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競業避止の基本的な考え方

平成20年8月15日 第58号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次

1. 競業避止の基本的な考え方

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ブログもよろしくお願い致します。
人事のブレーン社会保険労務士日記」です。
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是非見てみて下さい!

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1.競業避止の基本的な考え方

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<1> はじめに

今回は競業避止の基本的な考え方を整理したい。
在職中に会社に対して背信的行為をすることは禁止されている。
これは就業規則に明記しているか否かにかかわらず、労働契約から発生する信
義則上当然に労働者が義務を負っているものである。

では退職後の取扱はどうであろうか。

<2> 競業避止

(1)在職中の活動

 在職中は職務専念義務があり、機密保持義務も課されている。
私が担当した事件で、在職中に他社に業務をまわしてリベートを取るという事
案があった。
 これについては労働基準監督署長から解雇予告手当除外認定が認められた。

また在職中に知り得た情報を同業他社にまわすことも同様であろう。

では在職中に知り得た情報を利用して他社に就職したり、独立したりする場合
はどうであろう。

これもそれにより発生した損害賠償を請求することは出来る可能性が強い。

この様な例は極端であったとしても、どの様な場合に競業避止として禁止され
るのであろうか。

(2)競業避止が認められる場合の概要

憲法上の職業選択の自由により無制限に許されるものではない。

判例では以下の通りになっている。

まず「一般に労働者は、労働契約が終了すれば、職業選択の自由として競業行
為が行える」事を前提とし、「使用者の営業上の秘密や顧客の維持・確保など
を目的として競合避止義務を定める特約も、それが合理的範囲内であれば有効
である。」と裁判所は示してある。

ではこの合理的内容とは何か。

この「合理的範囲を確定するにあたっては、制限期間、場所的範囲、制限の対
象となる職種の範囲、代償の有無等について、以下の三点から検討する」とさ
れた裁判例がある。
・会社の利益・・・機密の保護
労働者の不利益・・・転職、再就職の不自由
・社会的利害・・・独占集中の恐れ、それに伴う一般消費者利害

概ねこの考え方で問題ないように思う。

東京リーガルマインド事件(東京地平成7。10.16 労判690号75頁
)では「労働者が営業の秘密にかかわるなど、労働者の職務内容が使用者の保
護に値する秘密にかかわるものである為、使用者労働者労働契約関係に、
労働者が職務遂行上知った使用者の秘密を労働契約終了後も漏洩しないという
信頼関係が内在し、労働者退職後も競業避止義務を課さなければ会社の権利
が侵害されるという場合において、必要かつ相当な限度で競業避止を課すこと
が出来る。」とされた。
筆者は「信頼関係の内在」こそが本質であると考える。

(3)労使紛争としての競業避止

競業避止についても労働者のとの信頼関係がないから明文化しているのであり、
信頼関係が永遠に続くのであれば問題になることではない。

筆者は「問題社員の対処法」をテーマに講演を多数行っているが、そこで話す
のは労使紛争とは結局「感情的対立をベースにした法的紛争である」と述べて
いる。

独立を前提に雇用契約をしていれば会社としては想定の範囲内であり、防御措
置も事前にとれる。
しかし独立を前提としていない故に競業避止が問題となるのである。
何故労働者が独立するのか。離職するのか。
筆者も社会保険労務士事務所を営むものとして常に考えておかなければならず、
この件は法的な問題というよりは、労務管理の問題として考えている。

独立や退職をスムーズに行う為には労働者とのコミュニケーションは欠かせな
い。
例外もあるが、そもそもの感情的な対立の発端とは気づかないものである。
しかし、独立を進めている場合や転職先を見つけてしまった場合には打つ手が
ない。

法的にも転職や独立の差し止めには職業選択の自由との問題で慎重である。

実際は背信的な独立や退職をされた場合でも、損害賠償の請求が精一杯である。

結局は競業避止の問題は「経営者としての資質」が問われる問題であり、これ
を機にどの様に風通しの良い組織に変えていくかという問題である。
(4)代替措置の重要性

労働法とは手続き法でもある。
よって競業避止義務を課す場合には、相当の退職金や在職中に機密保持手当を
支給する等の措置を裁判所は重視する。
この機密保持手当が月額4000円では足りないとされた裁判例もある。

<3>まとめ

独立や転職をされたら困る労働者にはしっかりと日常からコミュニケーション
を行い、風通しの良い組織をつくることが最高の防御策である。
筆者の経験からこの事を強調して終わりたい。


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