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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第151号/2009/11/16>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(95)」
4.編集後記
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1.はじめに
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こんにちは。行政書士の津留信康です。
先日、“平成21年度行政書士試験(※)”が実施されましたが、
受験生の皆様の手ごたえはいかがだったでしょうか?
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-246a.html
早くも?次回に向けて準備を始めている方、
来年度初めて受験を予定している方など、
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※)
http://m-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/22-fe71.html
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
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2.「会社法務編─中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(95)」
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★本稿では、「平成21年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
“会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
第6回は、「株式会社の役員の変更の登記」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■株式会社(委員会設置会社を除く)の役員に係る変更の登記
に関する次の記述のうち、正しいものはどれか(午後─第30問)。
1.会計参与を1人置く旨の定款の定めがある株式会社の会計参与が
辞任をした場合においては、
新たに選任された会計参与(一時会計参与の職務を行うべき者も含む)が
就任していないときであっても、当該辞任による変更の登記は受理される。
□正解: ×
□解説
役員(=取締役、会計参与および監査役/会社法329条1項括弧書)
が欠けた場合または
この法律もしくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、
任期の満了または辞任により退任した役員は、
新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む)
が就任するまで、なお役員としての権利義務を有します(同法346条1項)。
そして、判例(※最判昭和43年12月24日)は、
「株式会社の取締役または監査役の任期満了または辞任による退任により、
法律または定款に定める取締役または監査役の員数を欠くに至った場合
においては、右退任による変更登記は、
あらたに選任された取締役または監査役の就職するまで許されない」
と判示しています。
よって、本肢のような場合において、
当該辞任による変更の登記は受理されません。
※)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=27539&hanreiKbn=01
2.株式会社の社外監査役が負う責任の限度に関する契約
についての定款の定めの登記がされている場合において、
社外監査役の全員が当該株式会社の使用人となったときは、
監査役の辞任による変更の登記の申請および定款の定めの登記の抹消
の申請をしなければならない。
□正解: ×
□解説
監査役は、株式会社もしくはその子会社の取締役もしくは支配人その他の使用人
または当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)
もしくは執行役を兼ねることができません(会社法335条2項)。
よって、本肢の場合(同法427条1項、911条3項24号・26号)において、
社外監査役の全員が当該株式会社の使用人となったときは、
監査役の辞任による変更の登記の申請をしなければなりませんが、
定款の定めはなお有効であるため、
定款の定めの登記の抹消の申請する必要はありません。
3.監査役を1人置く旨の定款の定めがある株式会社が、
その発行する全部の株式の内容として、
譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨
の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合において、
当該定款の変更の効力が生じた時に在任していた監査役
とは別の監査役が就任したときは、
当該定款の変更の効力が生じた時に在任していた監査役について、
退任による変更の登記の申請をすることを要しない。
□正解: ×
□解説
監査役の任期は、会社法336条1項~3項の規定にかかわらず、
その発行する全部の株式の内容として、
譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨
の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、
当該定款の変更の効力が生じた時に満了します(同法同条4項4号)。
よって、本肢のような場合において、
当該定款の変更の効力が生じた時に在任していた監査役が
権利義務監査役(同法346条1項)とならない限り、
その退任による変更の登記を申請しなければなりません。
4.当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において、
取締役1名を選任することを内容とする種類の株式
を発行する取締役会設置会社において、
当該種類株主総会の決議によって取締役1名が解任されたときは、
当該取締役の解任による変更の登記の申請書には、
当該取締役の選任および解任に係る各種類株主総会の議事録
を添付しなければならない。
□正解: ○
□解説
会社法108条1項9号(※1)に掲げる事項(取締役に関するものに限る)
についての定めがある種類の株式を発行している場合における、
同法339条1項(※2)の規定中の“株主総会の決議”は、
種類株主総会において選任された取締役については、
“当該取締役の選任に係る種類の株式の種類株主
を構成員とする種類株主総会の決議”と読み替えられます(同法347条1項)。
よって、本肢のような場合の当該取締役の解任による変更の登記の申請書には、
当該取締役の解任に係る種類株主総会の議事録に加え、
当該種類株主総会が解任権限を有することを証するために、
当該取締役の選任に係る各種類株主総会の議事録
を添付しなければなりません。
※1=株式会社は、原則として、
当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において、
取締役または監査役を選任することについて異なる定めをした
内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができる。
※2=役員および会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
5.会計参与を1人置く旨の定款の定めがある株式会社の会計参与
である税理士法人が、主たる事務所を移転した場合において、
当該税理士法人が従たる事務所を設けていないときは、
当該株式会社の計算書類等の備置きの場所に係る変更の登記
を申請しなければならない。
□正解: ○
□解説
会計参与は、
各事業年度に係る計算書類等の一定の書類を、
一定期間、法務省令で定めるところにより、
当該会計参与が定めた場所に備え置かなければならず(会社法378条1項)、
当該備置場所は、当該会計参与である公認会計士もしくは監査法人
または税理士もしくは税理士法人の事務所の場所の中から、
定めなければなりません(会社法施行規則103条2項)。
よって、本肢のような場合、
当該株式会社の計算書類等の備置きの場所に係る変更の登記
を申請しなければなりません(会社法911条3項16号・915条1項)。
★次号では、「株式会社の計算書類等」について、ご紹介する予定です。
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3.編集後記
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※)
http://m-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-bcc9.html
■本号は、いかがでしたか?
次号の発行は、12/1(火)を予定しております。
■編集責任者:行政書士 津留信康
□津留行政書士事務所
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