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労働組合からの一方的な協定破棄

◆事例:労働組合からの一方的な協定破棄

 当社の労組とトラブルが発生したことをきっかけに、労組から今後は時間外
労働を拒否する旨通告を受けました。36協定の有効期間はまだ残っているの
ですが、一方的に破棄できるのでしょうか。

◇回答----------------------------------------------------------------
 原則として、期間の定めのある協定は一方的に破棄することはできません。
但し、協定に破棄条項があるとき、または協定の存続に重大な影響を及ぼすよ
うな事情がある場合は可能です。

■解説----------------------------------------------------------------
  協定の有効期間中に協定を破棄できるかということですが、期間の定めの
ある契約は、一方的に解除できないというのが法理とされています。

 従って、労組、会社いずれからも一方的に協定を破棄することはできません。
 解釈例規に「法第36条の協定により時間外労働休日労働を行っている事業
場において、協定の有効期間内に労働者又は使用者より一方的に協定破棄の申
入れがあり、他方がこれに応じなくとも協定の効力には影響ない」としたもの
があります。

 ここで一方的とは、相手の承諾無くしてということであり、協定当事者の一
方が解除を申し出て、相手方がこれを承認することまで妨げるものではありま
せん。
 しかしながら、相手が承認しないと如何なる場合も破棄できないというわけ
でもありません。一方的に破棄できる要件として考えられるのは、36協定の違
反行為があった場合や協定締結時に想定できなかったほどの事情の変更があっ
た場合があります。

 なお、協定の中に破棄条項がある場合は、それの定める手続により解約は可
能となります。

 実際、協定破棄の通告は労組からなされるのがほとんどです。特に、協定を
上回った時間外労働があった場合、強い組合は必ずといって良いほど通告をし
てくるようです。

 36協定は、労働者の団体(労組等)が同意した範囲において時間外や休日
働させても、会社は刑事上の責任を問わないとされるため、この協定の枠を超
えて時間外労働等をさせることは違法となってしまいます。

 このような場合は、36協定の前提となる相互信頼を揺るがすこととなるため、
労組からの一方的な破棄も飲まざるを得ないと思われます。

 また、個別案件で労組と揉めた時や賃金闘争の一環として、一方的な破棄通
告をしてくることがありますが、この場合の破棄は認められないこととなりま
す。特に賃金闘争の過程で労組の要求を通すための破棄通告は、争議行為とみ
なされる可能性があります。

 なお、36協定は「書面による協定」と「行政官庁に届け出」が効力発生の要
件とされています。就業規則の届出の場合と異なり、監督署へ届出をしないと
違法とされトラブルの種となるので充分な注意が必要です。


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