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雇用保険法における育児休業給付の延長に関する留意点

平成21年3月15日 第66号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次

1.雇用保険法における育児休業給付の延長に関する留意点
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1.雇用保険法における育児休業給付の延長に関する留意点

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<1> はじめに

今回のテーマは、雇用保険法における育児休業給付の延長に関する留意点である。
1歳6ヶ月までの「6ヶ月間」の延長についてトラブルが多い。
このトラブルも職業安定所の指導に問題があると筆者は考えている。
インターネットでのご質問が一番多い、この問題を取り上げることで、皆様の
お役に立ちたいと考え、今回のテーマとした。
企業の担当者がしっかりとアドバイスをしていれば、トラブルは防げたケース
が多いので是非読んで頂きたい。

<2>育児休業給付の概要

(1)育児休業給付とは

一歳未満の子を養育するために育児休業を取得している雇用保険被保険者で、
育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月
以上あるものを対象とするものである。

即ち、育児休業給付とは育児介護休業法により休業している労働者の所得補填
を行う制度である。

給付率等詳細は本項では省略する。

(2)1歳6ヶ月まで延長する際の注意点

育児休業給付は子が一歳に達する日まで受給できる。
これは育児介護休業法における事業主が育児休業を付与しなければならない期
間と同一である。

しかし、子が一歳に達するまでを対象期間としていては、年度単位で入所が決
定される保育園との整合性がとれないという事態が生じる。

保育園には入れないが、事業主が義務として課されている育児休業期間が終わ
るということである。
これを解消するために子が一歳の時点で下記の要件を満たしたものについては、
一歳6ヶ月まで育児休業を延長できる制度を新設し、保育園の入所まで育児休
業を取得できる体制の整備を行ったのである。

それに併せて雇用保険法についても育児休業給付を一歳6ヶ月まで延長できる
制度にした。

(3)一歳6ヶ月まで育児休業給付が延長される事由

イ 育児休業の申し出に係る子について、保育所における保育の実施を希望し、
申し込みを行っているが、その子が一歳に達する日後の期間について、当面
その実施が行われない場合。

ロ 常態として育児休業の申し出に係る子の養育を行っている配偶者であって、
その子が一歳に達する日後の期間について常態としてその子の養育を行う
予定であったが、以下のいずれかに該当した場合。
a 死亡したとき
b 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により育児休業の申し出に係
る子を養育することが困難な状態になったとき。
c 婚姻の解消その他の事情により配偶者が育児休業の申し出に係る子を養育
することが困難な状態になったとき。
d 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定であ
るか又は産後8週間を経過しないとき(産前休業を請求できる期間及び産
後休業期間)

以上である。

<3> 保育所に入れない場合の延長について

(1)保育園入所の仕組み

保育園の入所については、市町村により異なるが、概ね歴月単位で決定される。
例えば、前月に申し込まれた「入園申し込み」について翌月の1日付けで入所
可能かどうか決定するというシステムである場合。
次に、前月15日までの申し込みについては当月1日に決定し、前月16日以
降の申し込みは翌月1日付けで決定するというシステムもあり。
前者の場合、3月中に申し込みを行えば、4月1日に入所不可能かどうかわか
る。
後者の場合、3月中に申し込みを行っても5月1日まで入所が可能か、不可能
か分からない。
この仕組みにより延長給付を受給できない被保険者が多いのである。

(2)延長給付の要件

子が一歳に達した日の翌日、いわゆる1歳の誕生日に「育児休業の申し出に係
る子について、保育所における保育の実施を希望し、申し込みを行っているが、
その子が一歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合。
」でないと要件を満たしたことにならない。

(3)職業安定所の判断

この要件について職業安定所は子が一歳に達する日までに保育園の入所が出来
ないという決定がなされていなければ延長給付を認めないという立場である。

子が一歳に達する前に保育園の入所希望を市町村の窓口に提出しても、前述の
理由により歴月の初日に決定がなされる。
市町村によっては翌々月の1日までこの決定がなされないところもある。

そうすると、子が一歳になる前に保育園の入所希望を市町村に出したが、その
決定は子が一歳に達した日後になることも多い。

この場合、この延長給付は貰えないというのが職業安定所の立場である。

(4)職業安定所の判断の根拠はない

雇用保険法施行規則第101条の11の2」に以下の通り記載されている。
法第61条の4第1項の厚生労働省令で定める場合は以下の通りとする。
1 育児休業の申し出に係る子について、保育所における保育の実施を希望し
、申し込みを行っているが、当該子が一歳に達する日後の期間について、当面
その実施が行われない場合。

これが延長給付の申請に関する規定である。
ポイントは、「保育所における保育の実施を希望し」「申し込みを行っている
」「当該子が一歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない」
という要件しか書かれていない。

この規則には「子が一歳に達する日前において、保育所に入所できないという
決定がなされていること」という要件は見あたらない。

よって、申し込みが1歳に達する日以前になされていて、その後当面保育所に
入所できない場合には職業安定所長は、その支給の決定をしなければならない
と考えるのが妥当であると判断できる。

(5)無用なトラブルを防止するために

そもそもこの問題は、市町村の保育園入所システムに雇用保険法が配慮してい
ない事が原因である。
しかしそれ以前にこの制度間の整合性の不備を会社の担当者が認識し、育児休
業に入る労働者に通知していないことも事実である。
本稿を読んで頂き、この制度間の整合性の不備をしっかりと説明すれば、子が
一歳に達する日以前に市町村が保育園への入園できないという決定をされるよ
うに行動できる。
事前に知らなければならないのである。
最近は職業安定所も窓口でこの様な整合性の不備を広報し、注意を呼びかけて
いるが、本人は職業安定所に行かない。
会社担当者からこの様な事実を通知することで、行政の不備に振り回される事
もなくなる。

<4>まとめ

育児休業制度の延長により、併せて雇用保険法を改正した。
この趣旨は育児休業制度をより実効のあるものとするためである。
しかしながら、現状の職業安定所の延長に関する運用は、この法の趣旨にそっ
てはいない。
施行規則の解釈について、職安当局の解釈は法の趣旨からして正しいのか。
筆者はそう思わない。
しかし、この点を職安当局と争うのではなく、制度の整合性のなさをしっかり
と理解して、事前に延長給付がトラブルなく受給できるように準備をすること
は大切である。
会社担当の方もその点ご配慮頂ければ幸いである。

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