平成27年2月15日 第137号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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マイナンバー制度による企業実務への影響
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1.はじめに
平成28年1月よりマイナンバー制度の運用が始まります。
マイナンバー制度とは、住民票コードが住民票に記載されている日本国籍を持
つ者、および中長期滞在者、特別永住者等の外国人住民と法人に番号をつけ、
その番号で税務や社会保障などを管理していく制度です。
税金の申告や社会保険などの手続きを適正に行うための制度といえるでしょ
う。
日本人であっても海外に在住している場合には対象となりません。
個人には市町村長により12桁の個人番号、法人には国税庁長官より13桁の
法人番号が付番されます。
マイナンバー制度とは、ひとことで言えば「行政効率を高めるための制度」
です。
複数の手続きをまとめたり、添付書類を省略することが出来、また電子申請に
も対応しやすい制度です。
しかし今まで行政がコストを掛けてやっていた確認作業を、企業が労働者よ
りマイナンバーを取得する課程の中で行う事となります。
企業にとっては非常にコストがかかるものなのです。
今回はこの点を掘り下げてみたいと思います。
2.個人のマイナンバー取得の際にかかる企業のコスト
(1)概要
マイナンバーというのは個人情報の塊です。
これを絶対に知るべき立場にない人に漏らしてはならない。
これがマイナンバーの考え方です。
これだけ聞くと当たり前だとおもいます。
しかし掘り下げてみると企業側の負担は非常に大きいのです。
例えば年末調整の際に必要となる扶養異動申告書。
今は総務担当者の机の上にポンとおいて提出するやり方をとっている企業が多
いでしょう。
しかしこれからはそれが出来なくなります。
扶養異動申告書にマイナンバーが記載されますと、この書類はその書類が見ら
れないようにしなければなりません。鍵のついたポストに入れてもらったり、
直接受け取ったりする必要があります。
(2)本人確認をしなければならない
マイナンバー取得の際には、本当に本人かどうかの確認をしなければなりま
せん。
マイナンバーの通知は平成27年中に来る予定です。
そして希望者は平成28年1月以降市町村役場において番号カードを作るこ
とが出来ます。
この番号カードは写真付きで有り、このカードがあれば、これ一枚で本人確認
が出来ます。
このカードがない場合には、マイナンバーの通知書と合わせて本人確認書類
が必要になります。
運転免許証やパスポートなどの顔写真入りの証明書があれば、これで本人確
認が出来ます。
しかし持っていない人も大勢います。幼児などは持っていない人が多いでし
ょう。
この場合には、健康保険証や国民健康保険証などの証明書一つと、住民票など
で一つの2種類の書類で本人確認をしなければなりません。
この実務が大変になってきます。
この本人確認は、原則として手続きごとに行わなければなりません。
これもまた大変な実務です。
(3)個人情報の管理
マイナンバーが記載されている書類は「特定個人情報」として、個人情報
法護法よりも厳しい管理が求められます。
本人の同意があったとしても法に定める範囲以外の第三者提供は禁止されて
います。
企業には「目的外利用の禁止」「提供の求めの制限」「本人確認の措置」「情
報の安全管理」が求められています。
マイナンバーは取得の際に明示した内容以外に使えません。
例えば取得の際、年末調整で使うと明示した場合、健康保険の手続きでは使え
ません。
健康保険の手続きで使う場合には、改めて取得の手続きを行わなければならな
いのです。
マイナンバーを取得する際には、企業として何に使うのか、もれなく明示す
る必要があるのです。
マイナンバーを記載した書類やファイルは、それを閲覧できる権限を持った
人しか見ることが出来ないようにする必要があります。
これも企業にとっては負担が大きいです。
そしてその書類やファイルは手続きが終われば破棄をしなければなりません。
マイナンバーは目的外保管が禁止されており、書類の保管期限、例えば扶養異
動申告書は7年、社会保険の取得手続き書類は2年、雇用保険の手続き書類は
4年といった保管期限が過ぎた場合には、その書類やデータを廃棄しなければ
法令違反になってしまいます。
その書類をどうしても保管する必要がある場合には、マイナンバーが記載さ
れている箇所を複製できないような形で消して保管する必要があるのです。
番号漏洩のリスクを考えると企業の負担は非常に重たいものがあります。
3.まとめ
今回はマイナンバー制度の概要をお話ししましたが、ガイドラインを掘り下
げたものを年内にまとめたいと思います。
社会保障関係の運用がどうなるのか。
果たして間に合うのかということも含めて厚生労働省が準備をしている様です。
本人確認の問題は大きく、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金保険法、
雇用保険法及び労災保険法を改正しなければ対応できないと個人的には思って
います。
理念先行で実務を全く無視した制度ですので、混乱が生じると思います。
行政効率の為に、企業が背負うコストやリスクは大変に大きく、現在は広報不
足ということもあり問題が大きくなっておりませんが、運用間近で混乱が生ず
る事が無いようにしっかりと準備をして行かなければなりません。
参考にして頂ければ幸いです。
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