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社員間のトラブルは懲戒理由となるか

最終更新日:2012年01月26日 09:56

最近、会社内での社員間の金銭トラブル(借金を返さない、たかり、他人名義のクレジットカード使用)に起因する被害者(貸し側)からの会社への苦情が数件発生しました。こうした(個人間の金銭の貸し借り)場合、悪質な加害者(借り側)に対して解雇を含めた懲戒処分をすることは可能でしょうか。また更にいえば、社員間の金銭の貸し借り自体を懲戒処分行為(就業規則に記載)として、実際にそのような行為があった場合に処分することは問題ないでしょうか。因みに今回の場合は、加害者は解雇とせず自己都合退社(退職金支払い)という形で決着しました。

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Re: 社員間のトラブルは懲戒理由となるか

こんばんは。

当社も他人事ではない気がしましたので、書籍や検索に頼った返信になりますが、コメントします。

まず「・・・たかり、他人名義のクレジットカード使用・・・」といった段階というのは、「社員間の金銭貸借のトラブル」というレベルではなく、イジメあるいは上下があればパワハラ等々に受け取れる状況ではなかったのか、と推察しました。幸い被害者の方は今大丈夫の様子ですが。

こういった状況(イジメ等で被害者が自殺等に至った場合の事例ですが。)で、裁判となった場合、「使用者事業者に対して」使用者責任安全配慮義務違反・不法作為責任を負うとする判例があるようです。
→川崎市水道局(いじめ自殺)事件・横浜地裁川崎支部判決H14.6.27二審・東京高裁判決H15.3.25
→誠昇会北本共済病院事件・さいたま地裁判決H16.9.24  等々。

上記の判例を踏まえ、「労災・職業病のみならず、過労死・過労自殺、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、従業員同士のイジメの発生にも使用者の責任が問われるようになってきている」様です。

それで、ご質問の主旨である「社員間の金銭の貸し借り自体を懲戒処分行為」とするかについてですが、服務規律として社員間の金銭貸借を禁止する規定を入れましょう、という記載のある就業規則改善提案書籍はありました。
ただ、「懲戒事由」として記載した例は私が調べた範囲では無く、また記載した場合の適正さ、適法性ついても判断が難しいな、と思いました。

しかし、使用者責任安全配慮義務等々を問われる情勢のようですので、就業規則規定を改定し「禁止事項を遵守ていないこと」、事実確認の結果、事例として「悪質」と判断し得るれば懲戒事由をフル活用・適用してその責を問うことも可能ではないのか、私見として思います。

また、「懲戒逃れ」の自己都合退職に備える規定を定めておきましょう、とうのも前述の書籍に記載がありました。
「(合意退職の承認取り消し)会社は、既に合意退職の承認を受けている社員が、《退職するまでの間に》懲戒自主に該当することが判明した場合には、その承認を取り消し、懲戒に処分することがある。」

退職金の取扱いについては、「退職後に懲戒解雇処分に該当する事実が判明した場合において、既に支給した退職金について、会社はその返還を求めることが出来る。」とする就業規則上の規定に加え、必要があれば、退職者から「退職後に懲戒解雇処分に該当する事実が判明した場合には、退職金の全部または一部について、これを放棄します。」といった内容の合意書を取っておくと良いでしょう、という記載もされていました。

・・・当社も、まだまだ就業規則規定改定については検討の余地があるなぁ、と思わされる事例でした。今後同様事案が発生しないよう、また被害者が最悪の状況とならないように教訓を生かさないといけませんよね。

Re: 社員間のトラブルは懲戒理由となるか

早速のご回答ありがとうございます。

確かに安全配慮義務の観点からすると被害者の保護は必要だと思います。ただ、民事の観点からすると個人間の紛争に会社が介入して加害者(借り側)側だけを一方的に罰するのは問題ないでしょうか。パワハラや違法行為が明らかである場合は別として、加害者から「本人同士で合意の上での貸し借りであり、会社の処分は不当である」と言われたた場合の会社の立場はどうなるのでしょうか。また、就業規則金銭貸借を禁止した場合に「貸した側も罰することは問題ないか」が気がかりで明文化に疑問が残ります。

Re: 社員間のトラブルは懲戒理由となるか

社員間の金銭トラブルは民事です。労災を適用するには無理があると思われます。
ご質問の場合、労災認定に必要な要素である業務起因性業務遂行性が全く形成されておらず、従って使用者責任安全配慮義務違反を形成する余地もありません。金銭貸借に起因する私的事件であり、貸与者と貸借者がたまたま同じ会社に在籍していたという事実があるだけです。
しかし、就業規則服務規律に、社員間の金銭の貸し借り禁止事項が明記されていてなおかつ懲戒処分に当たることが明記されていれば話は別です。その場合は、処分は可能です。が、借りたほうも同罪とならざるを得ません。

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