夏場の節電対策に向けて、どの会社も準備を進めていると思います。
節電対策の一環として、あらためて注目を集めているのが、「1年単位の変形労働時間制」。
これは、1ヶ月以上1年以内の期間内の週平均労働時間が40時間を超えなければ、1日8時間あるいは1週40時間を超えても、時間外の扱いをしなくてもいいという制度です。
季節的に繁閑の波があるような業務に有効です。
制度の概要はこちらをご覧ください。
http://www.hrm-solution.jp/roudouhou/roudouhou17_roudoujikan12.htm
さて、この1年変形ですが、期間の途中で協定を変更、解約をすることはできないことになっています。
それは、たとえば、1年変形で年の前半の労働時間が長く、後半が短いような協定を結び、年の前半が終わった時点で協定を解約し、新たな労使協定を結ぶということになると、前半の、本来であれば法定労働時間を超える分の賃金はどうなってしまうのかという問題が生じるためです。
そのため、もし協定を破棄するような場合は、それまでの賃金を精算しなくてはなりませんでした。
それでは、節電のために、それまでの協定を変更する場合も、同じことになるのでしょうか?
それでは、節電対策で、労働日や労働時間の割り振りを見直したら、残業コストが増えてしまうということになりかねません。
そこで、一定の条件にあてはまれば、労使協定の解約、変更が認められることになりました。
その条件とは次の通りです。
(1)対象となり得る事業場
① 7月から9月までの期間における労働日数や労働時間数を変えることなく、労働日や労働時間の配分を当初の計画から変更すること(所定休日を平日に変更すること等)
② 7月から9月までの期間における労働日数や総労働時間を当初の計画から減少させること
③ 東京電力及び東北電力の管内の事業場の生産活動の減少等を補うため、7月から9月までの期間における労働日数や総労働時間を当初の計画から増加させること
④ 上記①から③以外の場合であって、東京電力及び東北電力の管内の事業場における節電対策の実施の影響により、7月から9月までの期間以外の期間における労働日数や総労働時間等を当初の計画から変更すること
(2)労使協定の変更又は解約
労使協定の変更又は解約とは、それぞれ以下の①又は②をいうこと。
① 労使協定の対象期間の途中に、当該労使協定について、既に労働が行われた期間を含めて対象期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、未だ労働が行われていない期間の労働日及び当該労働日ごとの労働時間等を当該事業場の過半数労働組合等との合意により変更する場合(労使協定の変更)
② 労使協定の対象期間の途中において、当該事業場の過半数労働組合等との合意により当該労使協定を解約し、将来に向かって当該労使協定の効力を失わせる場合(労使協定の解約)
特例措置の詳細は次の通りです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001e6aa-att/2r9852000001ecix.pdf
今回ご紹介したのは、既に変形労働時間制を導入している場合の特例ですが、導入していない会社も、このような制度も検討してみてはいかがでしょうか?
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http://www.hrm-consul.com/seminar.html