前回、
労働基準監督署の立ち入り調査には、次の4種類があるというお話をしました。
1)定期監督
2)災害調査・災害時監督
3)申告監督
4)再監督
では、ぞれぞれの調査がどのようなものか見ていきましょう。
1.定期監督
(1)労働政策の重点事項
その名の通り、定期的に行う調査。
厚生労働省は毎年、「労働政策の重点事項」と「地方労働行政運営方針」を定めています。
各都道府県労働局はこれを受けて、都道府県ごとに重点施策を作ります。
これが、監督署の臨検調査など具体的な行政指導などに反映されるわけです。
その点でも、この「労働政策の重点事項」、「地方労働行政運営方針」は重要です。
2007年度の「地方労働行政運営方針」の、「労働基準行政」の主な内容は次の通りです。
(1)
労働条件の確保・改善等
ア 一般
労働条件の確保・改善対策の推進
(ア) 法定
労働条件の確保
※労働基準関係法令違反に対しては、厳正に対処する。
(イ) 長時間労働の抑制に向けた取組の推進
(ウ)
労働時間管理の適正化の徹底
※重大・悪質な事案に対しては、司法処分を含め厳正に対処する。
(エ) 有期
労働契約に係るルールの明確化の推進
イ 未払
賃金立替払制度の迅速かつ適正な運営
ウ
最低賃金制度の適正な運営
エ 特定の労働分野における
労働条件確保対策の推進
(ア) 派遣
労働者及び業務
請負労働者
(イ) 外国人
労働者、技能実習生
(ウ) 自動車運転者
(エ) 介護
労働者
(オ) 障害者である
労働者
(カ)
短時間労働者(
パートタイム労働者)
(2) 多様な働き方が可能となる労働環境の整備
ア
労働時間等の設定の改善の促進
イ
労働時間法制の整備等
ウ
裁量労働制の適正な実施の確保
エ 在宅勤務の普及促進
オ
賃金・
退職金制度の改善の推進
カ 勤労者生活の基盤の整備・充実
(3)
労働者の安全と健康を確保するための施策の展開
ア
労働災害を減少させるための施策の展開
(ア) 安全衛生管理体制の強化等
(イ) 危険性又は有害性等の調査等、労働安全衛生マネジメントシステムの普及促進等
ウ)製造業等における
労働災害防止対策の推進
(エ) 建設業における
労働災害防止対策の推進
(オ) 第三次産業における
労働災害防止対策の推進等
(カ) 機械設備の安全化の促進
(キ) 交通
労働災害防止対策等の推進
(ク) 爆発・火災災害防止対策の推進
(ケ) 技能講習等の適切な実施の確保
イ
労働者の健康を確保するための施策の展開
(ア)
過重労働による健康障害防止のための対策の推進
(イ)
メンタルヘルス対策の推進
(ウ) 職場における着実な健康確保対策の推進
(エ) 職業性疾病予防対策等の推進
(オ) 化学物質による健康障害防止対策の推進
(カ) 職場環境の快適化の推進
ウ
アスベストによる健康障害防止対策
(4) 労災補償対策の推進
ア
労災保険給付の迅速・適正な処理
イ 石綿関連疾患の給付請求事案に係る的確な対応
ウ 労災かくしの排除に係る対策の一層の推進
エ 行政争訟に当たっての的確な対応
(5)
労働契約法制の整備等
(2)実施状況は
2006年度の東京都の状況は次の通りです。(2007年4月27日東京労働局発表資料より)
※災害時監督を含む
1 定期監督等における実施件数・違反率
ア 平成18年に管下
労働基準監督署の労働基準監督官が実施した定期監督等
・実施件数 9,060件(前年比45件減)
・違反率 72.0%(前年比1.3%増)
イ 業種別の件数
・建設業 4,774件(前年比370件増)
・製造業 916件(同65件減)
・商業 880件(同198件減)
2 定期監督等における主要な法違反
ア
労働条件の明確化関係
・
労働条件の明示違反 952件(前年比123件増)
・
就業規則の未作成等違反 1,243件(同65件増)
イ
労働時間の適正管理関係
・
労働時間違反 2,250件(前年比55件減)
・
割増賃金違反 1,736件(同17件減)
ウ 安全衛生関係
・安全衛生管理体制の違反 1,518件(前年比137件増)
・機械・設備等の危険防止措置に関する安全基準の違反 2,118件(同65件増)
このように、
労働条件明示・
就業規則、
労働時間、安全衛生関係の違反が多く、ここが重点事項になっています。
この点について東京労働局は、次のように指摘しています。
・長時間労働を背景とする
過重労働、
賃金不払残業や、
労働条件が不明確であることに起因するトラブルが増加している。
・このため、
労働基準監督署においては、工業的業種を中心とした
労働災害防止に重点を置いた監督指導に加え、非工業的業種を含めて
労働条件確保に重点を置いた監督指導を強化し、その中で、法律に違反する長時間労働の是正、
労働時間管理の適正化や、
就業規則の整備、雇入れ時の
労働条件の明示などの
労働条件に関する指導を重点的に実施している。
・平成10年と比較すると、指導事項では、
労働時間違反が約1.8倍増、
割増賃金違反が3.4倍増、
労働条件の明示違反が6.8倍増、
就業規則の作成等違反が1.8倍増と著しく増加している状況がみられる。
また、
請負・派遣など、外部労働力の活用に関する部分も、重点項目になっていくと思われます。
請負や派遣の多く活用している会社は、活用形態などをしっかり確認した方がいいですね。
http://www.hrm-solution.jp
前回、労働基準監督署の立ち入り調査には、次の4種類があるというお話をしました。
1)定期監督
2)災害調査・災害時監督
3)申告監督
4)再監督
では、ぞれぞれの調査がどのようなものか見ていきましょう。
1.定期監督
(1)労働政策の重点事項
その名の通り、定期的に行う調査。
厚生労働省は毎年、「労働政策の重点事項」と「地方労働行政運営方針」を定めています。
各都道府県労働局はこれを受けて、都道府県ごとに重点施策を作ります。
これが、監督署の臨検調査など具体的な行政指導などに反映されるわけです。
その点でも、この「労働政策の重点事項」、「地方労働行政運営方針」は重要です。
2007年度の「地方労働行政運営方針」の、「労働基準行政」の主な内容は次の通りです。
(1) 労働条件の確保・改善等
ア 一般労働条件の確保・改善対策の推進
(ア) 法定労働条件の確保
※労働基準関係法令違反に対しては、厳正に対処する。
(イ) 長時間労働の抑制に向けた取組の推進
(ウ) 労働時間管理の適正化の徹底
※重大・悪質な事案に対しては、司法処分を含め厳正に対処する。
(エ) 有期労働契約に係るルールの明確化の推進
イ 未払賃金立替払制度の迅速かつ適正な運営
ウ 最低賃金制度の適正な運営
エ 特定の労働分野における労働条件確保対策の推進
(ア) 派遣労働者及び業務請負労働者
(イ) 外国人労働者、技能実習生
(ウ) 自動車運転者
(エ) 介護労働者
(オ) 障害者である労働者
(カ) 短時間労働者(パートタイム労働者)
(2) 多様な働き方が可能となる労働環境の整備
ア 労働時間等の設定の改善の促進
イ 労働時間法制の整備等
ウ 裁量労働制の適正な実施の確保
エ 在宅勤務の普及促進
オ 賃金・退職金制度の改善の推進
カ 勤労者生活の基盤の整備・充実
(3) 労働者の安全と健康を確保するための施策の展開
ア 労働災害を減少させるための施策の展開
(ア) 安全衛生管理体制の強化等
(イ) 危険性又は有害性等の調査等、労働安全衛生マネジメントシステムの普及促進等
ウ)製造業等における労働災害防止対策の推進
(エ) 建設業における労働災害防止対策の推進
(オ) 第三次産業における労働災害防止対策の推進等
(カ) 機械設備の安全化の促進
(キ) 交通労働災害防止対策等の推進
(ク) 爆発・火災災害防止対策の推進
(ケ) 技能講習等の適切な実施の確保
イ 労働者の健康を確保するための施策の展開
(ア) 過重労働による健康障害防止のための対策の推進
(イ) メンタルヘルス対策の推進
(ウ) 職場における着実な健康確保対策の推進
(エ) 職業性疾病予防対策等の推進
(オ) 化学物質による健康障害防止対策の推進
(カ) 職場環境の快適化の推進
ウ アスベストによる健康障害防止対策
(4) 労災補償対策の推進
ア 労災保険給付の迅速・適正な処理
イ 石綿関連疾患の給付請求事案に係る的確な対応
ウ 労災かくしの排除に係る対策の一層の推進
エ 行政争訟に当たっての的確な対応
(5) 労働契約法制の整備等
(2)実施状況は
2006年度の東京都の状況は次の通りです。(2007年4月27日東京労働局発表資料より)
※災害時監督を含む
1 定期監督等における実施件数・違反率
ア 平成18年に管下労働基準監督署の労働基準監督官が実施した定期監督等
・実施件数 9,060件(前年比45件減)
・違反率 72.0%(前年比1.3%増)
イ 業種別の件数
・建設業 4,774件(前年比370件増)
・製造業 916件(同65件減)
・商業 880件(同198件減)
2 定期監督等における主要な法違反
ア 労働条件の明確化関係
・労働条件の明示違反 952件(前年比123件増)
・就業規則の未作成等違反 1,243件(同65件増)
イ 労働時間の適正管理関係
・労働時間違反 2,250件(前年比55件減)
・割増賃金違反 1,736件(同17件減)
ウ 安全衛生関係
・安全衛生管理体制の違反 1,518件(前年比137件増)
・機械・設備等の危険防止措置に関する安全基準の違反 2,118件(同65件増)
このように、労働条件明示・就業規則、労働時間、安全衛生関係の違反が多く、ここが重点事項になっています。
この点について東京労働局は、次のように指摘しています。
・長時間労働を背景とする過重労働、賃金不払残業や、労働条件が不明確であることに起因するトラブルが増加している。
・このため、労働基準監督署においては、工業的業種を中心とした労働災害防止に重点を置いた監督指導に加え、非工業的業種を含めて労働条件確保に重点を置いた監督指導を強化し、その中で、法律に違反する長時間労働の是正、労働時間管理の適正化や、就業規則の整備、雇入れ時の労働条件の明示などの労働条件に関する指導を重点的に実施している。
・平成10年と比較すると、指導事項では、労働時間違反が約1.8倍増、割増賃金違反が3.4倍増、労働条件の明示違反が6.8倍増、就業規則の作成等違反が1.8倍増と著しく増加している状況がみられる。
また、請負・派遣など、外部労働力の活用に関する部分も、重点項目になっていくと思われます。
請負や派遣の多く活用している会社は、活用形態などをしっかり確認した方がいいですね。
http://www.hrm-solution.jp