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☆☆☆ 建物賃貸借と倒産 ☆☆☆
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賃貸借契約の当事者の一方に破産、
民事再生、会社更正の手続開始決定が
あった場合、賃貸借関係はどうなるのでしょうか。
多く見られるであろう建物の賃貸借について見てみましょう。
===================================================================
● 双務
契約と倒産の場合の原則的規定とその排除
==================================================================
1 双務
契約の当事者の双方の
債務が未
履行の状態で、破産、
民事再生、
会社更生の手続開始決定があった場合について、各法は以下のように
類似の原則的な定めを置いています。
破産法53条1項
破産管財人は
契約の解除をし、又は破産者の
債務を
履行し相手方の
債務の
履行を請求することができる。
民事再生法49条1項 再生
債務者等(管財人が選任されていない場合は
再生
債務管財人が選任されている場合は管財人と
いう意味)は
契約解除をし、又は再生
債務者の
債務を
履行して相手方の
債務履行を請求することが
できる。
会社更生法61条1項 管財人は
契約の解除をし、又は更生会社の
債務を
履行して相手方の
債務の
履行を請求することが
できる。
2 しかし、
賃貸借契約については、賃貸人が破産、
民事再生、会社更生の
手続開始決定を受けた場合については、賃借人が賃借権について対抗
できる地位にある場合には、上記の1の規定は排除され、適用されない
ことが定められています。
(
破産法56条1項、
民事再生法51条1項、会社更生法63条1項)
===================================================================
● 賃借人が破産等した場合
===================================================================
賃借人が破産、
民事再生、会社更生の手続開始決定を受けた場合には、2の
排除規定は適用されず、1の原則的規定が適用されます。
つまり、
破産管財人等が
賃貸借契約の解除ないし
履行を選択することに
なります。
===================================================================
● 賃貸人が破産等した場合
===================================================================
1
破産管財人等の解除権の制限
賃貸人が破産、
民事再生、会社更生の手続開始決定を受けた場合に破産
管財人等が自由に賃貸借を解除することができるとすると賃借人の保護に
欠けるので、「対抗力を備えている賃借人」との関係では、賃貸人が破産
した場合であっても、
破産管財人等は自由に解除することはできません。
つまり、賃借人が破産しても、賃借人の地位は通常の場合と何ら変化なく、
破産管財人等に賃料さえ支払っていればこれまで通りの賃貸借関係は維持
されることになるというわけです。
ただし、
破産管財人等は賃貸物件である建物を売却処分することがあります。
その場合には、賃貸借を維持した上で売却するか、立退料などを支払う
などして賃貸借を解消した上で売却するかを
破産管財人等が判断することに
なるでしょう。
また、当該建物に
抵当権が設定されている場合には
競売がなされてしまう
こともありうるところです。
競売がされた場合には、買受人が建物を買い受けた時点から6ヶ月の明渡
猶予期間を経過すると建物を明け渡さなくてはならなくなります。
2 賃借人の
寄託請求
敷金返還請求権は建物の明渡を条件として発生する
債権であり、明け渡す
までは発生しません。
したがって、賃借人は
契約を継続する限り、賃料
債権と
敷金返還請求権を
相殺することはできません。そこで、賃貸人が破産した場合、賃借人は
敷金返還請求権を保全するため、賃料の
寄託請求をすることができると
されています。
つまり、後に
相殺するため、その
債権額(
敷金相当額)の限度において
弁済額の
寄託を請求することができるのです。
(
破産法70条)
民事再生、会社更生については、手続開始後6ヶ月分の賃料に相当する
額を限度として
相殺が認められ(
民事再生法92条2項、会社更生法48条2項)、
相殺しないで賃料を支払ったときは賃料6ヶ月分に相当する範囲内で
敷金を共益
債権とすることとされています。
(
民事再生法92条3項、会社更生法48条3項)
(弁護士 緒方義行
http://www.fuso-godo.jp/)
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1 双務契約の当事者の双方の債務が未履行の状態で、破産、民事再生、
会社更生の手続開始決定があった場合について、各法は以下のように
類似の原則的な定めを置いています。
破産法53条1項 破産管財人は契約の解除をし、又は破産者の債務を
履行し相手方の債務の履行を請求することができる。
民事再生法49条1項 再生債務者等(管財人が選任されていない場合は
再生債務管財人が選任されている場合は管財人と
いう意味)は契約解除をし、又は再生債務者の
債務を履行して相手方の債務履行を請求することが
できる。
会社更生法61条1項 管財人は契約の解除をし、又は更生会社の債務を
履行して相手方の債務の履行を請求することが
できる。
2 しかし、賃貸借契約については、賃貸人が破産、民事再生、会社更生の
手続開始決定を受けた場合については、賃借人が賃借権について対抗
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● 賃借人が破産等した場合
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つまり、破産管財人等が賃貸借契約の解除ないし履行を選択することに
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● 賃貸人が破産等した場合
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1 破産管財人等の解除権の制限
賃貸人が破産、民事再生、会社更生の手続開始決定を受けた場合に破産
管財人等が自由に賃貸借を解除することができるとすると賃借人の保護に
欠けるので、「対抗力を備えている賃借人」との関係では、賃貸人が破産
した場合であっても、破産管財人等は自由に解除することはできません。
つまり、賃借人が破産しても、賃借人の地位は通常の場合と何ら変化なく、
破産管財人等に賃料さえ支払っていればこれまで通りの賃貸借関係は維持
されることになるというわけです。
ただし、破産管財人等は賃貸物件である建物を売却処分することがあります。
その場合には、賃貸借を維持した上で売却するか、立退料などを支払う
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なるでしょう。
また、当該建物に抵当権が設定されている場合には競売がなされてしまう
こともありうるところです。
競売がされた場合には、買受人が建物を買い受けた時点から6ヶ月の明渡
猶予期間を経過すると建物を明け渡さなくてはならなくなります。
2 賃借人の寄託請求
敷金返還請求権は建物の明渡を条件として発生する債権であり、明け渡す
までは発生しません。
したがって、賃借人は契約を継続する限り、賃料債権と敷金返還請求権を
相殺することはできません。そこで、賃貸人が破産した場合、賃借人は
敷金返還請求権を保全するため、賃料の寄託請求をすることができると
されています。
つまり、後に相殺するため、その債権額(敷金相当額)の限度において
弁済額の寄託を請求することができるのです。
(破産法70条)
民事再生、会社更生については、手続開始後6ヶ月分の賃料に相当する
額を限度として相殺が認められ(民事再生法92条2項、会社更生法48条2項)、
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敷金を共益債権とすることとされています。
(民事再生法92条3項、会社更生法48条3項)
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