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IBM側の勝訴確定

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.326-2016.02.22
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]ローカルファイルはどのように作成するのか 産業分析
2.[税務]IBM側の勝訴確定
3.[NEWS]監査等委員会設置会社に移行1割、上場企業380社
4.[NEWS]金融法委員会 マイナス金利についての考え方の整理
5.[編集後記]

===================================
1.[税務]ローカルファイルはどのように作成するのか 産業分析
===================================
事実関係の記載が完了したら、次は国外関連取引の対象となる市場や産業の概
要について記載します。

例えば、同じ医薬品業界でも、新薬とジェネリックとでは市場環境や事業戦略
が違うわけで、自社に関連する産業分析を正しく行うことにより、移転価格の
妥当性を適正に分析することが可能になるためです。

移転価格文書に記載すべき項目として、自社製品の特徴や市場環境、競合他社
などの情報などがあげられます。但し、すべてを網羅する必要はなく、移転価
格の算定に影響を及ぼす可能性がある事項を記載するだけで構いません。有価
証券報告書を発行していない会社は、業界レポートやアナリストレポート、業
界誌、業界新聞などから記載してもいいでしょう。

具体的な項目は以下の通りです。

(1) 市場や産業の概要及び特色
(2) 自社製品の情報や事業戦略に関する情報
(3) 経営環境(競合他社、算入している市場およびシェア、主要顧客など)

記載例
(3)産業分析
1.業界概要
当社の競争環境は、カテゴリー別に圧倒的強みを要するトップ数社が市
場シェアの過半を占める。業務用加工食品は当社を含め、XX産業、XX商
事の3社で5割近くのシェアを占める。一方、コンシューマー向けの食品
は・・・(以下略)。

2.市場環境
2013年の金融緩和以降、ようやく消費マインドに改善傾向がみられ、外
食産業の業績にも改善傾向が見られるようになってきた。ELグループは
業務用の加工食品の製造販売を行っており、大手外食産業の業績改善は、
ELグループの売上増加に直結している(以下略)。

3.事業戦略
  EL社は事業を3セグメントで管理している。
A. 業務用加工食品事業
○○食品の加工販売であり、商社を経由して世界各国に流通してい
る。 
B.コンシューマー食品事業
(以下略)
 
4.競争力
ELグループの競争力の源泉は、ELが開発した個性的な商品群である。
(中略)○○の加工に特化している企業は世界的に稀有であり、独占状
態を維持している(以下略)。

企業の競争力は所得の源泉になり得るため、競合他社に対する優位性があれば、
その優位性についても記載します。

===================================
2.[税務]IBM側の勝訴確定
===================================
日本アイ・ビー・エムグループが国から受けた課税処分の取り消しを求めた訴
訟で、約1200億円の法人税課税を取り消した一、二審判決が確定しています。

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ここでご紹介すべきことはいくつかありますが、とりあえず二点だけ紹介して
おきます。

ひとつは、100%グループ法人間の株式の発行法人に対する譲渡損益の取扱い
についてです。

100%の親子関係があって、親がその保有する子会社の株式をその子会社に譲渡
した場合についてです。子会社にとってみれば自己株式の取得にあたります。
ここで子会社の資本の部の構成として資本金等は小さく、利益積立金をためこ
んでいるという前提で考えます。

(平成22年度税制改正前)
親の課税関係ですが、

「子会社に対して譲渡する株式の譲渡対価」
  マイナス
「子会社の1株当たりの資本金等の額×譲渡株数」

みなし配当として認識する一方、

「子会社に対して譲渡する株式の簿価」
 マイナス
「子会社の1株当たりの資本金等の額×譲渡株数」

を譲渡損失として認識します。

譲渡損失は損金に算入される一方で、みなし配当益金不算入になるというこ
とで、多額の損失を計上できました。

例えば、

子会社株式簿価100
譲渡対価150(資本金等に相当する部分20、利益積立金に相当する部分130)

とすると、
みなし配当 130→受取配当金益金不算入
譲渡損失  △80→損金算入
ということだったわけです。

(平成22年度税制改正後)
この扱いについて、以下のようになっています。

(1)譲渡損益は計上しない(譲渡対価=原価に相当するとされた)
(2)自己株式として取得されることを予定して取得した株式が自己株式として
取得された際にはみなし配当が生じるが、益金不算入制度を適用しない

上の例でいうと、
みなし配当 130→通常は、受取配当金益金不算入だが、親が株式を取得する前
から予定された自己株式であれば益金不算入にならない
譲渡損失   0

ということです。今はこちらの扱いになっていますが、IBMの例は平成15年か
ら17年の話なので、この改正前の話なのです。

もうひとつご紹介したいのは、法人税法第132条です。
やや端折って書きますので、ご注意ください。

「税務署長は、内国法人である同族会社等に係る法人税につき更正又は決定を
する場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人
税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その
行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る
法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。」

というものです。要は内国法人である同族会社等については、その行為又は計
算を形式ではなく実態で判断することがありますということです。
今回のIBMの件でも、この一連の行為を全体として「不当」といえるかどうか
が争点の一つだったわけです。

日本の多くの会社が同族会社にあたりますので、このような規定があることは
理解しておきましょう。

===================================
3.[NEWS]監査等委員会設置会社に移行1割、上場企業380社
===================================

「監査等委員会設置会社」に移行する上場企業が380社を超えたようです。上
場企業全体の約1割だそうです。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD19HA9_Z10C16A2DTA000/

「外国人株主になじみが深く、理解されやすい」そうですね。

これ、なぜ増えているかを押さえたいですね。

監査等委員は取締役です。監査等委員会は3名以上で組織され、その過半数は
社外取締役である必要があります。つまり最低2名社外取締役が必要です。
ただし、常勤の監査等委員を置くことは義務付けられていません。一方で、
監査等委員会設置会社監査役を置いてはならないことになっています。

監査役会設置会社の場合、会社法によりその半数以上を社外監査役とすること
及び常勤の監査役を置くことの双方が求められています。社外取締役について
会社法で義務付けられているわけではありませんが、実質的にこれを義務付
けるに等しい状況になっていますし、コーポレートガバナンスコードは少なく
とも2人の社外取締役を求めています。すなわち、監査役取締役あわせて4
名以上の社外役員を置く必要があるわけで、これをクリアすることがきつい会
社さんも多いわけです。

そうなんです。監査役会設置会社であれば社外役員が4名必要ですが、監査等
委員会設置会社であれば2名ですむ、というわけです。これが理由になってい
るように思います。

これでよいガバナンスになるのかどうか、よくわかりませんが。

===================================
4.[NEWS]金融法委員会 マイナス金利についての考え方の整理
===================================
金融法委員会というところが、「マイナス金利の導入に伴って生ずる契約解釈
上の問題に対する考え方の整理」という文書をだしています。
http://www.flb.gr.jp/jdoc/publication49-j.pdf

金融法委員会とは、「わが国の金融取引を巡るこのような状況に対処するため、
金融取引について実務経験を有する弁護士および金融取引に関する法律を専門
とする学者が1998年6月に自発的に設立した委員会」とのことです(HP(設立の
経緯)より)。

事務局の事務は日本銀行に委託されています。

いくつか抜粋すると、
変動金利連動型の金銭消費貸借及び社債についてのなかで、

「また、変動利息条項の文言解釈を別にしても、金銭消費貸借における利息は、
一般に元本利用の対価と考えられるから、その性質上、借入人が貸付人に支
払うべきものであり、貸付人が支払うべきものとは解されない。したがって、
(本来の利息とは性格の異なる)利息相当額の金銭を貸付人が借入人に支払
うべき旨の合意を認定すべき特段の事情がない限り、貸付人の支払義務は発
生しないと考えられる。この点からも、金銭消費貸借においては、適用金利
の計算結果が負の数値になった場合には、単に利息としての性格を有する金
額がなくなるに留まると解することに合理性が認められる。」

としています。それはそうですよね。借りていてお金もらえるというのはあり
えないです。その常識のなかで経済が動かないといけないように思います。

「この点、金銭消費寄託における利息も、通常は、金銭消費貸借における利息
と同様に、預金受入金融機関が預金者に支払うべきものであり、預金者が支
払うべきものとは解されない。預金約款(規定)上も、預金者からの支払は
予定されていない。したがって、寄託の対価又は預金口座を通じたサービス
の対価を預金約款に従って徴収する余地はあるにしても、市中金利がマイナ
スとなった場合に、普通預金変動金利定期預金などに適用される店頭表示
利率としてマイナスの値を定め、その絶対値を用いて計算した金額を利息
払日に預金残高から差し引くことは、預金当事者の合理的な意思解釈によれ
ば、できないと考えられる。」

こちらもまあそのとおりですよね。

ただ、デンマークなどでは実際に借入金利や預金金利がマイナスになっている
ようですし、これらの「特別な合意」などの問題がクリアされれば、日本でも
このような実務が出現してくる可能性もあるようには思います。

===================================
5.[編集後記]
===================================
今年の花粉の量は例年並みなんですかね。特別多いというわけではないようで
すが、私は今年なぜかひどいです。飛散量が多いわけでもないのに、ここまで
ひどいと花粉ではなく、風邪なのかなと疑いたくなります。ただ症状は鼻と目
だけなのでやはり花粉なのだろうとは思いますが。とりあえず薬でおさえてマ
スクしています。
そういえば、クリーニング屋さんでノニジュースの話を聞きました。ご主人が
ノニジュースを飲み続けたら治った(?治ったということなのかよくわかりませ
んが)と奥さんがおっしゃってました。調べてみると、ノニは、ポリネシアか
ら東南アジア、沖縄など、熱帯から亜熱帯の広い地域に自生し、5~8 m程に
なる常緑の灌木で、表面がゴツゴツした果実だそうで、この成分のうちのスコ
ポレチンという物質に抗炎症作用や抗ヒスタミン作用があるのだそうですね。
ただ医学的科学的に証明されているわけでもなさそうで、あくまで、俗に言わ
れているということのようですが。私は別にサジージュースというものを飲ん
でいるのでこれ以上増やすのはどうかと思いますが。。。何かご存知であれば
教えてください。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士税理士・公認内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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