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コラムの泉

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労働時間と生産性と成果の「トライアングル」を考える

◆日経ビジネス2月19日号に、「大塚商会が残業代にメス 見なしをやめ、時間に応じて支払い」という記事が掲載されていました。

記事によると、同社はみなし労働時間制を廃止し、実際の労働時間に応じて残業手当を支給する仕組みに変えたということです。
残業する場合は、理由を上司に届け出て必ず許可を得ることをルール化、申請書には社長自ら目を通し、不必要な残業は認めないということです。

また、2月19日の日経新聞のコラム「無駄な残業減らせるか」には、残業管理への各社の取り組みが紹介されています。

・キヤノンでは、残業をする社員は当日5時までに仕事の具体的な内容と予定時間をパソコンに入力、上司の承認を得られなければ残業できない仕組みにした。

・トリンプ・インターナショナルでは91年から残業削減と業務効率化の運動を並行して展開、2003年には毎日を「ノー残業デー」にし、残業した社員とその上司には、翌日反省会を開かせた。

・イトーヨーカ堂では、店ごとに残業時間を調べ、店舗運営の効率をチェック。労働時間の長い店ほど売上が少なく、廃棄ロスが多いため。


◆これらの取り組みに共通しているのは、「生産性」。

上記のような残業管理には様々な問題もあります。

・自主性を損なう
・管理が煩雑
・サービス残業が増えるだけ


それでも、と言うより、それを承知で、このような施策を敢えて取るのはなぜか?
特に大塚商会は、これまでやっていた「見なし労働時間制」を廃止までしています。

要は、それだけホワイトカラーの生産性が低いということです。

それは、「仕事は一定の時刻までに終わらせる」という基本が、ないがしろにされていたためでは?

製造現場では当たり前のことが、ホワイトカラーの現場では当たり前になっていないのです。
そのために、ダラダラと会社に残ってしまう。


◆キーワードは「自律」。

やるべき仕事を、やるべき時期までに終える。そのために仕事をスケジュール化し、それを実行する--
これは1人1人の「自律」が前提です。

一見異なるようで、同根の問題が裁量労働制についても言えます。
日経ビジネスでは、人事コンサルタント・城氏のこんな指摘を紹介しています。

成果主義裁量労働制を導入した企業では、優秀な社員に仕事が集中する傾向が見られるという。多数を占める中間レベルの社員は、「しゃかりきに働いても残業代も増えない。そこそこの成果で十分」と考え、これが評価の高い社員に仕事が集まり、不満が募る逆格差を生む。ならば働いた実績に応じて残業代が増える仕組みの方が優秀な社員のモラール向上につながるのでは、という指摘だ。」

ここで言う「中間レベルの社員」のモラールの低さも問題ですが、事実です。

本来ならこの場合、「仕事が集中した優秀な社員」が正当に評価され、きちんとプロモートされていかなくてはなりません。
でも現実は必ずしもそうではありません。
そして、過労やメンタルヘルス障害に陥るか、さっさと会社を辞めていくのです。

そういう状態を放置している「マネジメント不在」にも問題がありますが。


◆やいのやいの言われてつぶされた「ホワイトカラーエグゼンプション」は、当初「自律的労働時間制度」と呼んでいました。

「自律的」--ここがポイントです。
自律性が無いところに、自律を前提にした制度をもってきても、うまくいくわけがありません。
裁量労働制なども、同様の問題をはらんでいます。

逆に言うと、1人1人が自己の役割を認識し、自律的に動いている状況であれば、成果主義裁量労働制も、成果を上げるはずです。

ということは、自律の無い状態であれば、それをどうしていくかを考えることが先です。
マネジメント不在であれば、そこをまず是正していくべきです。
これらが生産性と労働時間に直結するわけですから。


◆どのような労働時間管理制度がいいのか、正解はありません。
労働時間・生産性・成果を、「自律度合い」と「マネジメント」をキーワードに検討し、最適な制度を作っていくことがポイントです。


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