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労使慣行による退職金支給について

こんにちは 社会保険労務士の三木です。
今回は「退職金規程」がない会社の退職金支給について取り上げてみました。

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 現在、退職金制度のある企業の割合は8割程度と考えられます。およそ8割の企業には何らかの形で退職金の支払に関する定めがあるわけです。これらの企業では「退職金規程」を就業規則の一部として作成し、従業員の皆さんに知らせています。そして、従業員数が10人以上であれば所轄労働基準監督署に届け出ています。
 退職金制度は必ず設けなければいけないものではありません。しかし、(1)長期勤務の報奨として(2)労働意欲を高めるため(3)定着率を高めるため等の理由で制度が行われてきました。

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 このように退職金制度があればそれに基づき、支給事由の発生により支払義務が生じます。あの人に支払ってこの人に支払わないということはできません。個人別に差をつけることは可能ですが、細かく支給基準を決めておかなければなりません。
 公務員の場合に行われているような、退職時給与×勤続年数に応じた月数といった支給方法が、現在でも多く行われています。これは現在の時勢にはあっていませんが、変更するにも労働者に不利益になるような場合は、一方的に行うことができません。「適年」からの乗り換えや廃止に関連した制度の見直しが増えていますが、原則として従業員の個別同意が必要です。

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 前置きが長くなりましたが、労使慣行とは、企業社会一般又は当該企業において、一定の事実が相当期間にわたり継続して行われ、これに従うことが労使双方で当然とされている場合をいいます。退職金の支給で見ると、「退職金規程はないが、これまでわずかな例外を除いて退職者のほぼ全員に退職金が支給されていて、支給基準も同一であったような場合では、退職金支給の労使慣行が成立していると判示されているのです(宍戸商会事件・東京地判昭和48年2月27日)。これが、労使慣行による退職金です。

 労使慣行は、公序良俗や強行規定に反する場合は法的効力が認められませんが(法の適用に関する通則法第3条,民法第92条参照)、それ以外は法的効力が認められ、具体的には、労働契約の内容となったり、就業規則又は労働協約の解釈基準として、その内容を補充したり、具体化する役割を演じることになります。

 労使慣行による退職金についても当然に従業員期待権が発生しますから、明文化された退職金規定に順ずる扱いとなります。会社が勝手に制度を無くしてしまうことは、やはり不利益変更となりますから、合理的な理由が必要になります。変更する場合に重要なことは、当該労使慣行変更のための交渉・話し合い、従業員からの意見聴取などを通じて慣行変更の合理性を十分に説明した上で、一定の猶予期間を置いて変更し、以後は当該慣行を認めないとする方法が必要だということです。したがって、「退職金規程」がある場合と変わりありません。

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 結論としましては、労使慣行による「退職金規程」が存在するのであれば、明文化しておくに越したことはないと考えます。転職が当たり前の世の中でも、安心して一所懸命働きたい人はたくさんいます。因みに、所得税法において退職金非課税限度は、勤続20年まで1年40万円、20年を超えた年数については1年70万円となっています。

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三木経営労務管理事務所
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