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退職勧奨の限度 ━━━━━━━━━━━━━━
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退職勧奨とは
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退職勧奨の限度
┏┏ ◇ 日本IBM
退職勧奨事件にみる勧奨の限度
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退職勧奨とは
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退職勧奨は
労働者の自発的な
退職意思の形成を働きかけるための説得活動であり、平たく言
えば
労働者に対して「会社を辞めてくれないか?」と
労働契約の解約を申し入れることです。
この行為自体は違法ではなく、希望
退職を募ったり、
退職金の割り増しを条件に
退職勧奨を行
う会社も多くあります。
解雇が
使用者からの一方的な
労働契約の解除であるのに対して、
退職
勧奨は
使用者の
契約解除の申し込みに対して
労働者が応じる合意
退職のことです。
しかし会社としてはできる限り、「
解雇」という形はとりたくないので、なるべく
従業員が納
得したうえで、合意形成を図りたいものです。
そして
労働者が
退職勧奨に応じて
退職した場合は、
退職に「正当な理由」があると判断され、
自己都合扱いよりも優遇される会社都合
退職となります。
応じるか否かは
労働者の自由な意思に委ねられています。
辞める気がないのであれば、勇気をもってきっぱりと「やめません」と
意思表示することが大
切です。一旦、
退職届を提出してしまうと会社側との合意
契約が成立したことになり、その契
約を後から撤回することは非常に難しくなるからです。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
退職勧奨の限度
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
しかし、
使用者としては、どうしても
退職勧奨をしなければならないケースは出てきます。
その場合に何をどこまでして良いのか、してはいけないのかを知っておく必要があります。
例えば、
退職勧奨に応じなかった場合、遠隔地への配転を命じたり、
隔離部屋に閉じこめられ、退社時間になるまで「待機」を命じるなどの嫌がらせをした場合。
これは「
退職強要」または「公序良俗違反」に値し、違法行為にあたります。
以下の点について注意が必要でしょう。
・
退職勧奨のための出頭命令をしないこと
・本人が明確に
退職を拒否している場合に特段の事情もなく勧奨を続けないこと
・
退職勧奨の回数、期間が通常必要な限度を超えないこと
・本人の自由な意思決定を妨げるような言動を与えたり、監禁などしないこと
・本人が求める立会人を認めること
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日本IBM
退職勧奨事件にみる勧奨の限度
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■日本IBM(
退職勧奨)事件(東京地裁平23.12.28判決)
判決では、
退職勧奨とは
「勧奨対象となった
労働者の⾃発的な
退職意思の形成を働きかけるための説得活動であるが、
これに応じるか否かは対象とされた
労働者の⾃由な意思に委ねられるべきものである」と定義
付けした上で、
退職勧奨の適法性の具体的判断基準として、
「
使用者は、
退職勧奨に際して、当該
労働者に対してする説得活動について、そのための手
段、方法が社会通念上相当と認められる範囲を逸脱しない限り、
使用者による正当な業務行為
としてこれを行い得る」
一方「
労働者の自発的な
退職意思を形成する本来の目的実現のために社会通念上相当と認めら
れる限度を超えて、当該
労働者に対して不当な心理的圧力を加えたり、または、その名誉感情
を不当に害するような言辞を用いたりすることによって、その自由な
退職意思の形成を妨げる
に足りる不当な行為ないし言動をすることは許されず」、かかる
退職勧奨行為は違法なものと
して
不法行為を構成するとしました。
■再検討を求めること等は、社会通念上相当な態様である限り許容される
そして、「
退職勧奨の対象となった社員がこれに消極的な意思を表明した場合であっても、・・・
直ちに、
退職勧奨のための説明ないし説得活動を終了しなければならないものではなく、会社
が当該社員に、会社に「在籍し続けた場合におけるデメリット・・・、
退職した場合におけるメリ
ット・・・について、更に具体的かつ丁寧に説明または説得活動をし、また、真摯に検討してもら
えたのかどうかのやり取りや意向聴取をし、
退職勧奨に応ずるか否かにつき再検討を求めたり、
翻意を促したりすることは、社会通念上相当と認められる範囲を逸脱した態様でなされたもの
でない限り、当然に許容される」としました。
このことは逆に言うと、
■明確な
意思表示後の再説得活動は違法
退職勧奨のための面談には応じられないことを‘はっきりと明確に表明’し、かつその旨を
‘確実に会社に認識’させた段階で、初めて、それ以降の
退職勧奨のための説明ないし説得活
動について、翻意を形成させるための手段として社会通念上相当な範囲を逸脱した違法なもの
と評価されることがありうる、ということです。
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http://www18.ocn.ne.jp/~akatukip/
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退職勧奨とは
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退職勧奨は労働者の自発的な退職意思の形成を働きかけるための説得活動であり、平たく言
えば労働者に対して「会社を辞めてくれないか?」と労働契約の解約を申し入れることです。
この行為自体は違法ではなく、希望退職を募ったり、退職金の割り増しを条件に退職勧奨を行
う会社も多くあります。解雇が使用者からの一方的な労働契約の解除であるのに対して、退職
勧奨は使用者の契約解除の申し込みに対して労働者が応じる合意退職のことです。
しかし会社としてはできる限り、「解雇」という形はとりたくないので、なるべく従業員が納
得したうえで、合意形成を図りたいものです。
そして労働者が退職勧奨に応じて退職した場合は、退職に「正当な理由」があると判断され、
自己都合扱いよりも優遇される会社都合退職となります。
応じるか否かは労働者の自由な意思に委ねられています。
辞める気がないのであれば、勇気をもってきっぱりと「やめません」と意思表示することが大
切です。一旦、退職届を提出してしまうと会社側との合意契約が成立したことになり、その契
約を後から撤回することは非常に難しくなるからです。
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退職勧奨の限度
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しかし、使用者としては、どうしても退職勧奨をしなければならないケースは出てきます。
その場合に何をどこまでして良いのか、してはいけないのかを知っておく必要があります。
例えば、
退職勧奨に応じなかった場合、遠隔地への配転を命じたり、
隔離部屋に閉じこめられ、退社時間になるまで「待機」を命じるなどの嫌がらせをした場合。
これは「退職強要」または「公序良俗違反」に値し、違法行為にあたります。
以下の点について注意が必要でしょう。
・退職勧奨のための出頭命令をしないこと
・本人が明確に退職を拒否している場合に特段の事情もなく勧奨を続けないこと
・退職勧奨の回数、期間が通常必要な限度を超えないこと
・本人の自由な意思決定を妨げるような言動を与えたり、監禁などしないこと
・本人が求める立会人を認めること
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日本IBM退職勧奨事件にみる勧奨の限度
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■日本IBM(退職勧奨)事件(東京地裁平23.12.28判決)
判決では、退職勧奨とは
「勧奨対象となった労働者の⾃発的な退職意思の形成を働きかけるための説得活動であるが、
これに応じるか否かは対象とされた労働者の⾃由な意思に委ねられるべきものである」と定義
付けした上で、
退職勧奨の適法性の具体的判断基準として、
「使用者は、退職勧奨に際して、当該労働者に対してする説得活動について、そのための手
段、方法が社会通念上相当と認められる範囲を逸脱しない限り、使用者による正当な業務行為
としてこれを行い得る」
一方「労働者の自発的な退職意思を形成する本来の目的実現のために社会通念上相当と認めら
れる限度を超えて、当該労働者に対して不当な心理的圧力を加えたり、または、その名誉感情
を不当に害するような言辞を用いたりすることによって、その自由な退職意思の形成を妨げる
に足りる不当な行為ないし言動をすることは許されず」、かかる退職勧奨行為は違法なものと
して不法行為を構成するとしました。
■再検討を求めること等は、社会通念上相当な態様である限り許容される
そして、「退職勧奨の対象となった社員がこれに消極的な意思を表明した場合であっても、・・・
直ちに、退職勧奨のための説明ないし説得活動を終了しなければならないものではなく、会社
が当該社員に、会社に「在籍し続けた場合におけるデメリット・・・、退職した場合におけるメリ
ット・・・について、更に具体的かつ丁寧に説明または説得活動をし、また、真摯に検討してもら
えたのかどうかのやり取りや意向聴取をし、退職勧奨に応ずるか否かにつき再検討を求めたり、
翻意を促したりすることは、社会通念上相当と認められる範囲を逸脱した態様でなされたもの
でない限り、当然に許容される」としました。
このことは逆に言うと、
■明確な意思表示後の再説得活動は違法
退職勧奨のための面談には応じられないことを‘はっきりと明確に表明’し、かつその旨を
‘確実に会社に認識’させた段階で、初めて、それ以降の退職勧奨のための説明ないし説得活
動について、翻意を形成させるための手段として社会通念上相当な範囲を逸脱した違法なもの
と評価されることがありうる、ということです。
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