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遅刻3回で1日分の賃金を減額

◆事例:遅刻3回で1日分の賃金を減額

 当社の就業規則賃金規程)には一ヶ月の間に30分以上の遅刻が3回あると
1日分の賃金を減額するとの定めがあり、そのとおり取り扱っています。
従業員の間から、厳し過ぎるという意見が出ていますが、何か問題があるので
しょうか。

◇回答----------------------------------------------------------------
 遅刻して就業しなかった時間に対する賃金不支給は当然のことですが、その
時間数を超えて減額する場合は、制裁の取扱いとなります。その場合でも1日
賃金の半額を超える減額は許されません。
 
■解説----------------------------------------------------------------
 遅刻、早退、欠勤に対して労働のなかった時間に相当する賃金だけを差し引
くことは、ノーワーク・ノーペイ賃金制度における計算の結果であり、当然
のことといえます。しかし、この時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみ
なされます。

 減給の制裁とは、規律違反に対する制裁措置として、本来なら労働者が受け
るべき賃金から一定額を差し引くことをいい、基準法第91条の規定が適用さ
れます。

 この事例では30分の遅刻3回で1日分減額ということなので、最下限では合
計1時間30分の遅刻で1日分の賃金を差し引くこととなります。遅刻を防止さ
せるという政策的な意味もあるので、減額すること自体はやむを得ないにせよ、
基準法に沿った運用が不可欠となります。

 基準法の減給の規定は「1回の額は平均賃金の1日分の半額まで、総額は一
賃金支払期における賃金総額の1割まで」となっています。
 事例の場合、減額する額はこの範囲に収めなければなりません。

 ここで「1回の額」と「総額」が問題となりますが、事例では3回の遅刻で
初めて減額することとしているため、3回の遅刻をワンセットで1回の制裁対
象になると考えられます。従って、1日の半額までの減額までしか認められな
いこととなります。
 また、一ヶ月の内に何度も遅刻をし、制裁回数が複数回となる場合でも、減
給の総額は一賃金支払期(ここでは1ヶ月)の賃金総額の1割までとなります。
 もし、これを超えてしまうような場合には、超える部分の減給は翌月に繰延
べなければなりません。

 これに関連して、30分未満の遅刻を30分に切り上げて減給するケースも多く
見られますが、同様に制裁の規定の適用を受けます。
 また、毎月の賃金でなく賞与から差し引くこともありますが、賞与賃金
ので減給総額は、やはり1割以下としなければなりません。

 もちろん、これら減給の定めは必ず就業規則に規定しておかねばなりません。
従業員10人未満で、就業規則の作成義務のない事業場でも、制裁を行う場合は
規定化が必要です。
 なお、規定すべき場所は、賃金規程も就業規則の一規程ではありますが、極
力、就業規則本則に「制裁」の章を設け、その中で制裁であることを明示する
方が適切ですし、効果的でもあります。
 
 このように、不就労時間に対応する時間を超える減給制裁には多くの制約が
かけられています。
 規定の仕方としては、事例のように遅刻3回で1日分とせず、遅刻1回につ
き何時間分のように、1回の事案を小刻みにした方が法令上はクリアしやすい
でしょう。
 また、資格給や評価制度の整備状況次第では、昇給停止や降格、評価ダウン
による対応の可能性もあります。


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