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退職勧奨の許容範囲

◆事例:退職勧奨の許容範囲

 当社では業績の悪化に伴い、今後退職勧奨を行おうかと考えています。でき
の悪い従業員だけ勧奨したいのですがトラブルは起こしたくありません。退職
勧奨はどの程度のレベルまで許されるのでしょうか。

◇回答----------------------------------------------------------------
 退職勧奨は、最終的には本人の任意の意思に基づいた退職とする必要があり
ます。半強制的だったり執拗な勧奨は不当とされ、退職そのものが無効とされ
ることもあります。

■解説----------------------------------------------------------------

 退職勧奨は、いわゆる「肩たたき」と称され、以前から広く行われてきまし
た。解雇では角が立つので形の上では任意退職にするという中間的な存在で、
いかにも日本的な方法といえます。

 実際の運用では、懲戒解雇に代わり温情的に任意退職とさせるもの、リスト
ラの一環として行うもの、定年間近の者の削減策として行うもの等があります。
完全に違法ですが、組合潰しとして行われることもあります。

 退職勧奨の性格は、大きく二つに分けられます。一つは、単に雇用契約解除
の誘引行為に過ぎないもの。二つは会社からの雇用契約解除の申込みです。

 単なる誘引行為は、求人広告と同じようなもので、それに応ずるか否かは完
全に従業員の任意です。大勢応じた場合は、会社が選別することもあります。
支援策として退職金の割増等の措置がなされることもありますが、考え方は
「この指とまれ」なので、個人名指しで行うと問題になることがあります。

 一方、契約解除の申込みは、通常個人を特定して直接に行われ、本人が承諾
すれば速やかに退職の手続きに入ります。

 トラブル防止の観点で言えば、誘引行為の方が問題発生の可能性は少ないで
す。但し、誰も応募してこないとか、逆に優秀な人材ばかりが応募してくると
いうこともあるので、タイミングを見計らって行うべきです。

 トラブル発生に至りやすいのは契約解除の申込みの方です。個人の特定がで
きる反面、「何で俺に」との不信感が生じるからです。元々、退職させたい従
業員を狙い撃ちして行うものであることから、どうしても強制的に感じ取られ
てしまいます。

 判例上も、社会的相当性を超えた態様での半強制的あるいは執拗な勧奨行為
は、公序良俗に反し違法であるとして、不法行為による損害賠償責任を認めて
います。さらには契約解除自体が無効とされる可能性もあります。

 結局は、勧奨の目的が何であるか、勧奨方法や手段が妥当であるかがポイン
トとなります。気に入らないからとか、毎日顔を見るたび繰り返したりとか、
嫌がらせや脅したりするとかの行為があると、公序良俗違反となる恐れが強そ
うです。期限を切って2~3回というのが妥当な線でしょうか。会社の環境や
将来見通し、勧奨する理由等をきっちり伝えることは当然です。

 要は、本人が納得して自ら退職意思表示をしたという形を残せるかがカギ
です。何らかの優遇措置を設ける等「ニンジン」をぶら下げることも必要です。
 なお、本人がどうしても応じない場合、特に問題行動が頻発するような従業
員に対しては、無理に勧奨の方法によらず懲戒処分や解雇等の手続きを取った
方が良いこともあります。


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