━━☆━━━━━━━━━━━━━ 年休買い上げの可否 ━━━━━━━━━━━━━━━
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年次有給休暇(年休)の意義
┏┏ ◇ 年休の取得率
┏┏ ◇ 買い上げの法解釈
┏┏ ◇ 買い上げにより起こる問題もある
┏┏┏
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年次有給休暇(年休)の意義
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
年休は本来は
労働者が労働から解放されて休養し、リフレッシュを経て仕事に復帰するための
もので、お金で買い上げるということは予定されていません。
実際、欧米、特にドイツなどヨーロッパの国々では、年休は完全消化するのが当たり前であっ
て、日本のように未消化の年休が残るということ自体があり得ないことと認識されています。
ところが日本では諸般の事情や各企業風土・慣例などから、年休を完全消化することがまれで
あるばかりか、休暇を取ることより収入の増額のほうにインセンティブが働くため、年休の買
い上げ云々という事態が起こるのです。
年休の意義は、リフレッシュと労働力の維持培養を図るためですが、そもそもその根拠は憲法
25条の生存権保障であり、それを具体化するために憲法27条2項に基づき
労働基準法が制定さ
れ、人たるに値する生活を営むに必要な最低限度の
労働条件の一つとされているのです。
労働者が年休を請求してきた場合、それを阻止する必要があると考える
使用者が取り得る方法
としては、労基法39条4項の時期変更権の行使があります。
しかしこれは客観的に「事業の正常な運営を妨げる事由」がある場合に、単に「年休は認めな
い」というのではなく他の時季に取ることを条件に許されることであって、単に忙しいといっ
た程度の理由では、年休の取得時季を変えることはできないとされています。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
年休の取得率
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
厚生労働省の「平成20年就労条件総合調査」(平成20年10月発表)によると、年休については
企業が付与した日数が
労働者1人平均で17.6日だったのに対し、そのうち実際に
労働者が取得
した日数は8.2日で、取得率は46.7%でした。そして近年は付与日数、取得率ともに大きな変化
は見られていません。
付与年度内に行使されなかった年休の取得権は次年度に繰り越すことが認められていますが、
実際には2年の
時効によって失効しているのが実態であり、その解決策の一つとして年休の買
い上げが労使間で検討されるようになったのです。
平成19年12月に政府が決定した「仕事と生活の調和推進のための行動指針」には、2017年まで
に年休を完全取得する目標が含まれていますが、年休の取得が進まない現状では、取得促進策
に加え各種
特別休暇制度との関連づけなど、幅広い取り組みが必要でしょう。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
買い上げの法解釈
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
労基法39条1項は「継続し、または分割した、…
有給休暇を与えなければならない」と規定し、労働義務が消滅する日の確保を命じています。
この規定からすれば、買い上げでは年休を与えたことにはならず、事前の買い上げの予約をし
これに基づいて法39条の規定する休暇の日数を減らし、あるいは与えないことは違法行為とな
ります。
しかし他方で本条は
年休付与後の取り扱いについては規定していないので、結果的に取得され
なかった年休について買い上げをすることは許されると解されています。つまり、2年の
時効
あるいは
退職によって、権利が消滅するような場合に、残日数に応じて調整的に金銭の給付を
行うことは、事前の買い上げと異なるもので39条違反とはならない取り扱いである、というこ
とになります。
また、法定日数を超えて付与された年休をを上回る日数分について買い上げを行ってもそれは
労基法上の年休の取り扱いの問題では無く、
労働契約上合意された休暇の処理の問題ですから
労働者がこれに同意していれば法的に問題は発生しません。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
買い上げにより起こる問題もある
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
ご一緒に考えてみましょう。
【例】ある商社の場合
『年休取得率を目指す労組の要求により、年休失効時に1日に付き
賃金日額の100%で買い
戻す制度を導入した。
同時に全管理職に対し、部下に年休を完全取得させるよう指示。
ところが多くの組合員は、取得より買い上げによる
現金収入のほうを好んだため、却っ
て取得率が下がってしまった。
そこで会社としては本来の趣旨に逆行している買い上げ制度の廃止を労組に提案した
が、労組としては組合員からの継続要望が強いため、苦慮している。
会社は一方的に制度を廃止することができるか。』
さてどうでしょう。
買い上げについては上述のように、年休が失効してしまう前に買い上げという形で対応するこ
とは必ずしも違法ではありません。
しかし会社が一方的に、となると
不利益変更の問題も絡んできます。ですがこの場合、買い上
げしないことが即
労働者の不利益に繋がるか、といえばあくまで年休取得の促進を会社は進め
たいわけですから、不利益ともいえないのではないかと思います。
ただし、年休が完全に取得できるという客観的な見通しが立たない状態で制度のみを廃止する
こと、これはやはり
不利益変更に当たる可能性もありますね。
段階的な制度廃止へ向けての協議継続、または買い上げ日数に制限をかける、などの妥協点を
見出すことが必要となってくるでしょうね。
確かに
従業員側からすれば
不利益変更に当たるのではないか、との問題はありますがしかし、
年休の意義から考え直しますと、やはり休むことが本来の目的です。
法の趣旨や
従業員の
モラールの向上を考慮しますと、著しい
不利益変更にはならないので、労
働条件の
不利益変更の場合に要求される合理性もほぼクリアしそうです。
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┛┃┏━┳━┛ ̄ ̄ ̄ ┃ 社労・暁(あかつき) ┃
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http://www18.ocn.ne.jp/~akatukip/
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┏┏ ◇ 買い上げにより起こる問題もある
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年次有給休暇(年休)の意義
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年休は本来は労働者が労働から解放されて休養し、リフレッシュを経て仕事に復帰するための
もので、お金で買い上げるということは予定されていません。
実際、欧米、特にドイツなどヨーロッパの国々では、年休は完全消化するのが当たり前であっ
て、日本のように未消化の年休が残るということ自体があり得ないことと認識されています。
ところが日本では諸般の事情や各企業風土・慣例などから、年休を完全消化することがまれで
あるばかりか、休暇を取ることより収入の増額のほうにインセンティブが働くため、年休の買
い上げ云々という事態が起こるのです。
年休の意義は、リフレッシュと労働力の維持培養を図るためですが、そもそもその根拠は憲法
25条の生存権保障であり、それを具体化するために憲法27条2項に基づき労働基準法が制定さ
れ、人たるに値する生活を営むに必要な最低限度の労働条件の一つとされているのです。
労働者が年休を請求してきた場合、それを阻止する必要があると考える使用者が取り得る方法
としては、労基法39条4項の時期変更権の行使があります。
しかしこれは客観的に「事業の正常な運営を妨げる事由」がある場合に、単に「年休は認めな
い」というのではなく他の時季に取ることを条件に許されることであって、単に忙しいといっ
た程度の理由では、年休の取得時季を変えることはできないとされています。
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年休の取得率
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厚生労働省の「平成20年就労条件総合調査」(平成20年10月発表)によると、年休については
企業が付与した日数が労働者1人平均で17.6日だったのに対し、そのうち実際に労働者が取得
した日数は8.2日で、取得率は46.7%でした。そして近年は付与日数、取得率ともに大きな変化
は見られていません。
付与年度内に行使されなかった年休の取得権は次年度に繰り越すことが認められていますが、
実際には2年の時効によって失効しているのが実態であり、その解決策の一つとして年休の買
い上げが労使間で検討されるようになったのです。
平成19年12月に政府が決定した「仕事と生活の調和推進のための行動指針」には、2017年まで
に年休を完全取得する目標が含まれていますが、年休の取得が進まない現状では、取得促進策
に加え各種特別休暇制度との関連づけなど、幅広い取り組みが必要でしょう。
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買い上げの法解釈
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労基法39条1項は「継続し、または分割した、…有給休暇を与えなければならない」と規定し、労働義務が消滅する日の確保を命じています。
この規定からすれば、買い上げでは年休を与えたことにはならず、事前の買い上げの予約をし
これに基づいて法39条の規定する休暇の日数を減らし、あるいは与えないことは違法行為とな
ります。
しかし他方で本条は年休付与後の取り扱いについては規定していないので、結果的に取得され
なかった年休について買い上げをすることは許されると解されています。つまり、2年の時効
あるいは退職によって、権利が消滅するような場合に、残日数に応じて調整的に金銭の給付を
行うことは、事前の買い上げと異なるもので39条違反とはならない取り扱いである、というこ
とになります。
また、法定日数を超えて付与された年休をを上回る日数分について買い上げを行ってもそれは
労基法上の年休の取り扱いの問題では無く、労働契約上合意された休暇の処理の問題ですから
労働者がこれに同意していれば法的に問題は発生しません。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
買い上げにより起こる問題もある
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
ご一緒に考えてみましょう。
【例】ある商社の場合
『年休取得率を目指す労組の要求により、年休失効時に1日に付き賃金日額の100%で買い
戻す制度を導入した。
同時に全管理職に対し、部下に年休を完全取得させるよう指示。
ところが多くの組合員は、取得より買い上げによる現金収入のほうを好んだため、却っ
て取得率が下がってしまった。
そこで会社としては本来の趣旨に逆行している買い上げ制度の廃止を労組に提案した
が、労組としては組合員からの継続要望が強いため、苦慮している。
会社は一方的に制度を廃止することができるか。』
さてどうでしょう。
買い上げについては上述のように、年休が失効してしまう前に買い上げという形で対応するこ
とは必ずしも違法ではありません。
しかし会社が一方的に、となると不利益変更の問題も絡んできます。ですがこの場合、買い上
げしないことが即労働者の不利益に繋がるか、といえばあくまで年休取得の促進を会社は進め
たいわけですから、不利益ともいえないのではないかと思います。
ただし、年休が完全に取得できるという客観的な見通しが立たない状態で制度のみを廃止する
こと、これはやはり不利益変更に当たる可能性もありますね。
段階的な制度廃止へ向けての協議継続、または買い上げ日数に制限をかける、などの妥協点を
見出すことが必要となってくるでしょうね。
確かに従業員側からすれば不利益変更に当たるのではないか、との問題はありますがしかし、
年休の意義から考え直しますと、やはり休むことが本来の目的です。
法の趣旨や従業員のモラールの向上を考慮しますと、著しい不利益変更にはならないので、労
働条件の不利益変更の場合に要求される合理性もほぼクリアしそうです。
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