相談の広場
こんにちは。先日、操業短縮についても質問させていただいたのですが、今日は賃金カットについてもお願いします。
弊社では特定の部署をのぞき、週1日ほどの操業短縮を行う予定です。そして、操短の対象部署の所属者は勿論のこと、対象外とされる部署の所属者に対しても、多少の賃金カットを行うことも予定してます。この場合、組合との協定も含め、どのような手続が必要になりますでしょうか?
よろしくお願いします。
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賃金カットなど労働条件の切り下げは、次の3つの形をとります。
① 就業規則や労働協約によらない切り下げ(労働契約の変更等によって引き下げる場合)
労働者の同意がない→一方的な労働契約の不利益変更は無効です。拘束力なし
労働者の同意がある→拘束力あり
② 就業規則の変更による切り下げ
賃金を引き下げ、人件費の圧縮を図らなければ会社の経営が存続できなくなるとか、
就業規則を改定することに相当の合理性がなければいけませんし、その額が労働者にとってどの程度の不利益になるかも考慮されなければなりません。
(参考)
就業規則の変更手順について
1.情報収集(現状把握)
2.変更案の作成
3.労働者からの意見の聴取
4.就業規則の変更
5.労働基準監督署長に届け出する
6.労働者に対して周知する
③ 労働協約の変更による切り下げ(労組のある会社のみ)
適法に締結された協約であれば、労働者は原則的には拘束されます。
一般的に労働組合は、代償となる条件を提示していることが多く、一方的に労働者が不利になるとは限りません。
労働協約は、使用者と労働者が合意で決める約束ですから、
使用者側から一方的に決められる就業規則より、労働者に有利に定められ、しかも就業規則より優先されるものです。
労使協定は根拠を労働基準法としている(過半数労働組合のほかに労働者の過半数代表者とも結べる)のに対し、労働協約は根拠を労働組合法としている(使用者と労働組合のみしか結べない)点が違います。
行政解釈では「労働者の過半数を代表する者との協定は労働協約ではない」とされています。
また労使協定の効果は、「労基法に違反しないという免罰効果を持つものである」とされており、
「労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものでなく労働協約、就業規則等の根拠が必要なものである」とされています。ので、
労使協議で労働条件の変更の内容や必要性について十分な協議をしたら、労働組合との合意内容を協約化する必要があます。
労働協約が結ばれたら、労働条件が不利益となる場合も含め、原則として、組合員の労働条件は労働協約の内容となります。(労働組合法第16条)
当事者が署名し、記名押印することで効力が生じます。
拘束力
一つの事業所に常時使用される同種の労働者の4分の3以上が、一つの労働協約の適用を受ける場合には、その事業所に使用される他の同種の労働者についても、その労働協約が適用されます。
有効期間を定めた労働協約は、原則として有効期間中は解約できませんので、ご質問のような包括的な内容のみ協約化するのであれば、期間の設定は無くて良いと思います。(有効期間を定める場合は最長3年です。)
が、今回はすでに賃金カットの期間や、対象者、額…等が決められるわけですよね。それらの具体的な内容を協約に盛り込まなければ、実効性(拘束性)も生じないわけです。
労働協約の全部又は一部を変更しなければならないとき、その都度
「労使両当事者のどちらか一方が署名するか記名押印した文書で、少なくとも90日前に予告する」ことによって解約(労組法15条3項、4項)
し、再び労使交渉による合意形成をはかり、協約化する、という手順を踏まなければならないことを考えると、少し面倒です。
今回の賃金カットがあくまで臨時的・緊急的なものであって、恒常化することはないのならば(そう願いたいものです)具体的な内容を盛り込んだ期限付き協約にしたほうが良いのでは。
包括的なほうはむしろ就業規則向き、です。
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