• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

【事例】復職準備が整わなかった従業員

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で、末尾のようなセミナー開催等の情報発信をしております。
 さらに、令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
http://hatarakikatakaikaku.com/
 今回は、「【事例】復職準備が整わなかった従業員」についてコラムを作成しました。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
========================
【事例】復職準備が整わなかった従業員
========================
 今回は、事業所で経験した事例を提示させていただきます。

◎過去の経緯
 2010年台後半に入社後8ヶ月が経過した従業員が希望したため、産業医面談を行った。「業務上ゴールは分かるが、そこまでの過程が分からない。『自分で考えるべきこと』と『質問するべきこと』が区別できない。」との訴えであった。5分間考えても分からない場合は質問する等の具体的な対策を検討し、周囲からの支援は受けているのでやっていけそうとのことであったため、経過観察となった。
 しかし、初回面談から約1ヶ月後、会社のトイレで2時間動けなかったとのイベントがあり、起床が困難になる等、生活リズムが崩れ始めた。産業医より休業を勧奨し、休業に入った。その後、会社側の定期的な経過観察はなく、治療に専念することとなった。

◎弊社担当へ引き継ぎ後の対応 
 弊社担当へ引き継ぎを行った時点で、休業が可能な期間は3ヶ月程度であった。弊社担当は、着任の挨拶を希望する旨を本人に示し、主治医の同意が得られた場合は、面接に来るよう案内した。当初は回答なかったが、案内後3週間後に本人より連絡があり、面談につなげることができた。本人の訴えは、体調は改善し、昼間に英語の勉強を行う等、職場復帰に向けた取り組みを行っているが、出勤に関する不安は依然として強く、生活リズムも崩れているとのことであった。
 弊社担当は、課題はあるものの一定の改善が認められることから、速やかに主治医に復職準備を行うことが可能であるかの確認を行い、確認後速やかに復職プランを作成し、主治医に休業が可能な期間の提示と復職プランの内容に不適切な点がないかの確認を行った。主治医は期限について初めて知った様子であったが、特記指摘がなかったことから、復職準備を開始した。特に生活リズムの改善については指導を行った。
 2週間に1回の経過観察を行う中で一定の改善は認められたものの、体調の維持ができずに、生活リズムの不調を繰り返す状態であった。休業が可能な期間が残り1ヶ月に迫ったため、生活記録表の結果と共に、主治医に復職準備状況の報告と改善案の提示を依頼した。主治医から、症状が一進一退の状況であり、職場復帰の目処は立っていない状況である旨の情報提供をいただいた。
 その後2週間経過観察を行ったが、十分な改善を認めなかったが、主治医より就業時間を短くした勤務に挑戦することも良いのではないかとの意見が出されることとなった。弊社担当としては、就業規則の内容を本人と改めて共有し、主治医に対しても意見で示された就業場の制度はないことを情報提供し、復職準備が整っていないことから職場復帰不可の産業医意見を示した。その後、休業が可能な期間が満了したため退職となった。
 
◎考察
 本事例では、新入社員であったことから休業が可能な期間が短かく、主治医もその期間を把握していなかったことから適切な治療計画や十分な復職準備期間が確保できなかったため、期間満了退職につながりました。
 改善案としては、休業開始の時点で休業が可能な期間を主治医と共有すること、治療に支障を及ぼさない範囲で会社側からの定期的な経過観察を行うこと、休業前の面談時に十分な事実確認を行い、より具体的な支援を行うこと等が挙げられます。特に、期間の共有については、書類の共有で簡便に行えることから、その後の類似事例については直ちに実施することとしました。
 引き継ぎ後の対応としては、通常1ヶ月の間隔で行う経過観察を2週間の間隔で行ったことで、緻密な支援が行えたといえますが、通常の復職準備に比べて本人負担が増えた可能性も考えられます。
 従業員が、健康を維持増進しながら快適に働けるように、早めの適切な情報共有により、準備をするための十分な時間を確保することが重要です。

========================
働き方改革セミナー2019 ~法令に基づくメンタル疾患対策~

開催場所 八重洲 福岡銀行ビル DIAGONAL RUN TOKYO
※最寄り駅 地下鉄銀座線 京橋駅
東京都中央区八重洲2丁目8-7 福岡ビル4F

日時: 1)平成31年4月18日(木)15:00~17:00 
    2)平成31年4月26日(金)15:00~17:00 
※入場は14:50~
1)  https://peatix.com/event/620889/view
2)  https://peatix.com/event/620892/view

========================
令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/

絞り込み検索!

現在22,377コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP