• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

配転命令

平成18年11月15日 第37号
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
人事のブレーン社会保険労務士レポート
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
目次

1. 配転命令

===================================

ブログもよろしくお願い致します。
人事のブレーン社会保険労務士日記」です。
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
是非見てみて下さい!

***********************************

1. 配転命令

***********************************

<1> 我が国の人事制度

我が国の人事制度は、特に幹部候補生として採用する総合職に於いて、職種や
勤務地を限定せずに雇用契約を締結し、複数の職種や勤務地を経験させてゼネ
ラリスト的人材を育成するシステムになっているケースが多い。

最近では、専門性の高い労働者育成の観点から職種限定で採用されるケースも
あるが、基本的な人事制度としては、ゼネラリストの養成を基本としている。

筆者の事務所の職員も夫の転勤で退職を余儀なくされた方が3名おり、(2名
はドイツ転勤、1名は名古屋転勤)であり、ドイツ転勤のケースでは独身者を
転勤させた場合には婚期を逃す恐れがあるから既婚者で特に子供のいない新婚
を選択したということである。

しかし、新婚の場合には妻が仕事をしているケースが多く、この点の配慮が見
られずに退職を余儀なくされたわけである。

配転命令をうけた労働者が、家族を含めて納得してもらえば問題はないが、納
得が得られない場合にはどの様な事になるのであろうか。

この点を本稿で明らかにしたい。

<2> 配転命令の根拠

(1)労働協約及び就業規則に規定が存在しない場合。

一般的に労働契約及び就業規則において会社は業務上の都合により配転を命ず
ることができる旨の規定があり、それを根拠に労働者に配転命令を出すことが
出来る。
 しかし、配転に関して就業規則労働協約に定めのない場合等にこの配転命
令の根拠が問題になってくる。
 この場合には個別の同意が必要になってくる。
しかし、学説では個別の合意が必要ではないという考え方も有力であり、この
点を見ていきたい。

(2)包括的合意説と契約

 包括的合意説は、労働契約には勤務場所、職種を包括的に使用者に委ねる合
意が含まれていると考えている立場であり、勤務地や職種を限定した場合に初
めて、配転命令が制約されるというものである。

 一方契約説は、配転命令とは労働者との合意の範囲内で許されているとされ
ている。
この場合は、労働契約に於いて、職種、勤務場所に包括的合意がなされれば包
括的合意説と同様の取扱が出来る。

 この様に、労働協約就業規則等で配転命令につき包括的な合意をすること
が配転命令のトラブルを防ぐ大前提である。

<3> 配転命令の必要性の検討

(1) 配転命令の必要性

配転命令についての判例は東亜ペイント事件(最二小判昭61.7.14 労
判477号6頁)によりその必要性が明らかにされた。

判例は、業務上に必要性が存在しない場合又は業務上の必要性が存在したとし
ても、他の不当な動機・目的をもってなされたとき若しくは労働者に通常甘受
すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合には権利濫用となるとしてい
る。

すなはち、配転について包括合意がなされていたとしても、「業務上の必要性」
が存在しなければならない。

そしてその「必要性」と配転命令により労働者に対する不利益と比較して、そ
の「不利益」が「必要性」を上回る場合には権利の濫用ですよということであ
る。

しかし、その場合の必要性については「余人をもって替えがたいという高度な
必要性ではなく、労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤
労意欲の高揚、業務運営の円滑化の為のものでよい」とされている。

当然、不当な目的や動機により配転命令を出したときが権利の濫用となること
はいうまでもない。

(2)配転命令の慣行

「余人をもって替えがたいという高度な必要性ではなく、労働力の適正配置、
業務の能率増進、労働者の能力開発、勤労意欲の高揚、業務運営の円滑化の為
のものでよい」とされているが、このためには配転が慣行として成立していな
ければならない。

この慣行の成立には改正男女雇用機会均等法の指針が参考になる。

平成19年4月1日に施行される改正男女雇用機会均等法について触れた私の
メルマガ35号を引用しておく。

以下メルマガ35号引用
コース別雇用管理における総合職の労働者の募集又は採用にあたって、
転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること

上記は間接差別にあたると指針では述べている。
間接差別については、個別具体的な事案ごとに、総合的に判断が行われるもの
となっているが、以下の例については合理的な理由がなく間接差別にあたると
されている。

イ 広域にわたり展開する支店、支社等が無く、かつ、支店、支社等を広域に
わたり展開する計画等も無い場合。

ロ 広域にわたり展開する支店、支社等はあるが、長期間にわたり、家庭の事
情その他特別な事情により本人が転勤を希望した場合を除き、転居を伴う転勤
の実態がほとんど無い場合。

ハ 広域にわたり展開する支店、支社等はあるが、異なる地域の支店、支社等
で管理者としての経験を積むこと、生産現場の業務を経験すること、地域の特
殊性を経験すること等が幹部としての能力の育成・確保に特に必要であるとは
認められず、かつ、組織運営上、転居を伴う転勤を含む人事ローテーションを
行うことが特に必要であるとは認められない場合。

この部分を心配されている経営者の方が多いが、この指針案では全面的に禁止
しているわけではなく、その必要性と実績を総合的に勘案して合理性の検討を
しましょうという無いようになっている。

自社の支店展開と人事についてもう一度考えて、対策を立てていくしかない。

以上引用

配転命令の必要性についても、不当な目的・動機とみなされないためには、頻
繁な人事異動が必要であり、仮に、人事異動や転居を伴う配転命令の慣行が無
い場合には、しっかりとした合理性のある必要な理由を明示しなければならな
いであろう。

<4> 職種・勤務地が限定された労働契約が成立している場合

(1)職種が限定された労働契約

包括合意説でも契約説でもいずれの立場であっても、勤務地や職種に限定がな
されている場合、配転命令権はその限定された範囲内で行わなければならない。

労働契約に於いて職種を限定して採用された場合には、当然職種転換には労働
者本人の合意がいる。

この限定については、書面ではなくても口頭でよい。

また、明示的ではなくても黙示的でも成立することとなり、医師、看護師、薬
剤師、弁護士等の法律専門職、公認会計士等の会計専門職等については明示的
な職種限定がなされてはいなくても、黙示的な意思表示により職種限定の合意
がなされていると考えるのが妥当であろう。

アナウンサーについて、専門的な能力を在学時代に磨き、難関のアナウンサー
試験に合格し採用され、20年近く一貫してアナウンサーとして雇用されてい
た場合には、職種が契約当初からアナウンサーに限定されていたとし、それ以
外の職種転換は拒否できるとされた裁判例もある。(日本テレビ放送網事件 
東京地決昭51.7.23 判時820号54頁)

但し、長期雇用を前提とした雇用の場合には、職種限定についても当分の間は
その職種に限定をされているが、長期間のうちに他職種への配置転換がなされ
る合意が成立しているという考えの裁判例も多いが、筆者は「長期雇用の前提
」ではなく、「専門性の高さ」が争点であると考える。

長期雇用が前提である場合には、一定期間経過後は他の職種に転換できる場合
には、転換せざる理由があるわけであり、経営環境の変化によりその専門性を
必要としなくなった場合等が考えられ、普遍的な専門性の高さという観点では、
それほどの高度性がないとみなす解釈の方がすっきりする。

(2)勤務地が限定された労働契約

職種転換同様、勤務地限定の合意がなされている場合には、勤務地の変更に関
して当該労働者の承認が必要になる。

この点については、前述の通りである。

職種転換の場合と違うのは、転居を伴う配置転換の場合、家庭の事情に配慮し
なければならないということである。

保育園に子供を預ける必要性がある労働者が、目黒区から八王子市に配転命令
を出されたケースでは、配転命令は有効とされた。

また、共稼ぎ夫婦であるために別居を余儀なくされたケースでも、配転命令を
有効としたケースもあり、個別案件にて考えていかなければならない。


===================================
※ 掲載内容の無断転載は禁止させていただきます。ご一報下さい。
※ 本メルマガの内容につきましては万全を期しておりますが、万一損害が
  発生致しましても責任を負いかねます。
※ メルマガ相互紹介募集中です。

発行者 山本経営労務事務所 (URL http://www.yamamoto-roumu.co.jp/
編集責任者 社会保険労務士 山本 法史
ご意見ご感想はこちらまで(メルマガ相互紹介、転載等お問い合わせもこちらまで)
norifumi@yamamoto-roumu.co.jp

購読中止・変更 http://www.yamamoto-roumu.co.jp/
発行システム まぐまぐ http://www.mag2.com/   ID 0000121960
===================================
             ~我々は相談業である~
        ~我々の商品はお客様への安心感の提供である~
              山本経営労務事務所
 東京都八王子市天神町8番地  tel 042-624-0175(代)
     社会保険労務士7名 有資格者3名 合計14名のスタッフで
皆様をサポート致します!!
           人事のことなら何でもお任せ下さい!
===================================

絞り込み検索!

現在23,174コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP