◆事例:
契約社員の雇い止め
1年毎に更新をしてきた
契約社員がおりますが、合理化の一環として今回で
契約を終了させようと思います。本人は、過去数回にわたり
契約更新してきた
のだからと言って拒否しています。期間満了として取り扱うことはできないの
でしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
一般的に、反復更新を重ねてきた期間
雇用契約を終了させる場合は、通常の
従業員同様に解雇の考え方が適用されます。今回の
契約終了について合理的理
由や必要性が認められない場合は解雇権の濫用とされる恐れがあります。
■解説----------------------------------------------------------------
臨時やパート、嘱託に加え、最近は
契約社員と称して、一定期間毎に
契約を
更改して
雇用するケースが増えてきました。この背景には、期間の定めがあれ
ば
使用者としてはいつでも雇い止めとして期限到来時に
契約を終了させられる
との思いがあり、
雇用の調整弁として活用しようと考えられているようです。
しかしながら、
契約が反復更新されている場合は簡単に
契約ストップという
わけにはいきません。
使用者と
従業員間の期待や過去の更改回数、職務内容等
を総合的に見て、実態が他の通常の社員とあまり変わらないような場合は、い
わゆる解雇の考え方が適用され、厳しい要件がつくこととなります。
特に、反復更改された
従業員については、実質的には期間の定めのない常用
労働者と同様と考えられ、その回数については多くの判例があります。何回と
いう決まったラインはありませんが、
雇用のトータル期間でみると3年~5年
程度がボーダーラインのようです。さらには、なぜ期間
契約としたかを問われ
る場合もあります。常用と期間
契約を分けて
採用する明確な基準がない場合は、
契約社員に長期
雇用の期待が生じてもやむを得ないことと考えられます。また、
採用手続き、職務、
労働条件の面における格差の有無も問題とされることがあ
ります。
これらがクリアできない
契約社員を雇い止めするには、
整理解雇と同じ要件
が必要となります。これには4つの条件があり、
1 人員削減の必要性
2 解雇回避の努力
3 解雇する者の選択の妥当性
4 手続きの妥当性
となっています。詳細は種々のWeb情報に譲りますが、いずれにせよかな
り厳格な基準を要求されます。
実態上は「期間満了だよ」、「わかりました」で済んでいるケースも多いで
すが、全ての
契約社員が円満に辞めてくれるとも思えません。
このようなトラブル予防策としては、一つには更改回数を少なくすることが
考えられます。もちろん1回ポッキリなら問題はありませんが、せいぜい更新
は2回程度までとし、最終の更改時には「今回で終了する」旨の
特約をつけて
おくことが必要です。その後
雇用する必要があるなら再度応募してもらってか
ら
採用すべきです。当然、ある程度の期間が空くこととなります。
さらには、
雇用継続に対する期待を持たれないようにすることも大切です。
漫然と更改するのでなく、
契約期間終了時に職務遂行能力や業績をチェックし、
これに応じた新たな
労働条件を提示し、合意した者のみ更改することも必要で
す。姑息な方法ですが、職務においても社員とは一線を画し、長期目標を与え
ることはせず、手当等の待遇面でも格差をつけておくことも必要となります。
最近のトレンドとしては、コア業務を社員が、ルーチンワークを
契約社員が
それぞれ分担するようになっていますが、この場合でも業務や責任の範囲を明
確に区分しておかねばなりません。
契約社員とする場合は、なぜ
契約社員なのか、その必要性を充分に検討して
から行うべきです。先に述べたような「いつでも辞めさせる」という考えでい
ると、後でトラブルを招きます。
よく求人誌で「
契約社員募集! 将来は幹部への途も」なんてのがあります
が、大丈夫かな?
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◆事例:契約社員の雇い止め
1年毎に更新をしてきた契約社員がおりますが、合理化の一環として今回で
契約を終了させようと思います。本人は、過去数回にわたり契約更新してきた
のだからと言って拒否しています。期間満了として取り扱うことはできないの
でしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
一般的に、反復更新を重ねてきた期間雇用契約を終了させる場合は、通常の
従業員同様に解雇の考え方が適用されます。今回の契約終了について合理的理
由や必要性が認められない場合は解雇権の濫用とされる恐れがあります。
■解説----------------------------------------------------------------
臨時やパート、嘱託に加え、最近は契約社員と称して、一定期間毎に契約を
更改して雇用するケースが増えてきました。この背景には、期間の定めがあれ
ば使用者としてはいつでも雇い止めとして期限到来時に契約を終了させられる
との思いがあり、雇用の調整弁として活用しようと考えられているようです。
しかしながら、契約が反復更新されている場合は簡単に契約ストップという
わけにはいきません。使用者と従業員間の期待や過去の更改回数、職務内容等
を総合的に見て、実態が他の通常の社員とあまり変わらないような場合は、い
わゆる解雇の考え方が適用され、厳しい要件がつくこととなります。
特に、反復更改された従業員については、実質的には期間の定めのない常用
労働者と同様と考えられ、その回数については多くの判例があります。何回と
いう決まったラインはありませんが、雇用のトータル期間でみると3年~5年
程度がボーダーラインのようです。さらには、なぜ期間契約としたかを問われ
る場合もあります。常用と期間契約を分けて採用する明確な基準がない場合は、
契約社員に長期雇用の期待が生じてもやむを得ないことと考えられます。また、
採用手続き、職務、労働条件の面における格差の有無も問題とされることがあ
ります。
これらがクリアできない契約社員を雇い止めするには、整理解雇と同じ要件
が必要となります。これには4つの条件があり、
1 人員削減の必要性
2 解雇回避の努力
3 解雇する者の選択の妥当性
4 手続きの妥当性
となっています。詳細は種々のWeb情報に譲りますが、いずれにせよかな
り厳格な基準を要求されます。
実態上は「期間満了だよ」、「わかりました」で済んでいるケースも多いで
すが、全ての契約社員が円満に辞めてくれるとも思えません。
このようなトラブル予防策としては、一つには更改回数を少なくすることが
考えられます。もちろん1回ポッキリなら問題はありませんが、せいぜい更新
は2回程度までとし、最終の更改時には「今回で終了する」旨の特約をつけて
おくことが必要です。その後雇用する必要があるなら再度応募してもらってか
ら採用すべきです。当然、ある程度の期間が空くこととなります。
さらには、雇用継続に対する期待を持たれないようにすることも大切です。
漫然と更改するのでなく、契約期間終了時に職務遂行能力や業績をチェックし、
これに応じた新たな労働条件を提示し、合意した者のみ更改することも必要で
す。姑息な方法ですが、職務においても社員とは一線を画し、長期目標を与え
ることはせず、手当等の待遇面でも格差をつけておくことも必要となります。
最近のトレンドとしては、コア業務を社員が、ルーチンワークを契約社員が
それぞれ分担するようになっていますが、この場合でも業務や責任の範囲を明
確に区分しておかねばなりません。
契約社員とする場合は、なぜ契約社員なのか、その必要性を充分に検討して
から行うべきです。先に述べたような「いつでも辞めさせる」という考えでい
ると、後でトラブルを招きます。
よく求人誌で「契約社員募集! 将来は幹部への途も」なんてのがあります
が、大丈夫かな?
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