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自動車運転死傷行為処罰法

日本には昔から「船頭多くして、船山に上る」という諺がありますが、これを「企業の成長」
という観点からみると、業暦が長く社内には「指図したい性格の人」ばかりが多い会社では、
市場競争が激しい環境下では、リーダーに強い指導力が無いと早急な意思統一に手間取り、
競争に劣後していってしまうと言われます。
その逆に、創業間もなく、社長の命令一つで一糸乱れぬ行動が出来る企業は、経営能力に
優れた社長が適切な命令を下している限り、市場競争に勝ち抜き、急速に成長して行くとも
言われます。
カリスマ経営者創業の急成長会社によくみられる姿です。そんな急成長会社も業暦を積み、
規模的にも大きくなってくると、金太郎飴みたいな社員だけでなく、色々な考え方やモノの見方
が出来る社員や、性格が違う社員がいないと、成長の限界に突き当たってしまうとよく言われます。

ワンマン社長の能力によって急成長した企業は、社員の多様性や自発性を許容する遊びの部分が
少なくなっています。だから規模が大きくなり、社長の目が全部には行き届かなくなると、
自らは主体的に動こうとせず、ただヒタスラ社長の指示を待つだけの「指示待ち社員」が
横行して自立できない組織があちこちに出来てしまうということでなんでしょう。
能力も意欲もあるワンマン社長が、会社を立ち上げ、急成長するまでは良かったけれど、
急激に大きくなった後、会社組織の未整備、内部統制の不備等により足を引っ張られ、
法律違反とか不正行為などで自滅するというケースも少なくはないのです。

 作家の童門冬二さんが執筆された「サラリーマン生態学(いきざまがく)」の中で、
大変興味深い話があります。
「Qさんは万年課長だ。今まで何度か部長昇進の機会があったが、理由があって
うまくいかなかった。しかし、人事異動期になると、Qさんは獅子奮迅の活躍をする。
自分ではなく部下の売り込みだ。そのセリフが、『オレのような無能課長を支えてきた
有能社員だ。ぜひ昇進させてやってくれ』というキマリ文句だ。
人事関係者は苦笑する。
しかし、けっこうQさんの主張は通る。
そのため、『社で出世するなら、まずQさんの部下になれ』というような冗談が半分
本気でささやかれている。
Qさんは無能ではない。逆に有能だ。ただ、正義感が強い・・・・」

 上記のような話ですが、特に現在サラリーマンの方なら、いや既に引退されている方、
退社された方等々も、「なるほど」と身に覚えのある方が多いのではないでしょうか?
 恐らく、社内では「失敗したら責任は部下のもの、成功したら手ガラは自分のもの・・・・」
というような人の方が多いのかもしれません。Qさんとは逆に「あの人の部下になるといい目に
あった人がいない」という上司も必ずいるものです。
そうした中、Qさんのような方は、今どき、非常に貴重な存在かもしれません。

Qさんのような人が社内で一目置かれるような会社は、多分柔軟で多様性のある組織でしょう。
東大を出たことを誇りに何時も他人を小馬鹿にした目で見る人や、自分の成績(手柄)ばかり
気にしている人が、はばを利かせている会社(どこかにありそうですね)は、何時かは成長の
壁にぶち当たるかもしれません。
黙々と仕事をする「縁の下の力持ち」的な社員は、組織が大きくなればなるほど貴重な
存在なのかもしれません(尤も、「縁の下の力持ち的存在」だけでサラリーマン人生を
終えるのも結構辛いものがあります (私の実感です) が・・・・・・)。

前回の「継続雇用されない場合の特例」についての話、如何でしたでしょうか。
今回は、「自動車運転死傷行為処罰法」についての話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○ 「自動車運転死傷行為処罰法」
────────────────────────────────
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下、
「自動車運転死傷行為処罰法」という)は、昨年11月に成立し、
「通行禁止道路の高速走行」やアルコールや薬物の摂取、特定の病気の影響で
「正常な運転に支障が出るおそれのある状態」で運転し人を死亡させた場合に
懲役15年以下、人を負傷させた場合に懲役12年以下とする規定が盛り込まれています。
現行刑法の「危険運転致死傷罪」の適用範囲が狭すぎるとして批判があったことを受け、
刑法から自動車事故に関連する規定を分離して成立しました。

本法制定のきっかけは、栃木県鹿沼市の運転手がてんかん発作を起こし、登校中の
小学生6人を死亡させた事故(2011年)や、京都府亀岡市の無免許運転により
小学生等計10人がはねられて3人が死亡、7人が重軽傷を負った事故(2012年)です。

本法における「特定の病気」には統合失調症や双極性障害(躁うつ病)、てんかん、
低血糖症、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害等が含まれ、運転に必要な能力を欠いて
いる場合や意識障害、運動障害を再発するおそれがある場合に適用されることとなっています。
また、「通行禁止道路の高速走行」としては、車両通行止め道路、歩行者専用道路、
自転車および歩行者専用道路、一方通行道路の逆走、高速道路の逆走等が対象です。
更に、アルコールや薬物の摂取により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で
運転したケース、アルコールや薬物の影響で死傷事故を起こした場合にその影響を
ごまかすために事後にアルコールや薬物をさらに摂取したり、現場を離れて
アルコール濃度などを減少させたりしたケースも処罰の対象となります。

企業においては、従業員に対し新法の施行について周知するだけでなく、
特定の病気に罹患している従業員の有無の確認や、該当者がいた場合の対応のほか、
就業規則、自動車通勤や社用車運転に関する社内規程等の見直し等を検討する必要
もあるでしょう。詳細は弊社にお尋ね下さい。

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