第2項)が、
「定款」の添付は不要です。
3.金銭のみの募集株式を出資の目的とする場合には、
募集株式の発行による変更の登記の申請書に、
募集株式の引受けの申込みを証する書面のほか、
その引受けを証する書面を添付しなければならない。
□正解 ×
□解説
設問肢のような場合には、
「募集株式の引受けの申込みを証する書面」、
または、「会社法第205条の契約を証する書面」、
および「会社法第208条第1項による払込みがあったことをを証する書面」
を添付しなければなりません(商業登記法第56条第1号・第2号)が、
「その引受けを証する書面」の添付は不要です。
4.募集株式の引受人が、払込金額の全額の払込みをする債務と、
自己の会社に対する金銭債権とを相殺する旨の意思表示をした場合には、
当該募集株式の発行による変更の登記の申請書に、
当該金銭債権について記載された会計帳簿を添付しなければならない。
□正解 ×
□解説
会社法第208条第1項・第3項により、
上記のような変更登記を申請することはできません。
5.種類株式の内容の要綱を登記した場合には、
当該種類の株式を初めて発行する時までに当該株式の内容を定め、
発行する各種類の株式の内容の変更の登記を申請しなければならない。
□正解 ○
□解説
会社法第108条第2項・第3項、第911条第3項第7号、第915条第1項
を参照のこと。
★次号(2006/11/15発行予定の第92号)は、
「株式会社の役員―その1―」に関する問題です。
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3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(18)」
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★本号では、「民法(全5編/全1044条)」のうち、
「第2編 物権―第10章 抵当権―第2節 抵当権の効力&第3節 抵当権の消滅」
の概要について、ご紹介します。
※「第1節 総則」は、前号(2006/10/15発行の第90号)でご紹介しました。
http://blog.mag2.com/m/log/0000106995/107807305.html
■抵当権の効力(第2節/第373条~第395条)
□抵当権の被担保債権の範囲(第375条)
□抵当権の目的物の第三取得者の保護
1.代価弁済(第378条)
抵当不動産の第三取得者は、
抵当権者の請求に応じて、抵当権者にその代価を弁済することにより、
自身のために、抵当権を消滅させることができます。
2.抵当権消滅請求(第379条~第387条)
抵当不動産の第三取得者は、
一定の代価等を抵当権者に提供することにより、
抵当権の消滅を請求することができます。
※平成15年民法改正において、
従来の滌除(てきじょ)制度に代わり、規定されました。
3.法定地上権(第388条)
土地およびその上に存する建物が、同一の所有者に属する場合において、
その土地または建物につき抵当権が設定され、
その実行により、所有者を異にするに至ったときは、
その建物について、地上権が設定されたものとみなされます。
4.引渡しの猶予等による賃借人の保護(第387条・第395条)
※平成15年民法改正において、
従来の短期賃貸借制度に代わり、規定されました。
□「抵当権の処分方法」について、民法は、次のように規定しています。
1.転抵当(第376条第1項前段)
2.抵当権の譲渡・放棄(第376条第1項後段)
3.抵当権の順位の譲渡・放棄(同上)
4.抵当権の順位の変更(第373条・第374条)
□共同抵当とは、「同一債権の担保として、
数個の不動産の上に設定された抵当権」のことです(第392条第1項前段)。
■抵当権の消滅(第3節/第396条~第398条)
□抵当権は、「目的物の滅失、抵当権の放棄、被担保債権の弁済」、
前述の「代価弁済(第378条)、抵当権消滅請求(第379条~第387条)」
の他に、次のような場合に消滅します。
1.時効消滅(第396条)
2.抵当不動産の時効取得による消滅(第397条)
★次号(2006/11/15発行予定の第92号)では、
「第2編 物権―第10章―第4節 根抵当権」の概要について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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■「行政書士・津留信康の法務サポートblog」の最近の記事より
□平成19・20年度「国土交通省等競争参加資格審査」の申請について
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_5d41.html
□「法テラス(日本司法支援センター)」スタートから、3週間が過ぎて・・・
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/3_b665.html
□「座判(ざばん)」をご存知ですか?
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_661b.html
□「2006.10.14日向学院同窓会」に参加して・・・
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/20061014_2272.html
※読者の皆様で、日向学院OBの方がいらっしゃいましたら、
卒業年度にかかわらず、是非ご一報くださいませ。お待ちしています。
■第91号は、いかがでしたか?
次号(第92号)は、2006/11/15発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
□津留行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□行政書士・津留信康の法務サポートblog
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/
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