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成果主義時代の衝撃

コラム 成果主義時代の衝撃

 成果主義の導入には、人材教育が必須条件と考えています。理由を今さら説明するまでもないでしょう。問題は、何を教育するかです。

 人材の流動化、情報速度の加速、仕事の専門化などによって教育の内容が少しずつ変わろうとしています。これまでのように、仕事能力は在籍する企業内でのみ通用する時代から、必要な能力のアウトラインは同一になろうとしているのです。

 そのことを表す例として、ある労働組合が職種別統一賃金を要求しました。労働組合の主旨としては、同一職種でありながら、在籍企業が違うことを理由に賃金に開きがあるのは不合理ということでしょう。この主張には少し無理があって、同一職種だから同程度賃金を保証するならば、同一職種企業同士は同程度の会社業績を上げている必要があるのですが、現実は同一職種企業では優劣が優劣がつくのが当り前で、劣勢にある企業は人件費原資が優勢の企業より少ないはずですから、仮に同数程度の人員数であれば劣勢の企業は人件費に圧迫されて経営が成り立たなくなります。在籍する会社がなくなってしまえば賃金はおろか雇用すら確保できないわけです。労働組合の主張としてはその点で少し無理があるわけです。

 それともう一つ。この主張の面白いところは、職種別賃金にするということは、同一職種同一能力の要求につながるということです。異企業間で賃金格差が認められてきた理由のひとつが、企業間での社員の能力差の存在です。これは、企業内での必要能力は企業ごとに違うので比較できないという意味ですが、賃金は能力に応じて支払われると考える、能力主義の理屈からすれば支払賃金が同一であれば求める能力が同一でないと困るのです。そこでこれに対応するためには、同一職種同一教育内容同一教育レベルとなるのです。つまり、企業内教育が単に社内レベルの応じた教育から、企業外も含めた職種ごと教育が必要になるのです。職種別教育を行うためには統一能力基準が必要になるのですが、今のところそれを完全に満たしているものがありません。敢えてあげるとすれば、中央職業能力開発協会の職業能力評価基準になるのですが、これもまだ完成ではありません。

 今後職種別統一能力基準が整備されてくることになるでしょう。そうなれば、教育内容は変わります。人材の企業間移動も今よりはスムーズになるでしょう。その時には、本当の意味での仕事と仕事能力と仕事業績に対する給与になるでしょう。

 「わが輩はぜんまい仕掛のトリケラトプス」(文芸社 1,575円 黒川勇二著)を読みました。仕事に対する心構えを物語風にまとめた本です。若い方にぜひ読んでいただきたい作品です。

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発行責任者 人事戦略研究所 代表 吉田幸司
koujiyosida@mac.com
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