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実質的に休めない休憩時間

◆事例:実質的に休めない休憩時間

 弊社は小売業で、休憩は1時間の枠で各自適宜取らせています。なお、急に
来客が増えた時には休憩を中断して接客してもらい、その後残り時間を分割し
て取らせています。
 ところが従業員から落ち着いて休息できないとの声が出ています。中断があ
っても合計1時間は与えているので、特に問題はないと思うのですが。

◇回答----------------------------------------------------------------
 即時に業務に戻らなければならない状態での休憩は、労働から離れることが
保障されていないため、本来の休憩時間と言えません。これは電話番や荷物待
ちの作業でも同様です。
 なお、休憩時間の分割については特に制限がありませんので、午前や午後等
毎に余裕のある時間帯を指定することも可能です。もちろんその時間は自由に
使えるようにしておかねばなりません。

■解説----------------------------------------------------------------

 使用者は、労働者に対して労働時間の長さに応じた休憩時間を与えなければ
なりません。その趣旨は、ある程度労働時間が継続した場合に蓄積される労働
者の心身の疲労を回復させるためであり、このためには労働時間の途中に休憩
時間を与えることが必要です。
 なお、これは育児時間とは異なり、労働時間の始めまたは終わりに接して与
えることはできません。
 
 また、休憩時間とは、単に作業に従事しない手待時間は含まず、労働者が権
利として労働から離れることを保障されている時間を言います(S22.9.13発基
第17号)。
 手待時間とは、現実に作業はしていないが、使用者からいつ就労の要求があ
るかも知れない状態で待機している状態の時間をいいます。この時間は、就労
しないことが保障されていないので休憩時間とはされず、労働時間として取り
扱われます。

 また、権利として労働から離れることを保障されているとの判断は、使用者
からの指揮命令配下から解放され、かつ労働者がその時間を自由に利用できる
性質の時間であるかどうかによります。

 事例では、来客次第でいつでも休憩を中断しなければならないことから手待
時間となる可能性が強いです。
 また、よく見かける例として、休憩時間中に作業報告を書かせるようなこと
も自由利用が保障されないため、少なくとも書類作成に要した時間は労働時間
となります。

 これら手待時間等は労働時間とされますので、賃金支払いの義務が発生しま
す。これを含めた合計労働時間が法定時間を超える場合は、割増賃金の支払い
義務も生じます。

 完全ではありませんが複数の休憩者がいるなら「休憩時間のうち最初の30分
は来客対応させない」ような取り扱いで対応することも考えられます。基準法
対応よりも従業員が安心して休憩できるための対策ですが、不満の緩和にはな
るはずです。

 なお、休憩時間の分割については特に法律上の制約はありません。午前や午
後の特定の時間帯に閑散な時があれば、この時間に多くの従業員休憩させ、
その他の時間の休憩者を少なくすることは問題ありません。
 但し、極端なコマ切れ分割は、疲労の回復どころか、かえって疲れたり、切
り替え時間のロスにもつながります。第一、不満のタネになるので常識的な範
囲で行うべきです。


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